「障がい者雇用」実態調査 

2015年05月28日
エン・ジャパンが運営する人事担当者向け中途採用支援サイト『エン 人事のミカタ』上でサイトを利用する従業員数50人以上の企業、177社を対象に「障がい者雇用の実態」について調査を行ないました。

【調査結果概要】

2013年4月に改正された「障がい者雇用率制度」により、従業員数50人以上の民間企業では2.0%以上の割合での障がい者雇用が義務付けされました。約2年が経った今回の調査では、障がい者雇用の進行状況や課題について、人事部門の方々に伺いました。下記、トピックスです。

★「法定雇用率を達成」している企業は32%。雇用経路の第1位は「ハローワーク」。
★障がい者を雇用する理由は「法定雇用率の達成」「社会的責任」。雇用職種の第1位は「事務」。
★障がい者雇用の壁は、「業種・職種が適していない」「施設が未整備」。

【調査結果詳細】

1:「法定雇用率を達成」している企業は32%。雇用経路の第1位は「ハローワーク」。

従業員数が50人以上の企業に「貴社では障がい者の法定雇用率 ”2.0%” を満たしていますか?」と伺いました。「法定雇用率を達成している」(32%)「雇用しているが、雇用率は未達成」(41%)と、合計して73%の企業が障がい者雇用を推進している現状です。「50人以上の企業だが、雇用していない」と回答する企業も、27%と少なからず存在しています。
 
障がい者雇用を推進している企業に「雇用経路」を伺ったところ、6割が「公共職業安定所(ハローワーク)」でした。ハローワークでは、「職業相談・職業紹介」や「障がい者向け求人の確保」などの就労支援を推進しています。厚生労働省の発表によると、ハローワークを通じた障がい者の就職件数(平成26年度)は、5年連続で過去最高を更新。就職率も向上していることから、ハローワークの取り組みが与える影響の大きさが見て取れます。

2:障がい者を雇用する理由は「法定雇用率の達成」「社会的責任」。雇用職種の第1位は「事務」。

障がい者雇用を行なう企業に「雇用したきっかけ」を伺うと、「法定雇用率の達成」(70%)、「企業としての社会的責任を果たす」(64%)という回答が圧倒的多数を占めました。ただ「障がいに関係なく、雇用条件や人柄を見て」という意見も3割の企業が挙げています。雇用している職種や分野では「事務」(60%)がもっとも多く、次いで「軽作業」(29%)「製造・技能」(25%)という結果でした。

3:障がい者雇用の壁は、「業種・職種が適していない」「施設が未整備」。

従業員数50人以上の企業でありながら、障がい者雇用を行なっていない企業に理由を伺うと、もっとも多かった意見は、自社が「障がい者に適した業種・職種ではない」(69%)。次いで、「受け入れる施設が未整備」(52%)でした。「障がい者雇用に関する知識の不足」(42%)という回答も多く見られ、『罰則金額を払えば済むと勘違いしていたから、これから取り組みます』というコメントもあることから、まだまだ周知の必要がありそうです。

4:今後、障がい者を「雇用したい」企業は7割以上に。

障がい者雇用の今後については、「積極的に」「法定基準に合わせて」「(本人の)能力次第」など、各社様々な方針がありつつも、「雇用したい」と考えている企業は合計で7割以上に。しかし、「今後も雇用しない」と答える企業も12%あり、雇用はするべきだが、できないという企業の本音も垣間見えます。具体的な声を、以下にご紹介します。

【積極的に雇用したいと回答された方の理由】
・障がい内容によって受け入れが難しいケースはあるが、障がいに配慮すれば健常者と同じように仕事をすることが可能であるため。また、初めて特別支援学校からの採用を行ったが、周囲の理解を得ることもできており、今後、採用を拡大していくことが可能と判断している。(IT・情報処理・インターネット関連)
・企業の社会的責任として雇用率を満たすべきだと考えます。(運輸)
・地域の方が分け隔てなく働くことのできる環境を作っていくため。(流通・小売関連)
・現在一定規模の障がい者は雇用していますが、高齢のため退職する可能性も大きく、そのため継続した採用を行っていく予定です。(メーカー)

【法定基準に合わせて雇用したいと回答された方の理由】
・最低限法定雇用率を達成しなければならないと思っている。今後、平成30年に法定雇用率が上がることは間違いないので今のうちから採用を進めています。(サービス関連)
・雇用義務が生じていれば法令順守として必要となるであろう為。(サービス関連)
・法定雇用率未達の場合の反則金が勿体ない。能力に合わせた仕事が無いと考えていたが、採用してみてその人間の得意分野を見極めることで使えると実感した。(流通・小売関連)

【自社に必要な能力がある障がい者がいれば雇用したいと回答された方の理由】
・CADを使った製図であれば、対応できる人がいると思う。設備設計技術者層は、業界全体で薄く、身体障がい者の方にとっても自立を目指すことのできる分野だと思う。(サービス関連)
・就業場所が身体障がい者向けに出来ているわけでないため、身体障がいであっても内部疾患者の受け入れに留まる。且つ、会社に必要な資格、スキルがあれば雇用をしたい。また、精神や発達障がい者の方々に与えられるだけの作業がない。(不動産・建設関連)
・法定基準に合わせるのは希望だが、まずは必要な能力のある方がいれば雇用したい。(商社)
・障がいを受け入れ、反骨心と高い就業意欲を持って業務に取り組んで頂ける方も多い。社会的責任を果たす事は確かに重要だが、十分な技能やポテンシャルをお持ちの方であれば、法定基準の有無に関わらず採用していく。( IT・情報処理・インターネット関連)

【社内の受け入れ態勢が整えば雇用したいと回答された方の理由】
・社員の大勢を占める顧客と接触するサービス部門では知的障がい者雇用は難しいのが現状です。(不動産・建設関連)
・業務上体力を要するものもあり、なかなか厳しい部分がある。双方に不利益とならないよう、採用には配慮していきたいと思う。(サービス関連)

【今後も雇用する予定はないと回答された方の理由】
・バリアフリー等の整備が整っていない拠点もあるため。(サービス関連)
・就業させるには、困難な業務内容の為。(その他)
・障がい者雇用納付金を支払う事になった場合は検討するが、現状リソースを割いてまで雇用に積極的になる必要がない。(広告・出版・マスコミ関連)


【調査概要】
調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:『エン 人事のミカタ』を利用している企業177社
調査期間:2015年3月18日 ~ 2015年4月14日

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
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