「仕事を楽しむこと」に関する調査(ビジネスパーソン1000人調査) 

2015年07月31日
日本能率協会グループは、全国のビジネスパーソン1000人に対して意識調査を行いました。この調査は働く人びとに焦点を当て、その時々の旬の話題をデータで紹介するシリーズです。今回は「仕事を楽しむこと」を取り上げました。

【調査トピックス】

1.仕事を楽しんでいる人は全体の40.8%。仕事を楽しんでいる人の6割超が高い成果をあげていると自己評価
仕事を楽しんでいる人は全体の40.8%。仕事を楽しむことは個人・チームとしての高いパフォーマンスにつながることから、仕事を楽しめる人こそ企業の成長を支えるコア人材であることがうかがえる。

2.仕事を楽しむためには「仕事の手ごたえ」が重要、「心身の健康」「仕事と生活の両立」は前提
「心身の健康」(62.7%)がトップ、次いで「仕事のやりがい」(62.3%)、「仕事と生活の両立」(56.1%)、「能力発揮」(54.4%)。

3.難しい仕事へのチャレンジは仕事を楽しむために欠かせない
簡単な仕事より難しい仕事に取り組んでいる人の方が仕事を楽しめている。難しい仕事へのチャレンジは仕事を楽しむことにつながるが、仕事量とのバランスには配慮が必要。

4.仕事を楽しめる人のマインドは「周囲への感謝」と「ポジティブシンキング」
仕事を楽しんでいる人は、周りに感謝し(72.8%)、失敗にも意味があると捉え(70.8%)、あきらめずに何ができるかを考える(69.6%)ことができる人。

※今回のアンケートでは、「仕事を楽しむ」ことを一義的に定義せず、回答者のイメージに委ねて回答を得ています。

【調査結果】

”仕事を楽しんでいる”か?
1. 仕事を楽しんでいる人は全体の 40.8%。若い世代やシニア世代と比較して、40~50 代は仕事を楽しめていない傾向。


日頃、どの程度仕事を楽しんでいるかを質問したところ、「楽しんでいる」(とても楽しんでいる/楽しんでいる/やや楽しんでいる を合計した「楽しんでいる計」)と回答した人が 40.8%で、5 人中 2 人が「仕事を楽しんでいる」と回答しました。
男女別では、男性より女性の方が「仕事を楽しんでいる」傾向が見られました。年代別では、ビジネスパーソンとしては比較的若い年代と 60 代で「仕事を楽しんでいる」人が多い結果となりました。一方、年代的に一定の裁量と重い責任を持つことが多いと思われる 40 代~50 代は、他の年代と比較すると「仕事を楽しんでいる」人の割合が低くなる結果となっています。
個人年収別では、年収が高くなるほど「仕事を楽しんでいる」人の割合が高くなり、300 万円未満と700 万円以上では 6 ポイント以上の差異が見られました。

仕事を楽しむことと仕事の成果の関係
2.仕事を楽しんでいる人は、仕事で高い成果をあげていると自己評価。チームメンバーにも、同様に仕事を楽しんでいる人が多く存在し、チーム全体として高い成果をあげている傾向


仕事を楽しむことと仕事の成果の関係を探るため、仕事の成果の自己評価を聞き、仕事の楽しみ度別で分析しました。
仕事を楽しんでいる人が「仕事で高い成果をあげている」(とても高い/高い/やや高い成果をあげている計)と回答した割合は 63.2%であり、仕事を楽しんでいるかの質問に「どちらとも言えない」と回答した人が「仕事で高い成果をあげている」と回答した割合は 36.2%、仕事を楽しんでいるかの質問に「楽しんでいない」と回答した人が「仕事で高い成果をあげている」と回答した割合 25.7%と比較すると、仕事を楽しんでいる人が「仕事で高い成果をあげている」と回答した割合が顕著に高い結果となりました。
また、仕事を楽しんでいる人のチームメンバーが、同様に仕事を楽しめているか確認しました。結果、回答者本人が仕事を楽しんでいると、そのチームメンバーも仕事を楽しめている割合が高くなる傾向が明らかとなりました。本人が仕事を楽しんでいる場合、チームメンバーが仕事を楽しんでいる割合は67.4%、逆に本人が仕事を楽しんでいない場合は 8.4%でした。
さらに、チーム全体としての仕事の成果を、そのチームが仕事を楽しめているかどうかという視点で分析すると、仕事を楽しんでいるチームほど高い成果をあげている傾向が明らかとなりました。

“仕事を楽しむ”ために必要なことは?
3.仕事を楽しむためには「仕事の手ごたえ」が重要、「心身の健康」「仕事と生活の両立」は前提


仕事を楽しむために必要と思われる 22 項目について、どの程度必要と思うかを聞いたところ、「とても必要」と回答された項目の TOP3 は、1 位「心身ともに健康である」(58.3%)、2 位「仕事と生活の両立」(51.1%)、3 位「仕事のやりがい」(49.4%)でした。
仕事を楽しんでいる人(n=408)では、1 位「心身ともに健康である」(62.7%)、2 位「仕事のやりがい」(62.3%)、3 位「仕事と生活の両立」(56.1%)となり、TOP3 は全体結果と同一となりましたが、「仕事のやりがい」が 2 位となり、「とても必要」の回答割合も高くなっています。その他、4 位「自分の能力を発揮できる」、5 位「仕事内容と自身の資質・スキルの相性が良い」と続きます。
仕事を楽しんでいない人(「どちらとも言えない」~「まったく楽しんでいない」の合計、n=592)でも、TOP3 項目は全体傾向と同一となりました。

