マイナビ中途採用状況調査(直近1年間に中途採用活動実績のある企業対象) 

2019年03月26日

マイナビは、全国の民間企業等を対象に、中途採用状況とその傾向を調査した「マイナビ中途採用状況調査」を発表しました。なお、本調査は今年で7回目となります。

調査結果概要


■16年・17年に引き続き、大企業を中心に、多くの企業で採用数を増やしているものの、人手不足感は解消されていない。
  • 中途採用の実績は、「増えた」と「変わらない」がそれぞれ4割を占め、「減った」が2割弱。従業員数が多い企業ほど、「増えた」の割合が高い。
  • 人材の過不足感は、「不足している」が6割強で、「余剰感を感じる」の3倍以上を占める。16年・17年と同様に、全体的に人材不足な状況が続いている。採用窓口エリア別にみると、『首都圏』が最も不足感が強い。
■採用活動の印象は「厳しかった」が9割弱を占める。人材不足の中でも採用基準を下げず、結果的に採用数が目標に届かない企業が多数。優秀な人材の取り合いとなっている。
  • 中途採用活動の印象は、「前年より厳しかった」が3割弱、「前年並みに厳しかった」が6割。その理由は、「求職者の質が低かった」が7割弱で最も高く、16年・17年と同傾向。
  • 人材不足が続く中でも、採用基準を「甘くした」企業は2割未満と少ない。採用者のレベルは妥協せず、優秀な人材を各社で取り合っている状態。
  • 結果、中途入社した社員については、質よりも量についての不満が大きい。また、中途採用実績は、目標を達成していない企業が6割。
■手法は「転職サイト」が最も効果的で、求人広告費は増加傾向が続く。採用窓口が首都圏の企業は、求人広告費も、採用活動全体の予算・実績も、最も高い金額。
  • 中途採用で効果のあった手法は、「転職サイト」が5割強で最も高く、「人材紹介会社」「ハローワーク」が4割弱で続く。
  • 2018年の中途採用活動の求人広告費は平均284.7万円。エリアによってバラつきがあり、『首都圏』で採用を行う企業は平均400.9万円と高水準。2017年と比較して「変わらない」が5割、「増えた」が4割強、「減った」が1割弱で、相対的に増加傾向。
  • 中途採用活動全体の予算は平均781.9万円、実績は平均716.9万円。予算・実績とも、『首都圏』が圧倒的に高い。他のエリアに比べて大企業が多く、ハローワークが活用されにくいことや、採用者数が増えても人材不足が解消されないことが原因と考えられる。
■今後の中途採用の見通しは、16年・17年に引き続き「経験者採用・未経験者採用ともに積極的」。
  • 経験者採用と未経験者採用を比較すると、経験者採用の方がより積極的な傾向。
  • 『サービス・レジャー』『運輸・交通・物流・倉庫』『医療・福祉』の業種では、「経験者採用・未経験者採用ともに積極的」や「未経験者採用に積極的」の割合が高い。人材不足解消が急務のため、経験の有無を問わず、まずは採用者を確保したいという状況がうかがえる。

