2016年卒者の就職活動状況や対応策、2017年卒者への支援についての調査(大学の就職・キャリア支援担当部署対象) 

2015年11月17日
ディスコは、全国の大学の就職課・キャリアセンターを対象に、2016年卒者の就職活動状況や対応策、2017年卒者への支援について調査を行いました。(調査時期:2015年10月2日~23日、回答数:267校)。

【調査結果】

1.2016年卒者の就職活動状況

[1] 内定状況(前年度と比べて)
2016 年卒者(現大学4 年生)の内定状況を尋ねた。前年度と比較して「高まっている」という大学が全体の22.5%で、「低下している」が21.7%。「変わらない」が50.2%だった。前年調査では「高まっている」が6 割近くを示し(59.4%)、内定状況が大きく改善している様子が表れていたが、今年は内定率が上がった大学と下がった大学がともに2 割強という結果だった。
企業の採用意欲は引き続き高いものの、選考解禁が繰り下がった影響が少なからず出ているようだ。

[2] 内定先(前年度と比べて)
学生の内定先について、企業の規模の変化という観点で尋ねた。「大手企業が増えた」という大学は全体の17.2%。前年調査では23.2%だったので、6ポイント減少した。ただ、「中堅・中小企業が増えた」も減少し(16.4%→8.2%)、その分、「変わらない」が増加した(47.1%→58.8%)。内定率、内定企業の規模ともに、前年度と同様に推移しているようだ。

[3] 企業からの求人状況(前年度と比べて)
2016年卒者(現大学4年生)の内定状況は前年度と大きく変わらないが、企業からの求人が「増えている」という大学はかなり多い。全体の74.9%が前年度と比較して「増えている」と回答した。特に私立大学において「増えている」が77.3%と8割近くにのぼる。
求人が「減った」という大学は全体の2.6%にとどまり、企業の採用意欲の高さを裏付ける結果と言える。

[4] オワハラ(就活終われハラスメント)について
今年の就職・採用戦線で大きな問題となった「オワハラ(就活終われハラスメント)」について尋ねた。学生からの相談を受けたという大学は全体の6割強にのぼり(64.8%)、特に国公立で73.2%と割合が高かった。

「オワハラ」の具体的な相談内容を尋ねると、最も多いのは「内定承諾書(誓約書)の提出を求められた」で、過半数が回答した(52.1%)。次いで「内定と引き換えに他社の選考を辞退するよう求められた」(37.1%)、「自由応募なのに推薦状の提出を求められた」(28.5%)と続く。
全体的に国公立においてポイントが高く、より多くの相談が寄せられたことがうかがえる。

[5] 新卒採用市場の見方
今期の採用市場をどのように見ているのか、見解を尋ねた。学生に有利な売り手市場かどうかとの観点で聞いたところ、「完全に売り手市場だと思う」との回答は2 割弱(18.0%)だが、「やや売り手市場だと思う」(66.7%)を加えると、8割強(84.7%)が売り手市場を実感しているとの結果が得られた。国公立と私立とで大きな差は見られない。
企業への調査と比較すると、「完全に売り手市場だと思う」が半数を超えており(50.5%)、企業のほうがより強く売り手市場を感じていることがわかる。(2015年7月実施:有効回答1,144 社)

2.2016年卒採用のスケジュール繰り下げについて

[1] 自校の学生の就職活動への影響
2016年卒採用の新スケジュールでは、採用広報開始が3カ月、選考開始が4カ月繰り下がったが、それが自校の学生にどう影響したかを尋ねた。「とても有利になった」との回答は1校もなく、「やや有利になった」も全体の2.2%と極めて少数。一方で、「やや不利になった」27.0%と、「とても不利になった」14.6%をあわせると4割強(41.6%)にのぼる。国公立・私立とで大きな差はなく、不利になったとの見方が圧倒的に多い。
ちなみに、企業調査では自社の採用活動にとっての影響を尋ねたが、「とても不利になった」と「やや不利になった」の合計は6割強(64.6%)にのぼった。(2015年9月実施:有効回答1,355 社)

スケジュール繰り下げの影響を文系学生と理系学生とに分けて尋ねたところ、文理ともに「悪影響があった」が4割を超える結果となった(文系40.6%、理系44.4%)。4年生前期の多くの期間を就職活動に費やした学生は少なくないと見られ、文系であろうと理系であろうと、学業との両立がしにくかったと見ているようだ。

[2] 時期の繰り下げによる変化
時期の繰り下げでどのような変化があったかを尋ね、前年調査で尋ねた変化予想と比較してみた。「企業の青田買い」についてはともに7割弱で差はなかったが、「学卒未就職者が増えそう」「人気業界に学生が集中」については、実際の変化は予想を大幅に下回った。

