2014年度 私立大学新入生の家計負担調査 

2015年04月06日
東京私大教連は、『2014年度 私立大学新入生の家計負担調査』を発表。
本調査は、私立大学の問題を考える重要なデータとして、首都圏の私立大学に入学した新入生の家計負担の状況について明らかにすることを目的とした調査である。

【調査結果】

「受験から入学までの費用」は214万円(自宅外通学者)

1.「受験から入学までの費用」は、自宅外通学者が213万8026円で前年度比3万2800円(1.6%)増額、自宅通学者が154万1526円で前年度比1万800円(0.7%)増額となった。

2.「受験から入学までの費用」の内訳では、自宅外通学者で「受験費用」「家賃」「敷金・礼金」「生活用品費」がいずれも増加した。

3.「受験から入学までの費用」に占める初年度納付金の割合は、自宅外通学者で61.4%、自宅通学者で85.1%と高い。

「入学の年にかかる費用」は296万円(自宅外通学者)
 ~年収の3分の1を占め家計の大きな負担に


自宅外通学者の「入学の年にかかる費用」は「税込収入」の33.4%を占める
1.自宅外通学者の「入学の年にかかる費用」は296万2326円で、前年度と比べ24100円(0.8%)増額となった。
 父母・学生の裁量でいちばん出費をおさえることができる「仕送り額(4月~12月)」は、82万4300円で前年度より8700円減額となった。

2.自宅外通学者世帯の「税込収入に占める『入学の年にかかる費用』」の割合は33.4%で、年収888万1000円の3分の1を占め、家計負担の大きさを示している(図3)。

世帯の平均年収は903万3000円(全体平均/有所得者数は1.7人)
3.世帯の「税込年収」は、全体平均が903万3000円(0.2%)増額となった(図4)。なお、世帯の有所得者数の平均は1.7人であり、共働きなど有所得者数が2人以上の世帯は全体の65.0%を占める。

4.世帯の「税込年収」を住居別でみると、自宅外通学者の世帯で888万1000円、自宅通学者の世帯で913万円であり、自宅外通学者では減額となった。
 *「有所得者数」とは、世帯で所得のある者の合計人数であり、その人数で上記の年収を得ている。

毎月の仕送り額は 8 万 8500 円で過去最低額を更新
家賃を除いた1日あたりの生活費はわずか897円


1.「仕送り額」の平均は、入学直後の新生活や教材の準備で費用がかさむ「5月」が10万2400円で2600円減少、出費が落ちつく「6月以降(月平均)」が8万8500円で500円減少した。「6月以降(月平均)」の仕送り額は、過去最低額であった前年の8万9000円をさらに下回り、過去最低を更新した。
 「6月以降(月平均)」の仕送り額が過去最高だった1994年の12万4900円と比較すると、ピーク時より3万6400円、29.1%も減少している。

2.「家賃」の平均は、6万1600円となり前年度比700円増加した。「6月以降(月平均)」の仕送り額8万8500円に占める「家賃」の割合は69.6%で過去最高となり、仕送り額に占める割合は約7割に達している。

3.「6月以降(月平均)」の仕送り額から「家賃」をのぞいた生活費は2万6900円で、一日あたりの生活費を算出すると897円(2万6900円÷30日)である。過去最低を更新し、ついに900円を下回った。2014年度の一日あたりの生活費は、ピークである1990年度の2460円(7万3800円÷30日)に比べると4割以下の水準である。

入学費用の「借入額」は181万円で過去最高
9割以上の家庭が入学費用の負担を「重い」と感じている


1.入学費用を「借入れ」した家庭は17.6%である。「借入れあり」を住居別でみると、「自宅外通学者」が「自宅通学者」に比べ高い傾向にある。

2.「借入額」の全体平均は前年と比べ12万1000円増額し、180万7000円で過去最高額となった。「自宅外通学者」の「借入額」は207万2000円で、これも過去最高額であり、「自宅通学者」と比べ50万円多い。

3.受験から入学までの費用の「負担感」は、9割を超える家庭で『重い』(「たいへん重い」と「重い」の合計)と感じており、負担の大きさを示している(表9)。入学費用を「借入れ」した家庭の98.8%が『重い』と感じており、住居別では「自宅外通学者」で93.5%の家庭が『重い』と感じている。

奨学金を「希望する」は6割超、うち実際の申請者も6割超
「授業料の直接助成制度化」の「必要あり」は約9割


1.日本学生支援機構(旧日本育英会)などの奨学金を「希望する」は全体で61.7%、希望者のうち奨学金を「申請した」は63.0%である。住居別では、自宅外通学者が「希望する」と「申請した」ともに、自宅通学者より高い。また、年収が低いほど「申請した」が高くなる傾向にある。
*「奨学金を『希望する』」は1992年度から、「希望者で奨学金を『申請した』」は1985年度から調査を実施。

2.私立大学の授業料に対する国からの「直接助成制度(*)」を「必要あり」との回答は全体で87.4%であり、新入生家庭の約9割がこの制度を待ち望んでいる。

*直接助成制度は、国が家庭に直接交付する返済の必要のない私立大学授業料への補助制度。国は2010年度から公立高校を無償化し、私立高校生への就学支援金を創設したが、大学については現在この制度はない。
*日本学生支援機構「平成24年度学生生活調査」結果によれば、日本学生支援機構や大学等の奨学金を受給している私立大学生の割合は52.7%、私立短大生53.4%である。OECD加盟国で、授業料が有料かつ給付制奨学金制度のない国は、日本だけである。


【調査概要】
・方法・時期・回収数
1)依頼・回収とも郵送により、2014年5~7月にかけて実施した。
2)調査票は「私立大学新入生の家計負担についてのアンケート」を使用し、4,303件を回収した。有効回答は4,279件で99.4%であった。
・調査の対象
1)2014年度に私立大学(短期大学を含む)に入学した新入生の家庭(保護者・父母)を対象とした。
2)対象となった大学は、1都4県(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城)にある下記の14大学である。
東京(9校) 工学院大学 中央大学 東京経済大学 東京家政学院大学 日本大学 明治大学 明治薬科大学 和光大学 早稲田大学
神奈川(1校) 麻布大学
埼玉(1校) 獨協大学
千葉(2校) 国際武道大学 東邦大学
茨城(1校) 筑波学院大学

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