地元意識に関する調査 

2015年09月14日
「地方創生」というキーワードが連日メディアを賑わせています。インターネットやソーシャルメディアの普及により、「地元」住民、出身者、その他地域の住民がつながりやすい環境となり、同時に、人々の「地元意識」に変化が生じ始めているようです。
NTTアドは、こうした新たな「地元意識」に着目し、地域活性化との関連性をテーマにインターネット調査を行いました。本調査では、「今、住んでいる地域を地元と捉えている層」を「今が地元派」、「以前、住んでいた地域を地元と捉えている層」を「以前が地元派」とし、地元に対する愛着心や、地域振興施策への考え方を比較検証しております。その結果、最も「地元意識」が強いのは、「東京圏外居住の『今が地元派』」であることが分かりました。

【調査結果概要】

■「地元意識」を持っている場所
対象者の57.4%が、「今が地元派」であり、「以前が地元派」の33.8%を上回った。

■「地元」に対する愛着心
「東京圏外居住の『今が地元派』」が最も「地元」への愛着心が強く、能動的な意志を持ち地方に居住している。

■「地元」と判断する基準
「以前が地元派」は、「小中学校時代過ごした所」を重視して「地元」と判断しており、「今が地元派」は、「地元意識」に懐古的な要素はあまり求めていない。

■「地元」とは精神的にどのような所か
「以前が地元派」は、「地元=ノスタルジアを感じる所」であり、「今が地元派」は、「地元=安堵感を与えてくれる場所」。

■「地元」の地域振興施策の認知率
対象者の45.0%が、「地元」での地域振興施策を認識していない。最も認知率の高い地域振興施策は、「特産品ビジネスの創出」の15.3%であり、「歴史的な施設・文化財や自然を活かした観光ビジネス」14.6%、「地域での音楽や食べ物の祭典などのイベントの誘致・開催」14.4%、「地元の核となるような商業施設の建設」14.0%、「ゆるキャラやご当地アイドルによるPR活動」13.8%と続く 。

■各地域振興施策に対する評価
・「以前が地元派」の「インターネットを利用した動画や映像の配信によるPR活動」に対する評価は全体に比べて高く、「地元ネタ」をインターネット上でシェアすることに比較的肯定的。
・「ゆるキャラやご当地アイドルによるPR活動」は、実施されている地域での評価は高い。

■地域振興施策への参加率・参加意向
対象者の6割以上が、地域振興施策への参加意向がある。また、「今が地元派」は「以前が地元派」に比べ、相対的に参加率・参加意向率共に高く、とりわけ東京圏外居住者が高い傾向にある。

【調査結果詳細】

1、「地元意識」を持っている場所
■「今住んでいる所が地元」と回答した人の割合は57.4%と過半数であり、「以前住んでいた所が地元」と回答した人の33.8%を大きく上回った。
■「地元と呼べる所はない」と回答した人の割合は8.8%であり、親の転勤が多かったせいか、何らかの理由で「地元」を特定出来ない層がいることが分かった。

2、「地元」に対する愛着心
■「今が地元派」の東京圏外居住者は、「(愛着心が)強い」と回答した人の割合が、65.5%と全体平均に比べてやや高く、しかも、「強いとは思わない」と回答した人の割合は8.9%とやや少ない。「今が地元派」の東京圏外居住者は、東京一極集中に流されず、何らかの能動的な意志を持って地方に居住している人が多いと予想される。
■「今が地元派」の東京圏居住者は、「(愛着心が)強い」と回答した人の割合が53.1%と全体平均に比べてやや低く、地方からの転入者が多いせいか、比較的、「地元意識」が薄いと考えられる。

3、「地元」と判断する基準
■「以前が地元派」は、「小中学校時代を過ごした所」「幼少期を過ごした所」「高校生時代を過ごした所」を選択した人の割合が全体平均に比べて高く、とりわけ「小中学校時代を過ごした所」を選択した人の割合が極めて高い。「以前が地元派」は、東京圏・東京圏外居住者を問わず、義務教育を受けた地域を重視して「地元」と判断。
■「今が地元派」は、「小中学校時代を過ごした所」「幼少期を過ごした所」「高校生時代を過ごした所」を選択した人の割合は全体平均に比べて少なく、「地元意識に」懐古的な要素があまり含まれていない。「今が地元派」の中でも東京圏外居住者は、とりわけ「地元」に対する愛着心が強いが、その内訳とは、懐古的な執着心ではなく、今の地域を選択した何らかの「拘り」によるものと考えられる。