調査結果


人材の過不足感
  • 人材の過不足感は、「不足している計」が6割強で、「余剰感を感じる計」の3倍以上を占める。16年・17年と同様に、全体的に人材不足な状態が続いている。
  • 従業員数別にみると、従業員数が多い企業ほど「不足している計」が高い。
  • 業種別で、特に不足感が強いのは『サービス・レジャー』『不動産・建設・設備』。また、『運輸・交通・物流・倉庫』ではおよそ4分の1の企業が「とても不足している」と回答。
  • 採用窓口エリア別にみると、人口の多い『首都圏』が最も不足感が強い結果となった。
中途採用を実施した理由
  • 中途採用を実施した理由は、5割弱の企業で「組織の存続と強化(活性化)」が挙げられる。次いで「年齢など人員構成の適正化」「将来の幹部候補・コア人材の確保」が4割以上。
  • 「退職者の増加」以外の理由は、いずれも17年よりも高い割合になっている。
  • 業種別にみると、『運輸・交通・物流・倉庫』は「労働時間短縮への対応」が最大の理由で、6割にのぼる。『サービス・レジャー』『医療・福祉』は「退職者の増加」が半数近くで挙げられており、離職率の高さがうかがえる。
中途採用活動に関する人数
  • 全体平均としては、中途採用の総応募者数が84.1人に対して、面接を設定した応募者数は34.8人。応募者数の人数は17年よりも減少しているが、歩留まり率は17年と変わらず4割程度。
  • 内定者数は13.5人で、面接設定からの歩留まり率は4割弱。採用者数は10.9人で、面接設定から3割程度が実際に採用できている。
  • 目標の採用者数は15.2人で、目標に対して実際の採用者数の割合は7割程度。
  • 業種別にみると、実際の採用者数が目標に最も近いのは『金融・保険』で、目標の採用者数の9割弱の人数を実際に採用している。
採用目標達成状況(目標の採用者数1人以上ベース)
  • 採用目標の達成状況は、「100%未満」が6割強で、採用目標を達成できなかった企業が多数を占める。16年・17年と比較して大きな変化はみられない。目標達成率の全体平均は72.6%。
  • 従業員数別にみると、従業員数が多い企業ほど、採用目標を達成していない企業が多い。
  • 業種別では、採用目標を達成していない割合が最も高いのは『IT・通信・インターネット』で、平均達成率も66.3%と低め。反対に、『金融・保険』では半数近くの企業が採用目標を達成している。
  • 採用窓口エリア別にみると、『首都圏』は採用目標を達成していない割合が最も高い。
面接無断キャンセル率/内定辞退率
  • 面接を設定した応募者のうち、面接を無断でキャンセルされた割合は、全体で2割程度。従業員数が少ない企業ほど、面接の無断キャンセル率は高い傾向。業種『運輸・交通・物流・倉庫』では3割弱にのぼる。
  • 内定を辞退された割合は、全体で15%程度。業種『IT・通信・インターネット』『運輸・交通・物流・倉庫』では約2割。内定辞退率を採用窓口エリア別にみると、『首都圏』が最も高い。企業数(求人数)が多い分、求職者側が企業からの内定を多く確保しやすいためと考えられる。
中途採用の実績
  • 2017年と比較した中途採用の実績は、「増えた計」と「変わらない」がそれぞれ4割を占め、「減った計」が2割弱。
  • 従業員数別にみると、従業員数が多い企業ほど、「増えた計」の割合が高い。
  • 業種別では、『サービス・レジャー』で「増えた計」が低く、「減った計」が高い。人手不足が厳しい状況。
  • 採用窓口エリア別にみると、『首都圏』で「大幅に増えた」「やや増えた」がともに高い。
中途入社社員についての満足度
  • 中途入社社員の満足度は、「質的には満足だが、量的に不満」が最も多く、4割弱を占める。次いで「質・量ともに不満」が3割弱、「質的に不満だが、量的には満足」が2割強。全体では、質よりも量についての不満が大きい。17年と比較すると、「質について不満計」が減少し、「量について不満計」が増加。
  • 従業員数別でみると『60人未満』の企業で、全体より量についての不満は少ない。ただし、質についての不満はクリアされていない。
  • 業種別にみると、中途入社社員の質は『流通・小売・フード』、量は『製造・メーカー』で特に不満が高く、問題点。
中途採用活動の印象
  • 2017年と比較した中途採用活動の印象は、「前年並みに厳しかった」が約6割と多数を占め、16年・17年とおおよそ同傾向。
  • 従業員数『300人以上』の企業では、全体より「前年より厳しかった」が高い傾向。
  • 業種別にみると、いずれも厳しい傾向は同じだが、中でも『製造・メーカー』は特に厳しい状況。計画通りに採用者数が確保できていないと考えられる。
中途採用活動の印象の理由
  • 厳しかった理由は、「求職者の質が低かった」が7割弱で最も高く、16年・17年と同傾向。業種別にみると、『IT・通信・インターネット』では過半数で「母集団が確保できなかった」が挙げられる。また、『サービス・レジャー』『医療・福祉』では「マンパワーが不足していた」が全体より高く、人材不足の状況に採用が追い付いていないとみられる。
  • 楽だった理由は、「求職者の質が高かった」が最も高く、16年・17年と同傾向。採用窓口エリアが『首都圏』の企業では、「採用費用を増加した」が主な理由となっている。
中途採用の選考基準
  • 中途採用の選考基準は、経験者採用・未経験者採用ともに、「前年並み」が多数を占め、16年・17年と同傾向。経験者採用と未経験者採用を比較すると、経験者採用は「前年より厳しくした」、未経験者は「前年より甘くした」がやや高い。