続いて、仕事を楽しむために工夫していることや心がけている行動・考え方を自由回答形式で聞き、回答を内容別に分類しました。TOP3 は、1 位「ポジティブに考えるようにする」(回答数 58)、2 位「コミュニケーションをとる(挨拶や相談・おしゃべりなど)」(回答数 41)、3 位「目標を立てる・達成感を味わう」「スキルアップに努める・向上心をもつ」(各回答数 30)となりました。その他、5 位「誠実に仕事に取り組む・役割をしっかりと果たす」「人間関係を良好にする」(各回答数 29)となり、ポジティブ思考・コミュニケーション・目標設定・向上心・誠実・良好な人間関係などが、仕事を楽しむためのポイントとして捉えられている様子がうかがえます。

仕事を楽しむことと、仕事の大変さの関係
4.仕事が大変だからといって、仕事を楽しめないわけではない。むしろ、難しい仕事へのチャレンジは仕事を楽しむために欠かせない。


仕事の大変さは、仕事を楽しむことにどのような影響を与えるのでしょうか。このことを確認するため、まず、仕事の大変さを難易度と業務量の2つの視点で聞きました。さらにその結果に基づいて、仕事の大変さを「仕事内容:難しい×業務量:多い」「難しい×少ない」「簡単×多い」「簡単×少ない」の 4 つに分類し、「難しい×多い」を「大変な仕事をしている」と位置づけました。最も多くなったのは「難しい×多い」(49.4%)で、約半数の人が自身の仕事内容は難しく、業務量も多いと回答しました。
男女別では、女性より男性で「難しい×多い」が多くなりました。(男性 54.0%、女性 43.7%)。年代別では、「難しい×多い」の割合に関して大きな差異は見られませんでした。
個人年収別では、年収が高くなるほど「難しい×多い」の割合が高くなり、300 万円未満と 700 万円以上では 30 ポイント近い開きが見られました。高い難易度の仕事内容を多くこなすことは、評価として収入に直結しやすいことは容易に想像され、その点を裏付ける結果となっているといえます。

続いて 4 つに分類した仕事の大変さ別で、仕事を楽しんでいる割合を見ました。「大変な仕事をしている」と位置づけた「難しい×多い」の楽しんでいる計は 43.3%で、全体結果の 40.8%と概ね同等の結果となり、“仕事が大変だと、仕事は楽しめない”という図式が存在しているわけではないようです。
むしろ「難しい」と感じている人の方が仕事を楽しんでいる傾向がうかがえ、簡単な仕事を多くこなしている人が最も仕事を楽しめていないことがわかりました。

“仕事を楽しんでいる人”の特徴は?
5.仕事を楽しんでいる人は、「周囲への感謝とポジティブな考え方を心がけており、周囲に支えてくれる人や仲間が存在している」


仕事に関する行動・意識・考え方 13 項目について、どの程度自身にあてはまるかを聞いたところ、「あてはまる計(あてはまる+ややあてはまる)」が高かった項目 TOP3 は、1 位「仕事をしていればミスはつきものだと割り切っている」(55.6%)、2 位「あきらめる前に、自分で何が出来るかをまず考える」(54.2%)、3 位「どんな失敗にも意味があり、無駄なことはないと考える」(54.1%)でした。
仕事を楽しんでいる人(n=408)では、1 位「仕事で関わった多くの人に感謝している」(72.8%)、2位「どんな失敗にも意味があり、無駄なことはないと考える」(70.8%)、3 位「あきらめる前に、自分で何が出来るかをまず考える」(69.6%)となりました。その他、4 位に「仕事をしていればミスはつきものだと割り切っている」、6 位に「困難な目標も努力し続ければうまく行くと信じている」が挙げられ、困難への耐性や自己能力の肯定といえる項目であてはまる計の回答割合が高くなりました。
一方、仕事を楽しんでいない人(n=592)は、TOP3 項目は全体結果と同一の項目となりましたが、TOP3 項目の全てであてはまる計の回答割合が 5 割に満たない結果となり、総じて楽しんでいる人より、低い傾向となりました。


【調査概要】
・調査名称:ビジネスパーソン1000人調査
・調査期間:2015年6月22日(月)~29日(月) 8日間
・調査対象:(株)日本能率協会総合研究所「JMARリサーチモニター」のうち全国の20歳~69歳までの正規・非正規雇用の就業者(企業や団体で働く正社員、役員、経営者、契約・嘱託社員、派遣社員。ただしパート・アルバイト、医師・弁護士などの専門職業、自由業を除く)
・調査方法:インターネット調査
・回答数 :1,000人(内訳:男性556人、女性444人)

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[日本能率協会]
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