4、「地元」とは精神的にどのような所か
■「以前が地元派」は、「懐かしい所」を選択した人の割合が全体平均に比べて極めて高く、「地元=ノスタルジアを感じる所」と捉えている。
■「今が地元派」をは、「安らげる所」を選択した人の割合が全体平均に比べて相対的に高く、とりわけ東京圏居住者は71.3%と高い。「今が地元派」の中でも東京圏居住者は、ハードな通勤や通学を繰り返しているせいか、「地元=安堵感を与えてくれる場所」と捉えているのかもしれない。

5、「地元」の地域振興施策の認知率
■対象者の45.0%が、「特に行われていない・知らない」を選択しており、必ずしも地域振興施策がリーチしているとは言えない。
■最も認知率が高い地域振興施策は、「特産品ビジネスの創出」15.3%であり、さらに「歴史的な施設・文化財や自然を活かした観光ビジネス」14.6%、「地域での音楽や食べ物の祭典などのイベントの誘致・開催」14.4%、「地元の核となるような商業施設の建設」14.0%、「ゆるキャラやご当地アイドルによるPR活動」13.8%と続く。

6、「地元振興策」への評価
■全体での「良い」評価と実施地域での「良い」評価を比較すると、最も差が見られたのは、「ゆるキャラやご当地アイドルによるPR活動」 。実施されている地域での評価は76.8%と高いものの、全体での評価は40.1%と低く、実施されている地域と実施されていない地域とで評価が別れる。
■両者の評価であまり差が見られないのは、「医療や福祉の優遇策」「教育の優遇策」。医療と教育は、誰もが当事者意識を持つ分野であり、実施されていない地域でのニーズも高い

7、各地域振興施策に対する評価:「インターネットを利用した動画や映像の配信によるPR活動」
■「以前が地元派」は、「良い」評価をする人の割合が全体平均に比べてやや高い。「以前が地元派」にとって懐かしさを感じる「地元ネタ」は、インターネットやソーシャルメディア上で、共有・拡散しやすいのかもしれない。
■「今が地元派」は、「良い」評価をする人の割合が相対的に少なく、インターネット上でシェアされることを必ずしも良いことばかりとは捉えていない。

8、各地域振興施策に対する評価:「地域での音楽や食べ物の祭典などのイベントの誘致・開催」
■「以前が地元派」の「良い」評価をする人の割合が相対的に高く、とりわけ東京圏外居住者は67.9%と全体平均に比べてやや高い。地方から地方への転出入者が多いせいか、地方経済の活性化の起爆剤のひとつと捉えているのかもしれない。

9、各地域振興施策に対する評価:「ゆるキャラやご当地アイドルによるPR活動」
■どの層においても、「良い」評価が4割前後と半数に至っておらず、さらに、「どちらともいえない」評価は3割強。
■実施されていない地域での評価が低いためと考えられるが、但し、実施されている地域での認知率は高く、「地元」住民や出身者同士が盛り上がる施策としては有効に機能している。

10、各地域振興施策に対する評価:「ふるさと納税」
■「以前が地元派」の「良い」評価をする人の割合は全体平均に比べてやや高く、「地元」が東京圏外の人が多いせいか、「ふるさと納税」は地方経済に好影響を与えると捉えている。
■「今が地元派」の東京圏居住者は、「良い」評価をする人が41.7%と全体平均に比べてやや少ない。都心部になればなるほど「ふるさと納税」に対する「お礼の品」が無い地域が増えてくるため、メリット感が薄いと考えられている。

11・12、地域振興施策への参加状況・参加意向
■参加状況の全体平均は、「ほとんど参加したことがない」と回答した人の割合は67.2%にも上り、参加経験者32.9%を大きく上回った。
■参加意向の全体平均は、「活動によっては、参加していきたい」と回答した人が61.8%おり、施策の内容次第で参加率を高まる可能性がある。
■「今が地元派」は「以前が地元派」に比べ、相対的に参加率・参加意向率共に高く、とりわけ東京圏外居住者が高い傾向にある。


【調査概要】
・調査テーマ:「地元意識の把握」
・調査目的:生活者の地元に対する意識がどのようなものかを探り、地方創生につながるヒントを発見する。
・回収サンプル数:1,000サンプル/東京駅から30km以内を東京圏と設定し、東京圏居住者を500サンプル、札幌市・仙台市・名古屋市・大阪市・福岡市といった地方都市居住者を250サンプル、それ以外の居住者を250サンプル割り付けた。
・調査時期:2015年7月23日~26日
・調査方法:インターネット調査

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