  • 業種別にみると、『金融・保険』は、経験者・未経験者どちらの選考基準も「前年より甘くした」の割合が特に低い。選考基準を厳しくできるほど、選考対象者の母集団形成には成功していると考えられる。
  • 反対に、『運輸・交通・物流・倉庫』は、「前年より厳しくした」の割合が低く、「前年より甘くした」の割合が高い。人材不足感が強いため、選考基準を甘くしてでも量を確保したいものとみられる。
中途採用活動で厳しくした項目
  • 経験者採用で厳しくした項目は、「職務経験」が8割で最も高く、未経験者採用よりも「職務経験」の審査が厳しくされている。16年・17年と比較すると、「自己PR」を厳しくした割合が年々増加しており、2018年の経験者採用では「学歴」を上回った。
  • 未経験者採用で厳しくした項目は、「職務経験」「ポテンシャル」「志望動機」の順で、経験者採用と同じ項目が上位に挙がる
中途採用活動で甘くした項目
  • 経験者採用で甘くした項目は、「職務経験」が7割強で最も高く、「ポテンシャル」が5割強、「志望動機」が4割と、厳しくした項目と同じ項目が上位。2018年は甘くした項目が多いが、特に「志望動機」は16年・17年から大幅に増加している。
  • 未経験者採用で厳しくした項目も、経験者採用と同じく「職務経験」「ポテンシャル」「志望動機」の順に高く、「志望動機」は2018年で大幅に増加。さらに、「職務経験」を甘くした割合が年々高くなっている。
中途採用で効果のあった手法
  • 中途採用で効果のあった手法は、「転職サイト」が5割強で最も高く、「人材紹介会社」「ハローワーク」が4割弱で続く。
  • 従業員数『60人未満』企業では、「人材紹介会社」が全体より10pt以上低い。一方で『300人以上』の企業では、「人材紹介会社」が全体より10pt以上高い。
中途採用の予算と実績
  • 全体では、2018年の中途採用の予算は平均781.9万円、実績は平均716.9万円。
  • 業種別にみると、予算の平均金額が最も高いのは『金融・保険』。次いで『製造・メーカー』『IT・通信・インターネット』で、いずれも規模が大きい企業が多いためとみられる。
  • 『IT・通信・インターネット』は、「1,000万円以上」の予算があったのが28.5%に対して、実績として「1,000万円以上」を使ったのは17.6%にとどまり、平均金額も予算に比べて実績が低い。
  • 採用窓口エリア別では、予算・実績とも、『首都圏』が圧倒的に高い。他のエリアに比べてハローワークが活用されにくいことや、大企業が多く、採用者数が増えても人材不足が解消されないことが原因と考えられる。
中途採用費用(人材紹介/求人広告)
  • 全体では、人材紹介にかけた費用が平均489.3万円、求人広告にかけた費用が平均284.7万円。
  • 業種別にみると、人材紹介の費用が高かったのは『IT・通信・インターネット』や『製造・メーカー』。一方、求人広告の費用が最も高かったのは『金融・保険』。
  • 『運輸・交通・物流・倉庫』は、人材紹介よりも求人広告にかけた費用の方が高く、人材紹介での採用者が少なかったとみられる。
  • 『医療・福祉』では、求人広告にかけた費用が低く、あまり活用されていない様子。
求人広告費の増減
  • 2017年と比較した求人広告費は、「変わらない」が約5割を占め、「増えた計」が4割強、「減った計」が1割弱。全体の傾向は16年・17年と同じ。
  • 従業員数『60人未満』の企業では、「増えた計」が4割弱にとどまり、『60~299人』『300人以上』の企業より低い。
  • 業種別では、『サービス・レジャー』で「増えた計」が低く、「減った計」が高い。
中途採用者1人あたりの求人広告費
  • 1人あたりの求人広告費は、「コンサルタント・金融・不動産専門職」が89.8万円で最も高く、「ITエンジニア」が79.7万円で続く。
1次面接から内定を出すまでの平均日数
  • 1次面接から内定を出すまでの平均日数は、「1週間以上2週間未満」が3分の1を占め、平均値は15.1日。分布を16年・17年と比較すると、「2週間未満」が増加している。
  • 従業員数別にみると、従業員数が大きい企業ほど、長い日数を要する傾向。
  • 業種別にみると、『不動産・建設・設備』『運輸・交通・物流・倉庫』『医療・福祉』では「1週間未満」が約3割と、比較的短期間での採用が多い。
  • 反対に、『金融・保険』では3割が「1か月以上」かけており、選考が慎重に行われている。
2019年の中途採用の見通し
  • 2019年の中途採用の見通しは、半数近くが「経験者採用・未経験者採用ともに積極的」。16年・17年に引き続き、積極採用の傾向。
  • 経験者採用と未経験者採用を比較すると、経験者採用の方がより積極的な傾向。
  • 業種別にみると、『サービス・レジャー』『運輸・交通・物流・倉庫』『医療・福祉』は、「経験者採用・未経験者採用ともに積極的」や「未経験者採用に積極的計」の割合が高い。人材不足解消のため、経験を問わず、まずは採用者を確保したいという状況がうかがえる。

調査概要


「マイナビ中途採用状況調査」
調査期間:2019年1月15日(火)~1月21日(月)
調査方法:インターネット調査
調査対象:直近1年間(2018年1月~2018年12月)に中途採用活動実績のある企業
有効回答数:1,000社

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