[3] 時期の繰り下げにあたり取り組んだこと
スケジュール繰り下げに際し、力を入れて取り組んだことを尋ねた。上記と同様に、前年調査で尋ねた予定と比較すると、「学内合同企業説明会の実施時期・内容の見直し」が両者とも最も多く、計画どおりに見直した大学が多かったことがわかる。これに対し、「低学年からのキャリア教育の強化」「インターンシップの強化」「実績企業との関係強化」については、予定と実際の取り組みとに大きな乖離が見られ、予定どおりに取り組めていない大学が多いことがわかる。

[4]キャリアセンターへの負担
スケジュール繰り下げによるキャリアセンターの負担の増減を尋ねると、「負担が増した」という回答が半数以上で(56.9%)、特に国公立では62.5%と6割を超えた。逆に「負担が減った」という回答は全体で0.7%にとどまり、国公立では1校もなかった。
新学期には主に3年生向けガイダンスの実施と、先に見たような「オワハラ」をはじめとした学生からの相談、そして、8月には夏休みを返上した内定相談などが重なり、キャリアセンターの負担増に繋がったと見られる。

3.2017年卒者への就職支援

[1] 企業の来訪(前年度と比べて)
ここからは、2017年卒者(現大学3年生)への就職支援などについて見ていこう。
まず、企業の来訪について尋ねると、前年度と比べて「増えている」という大学が多く、37.1%と4割近くに及んでいる。前年調査でも4割近くが「増えている」と回答しており、そこからさらに増加基調と捉えると、企業の採用意欲がますます高まっている様子がうかがえる。国公立・私立ともに「増えている」が「減っている」を大幅に上回る。私立では「減っている」という大学は1 校もない。

[2] 学内企業説明会への参加意向(前年度と比べて)
学内企業説明会への参加意向についても「増えている」との回答が多く、47.9%と半数近くにのぼる。2017年卒者の採用課題として「大学との関係強化」を挙げる企業が多く(2015年9月実施:有効回答1,355 社)、全体的に企業側の積極的なアプローチが目立つ結果となっている。

[3] 就職ガイダンスの回数(前年度と比べて)
就職ガイダンスの回数を前年度よりも「増やす」という大学は11.2%。「減らす」の4.1%を大きく上回っており、全体的に増える傾向にある。ただ、前年調査に比べると「変わらない」が増加しており(65.6%→74.9%)、ガイダンスについては回数ではなく、実施時期や内容について見直しを検討している可能性もありそうだ。

[4] 就職ガイダンスの実施時期
現3年生向けの就職ガイダンスの実施時期を複数回答で尋ねた。開催が多いのは10月から12月にかけてで、6割を超える大学が実施。年明けは、企業の採用広報開始(3月)直前の2月まで過半数(53.9%)がガイダンスを実施予定と回答した。一方で、前期(4~7月)の開催も4割台で推移しており、全体的に通年化の傾向が見られる。

[5] 学内合同企業説明会の参加企業数(前年度と比べて)
学内合同企業説明会の参加企業数を前年度実績よりも「増やす」という大学は全体の12.4%。企業側の参加意向増加に合わせ枠を増やす動きも見られるが、すでに実施時期と規模も限界になりつつあることも見てとれる。
一方で「未定」が34.5%と3割を超えており、これから検討するという大学も少なくないようだ。

[6] 学内合同企業説明会の実施時期
学内合同企業説明会の時期は「3年次の3月」との回答が全体の59.6%にのぼっており、前年同様、採用広報解禁直後の3月に集中している。日程が集中することで、思うように企業を誘致できない、3月中旬以降の学生の参加率が激減するなど、実施にあたっても前年同様混乱が予測される。

[7] 採用広報開始として望ましい時期
企業の採用情報はいつ頃から公開されるのが望ましいかを尋ね、企業調査の結果と比較してみた。最も多いのは昨年まで採用情報公開時期であった「3年次の12月」で、45.9%と集中している。次に多いのは現行スケジュールの「3年次の3月」(20.3%)。
企業側でも「12月」が最も多く支持されているが、「3月」は7.3%にとどまり、「10月」が10.8%と比較的多いのが特徴的。企業のほうがより早い採用情報公開を望んでいる。

[8] 選考開始として望ましい時期
選考開始時期については、「4年次の4月」(40.7%)、「3年次の3月」(19.9%)の順で、2016年卒者のスケジュール(4年次の8月)よりも早い時期を望む声は88.8%にのぼる。
企業側でも「4月」が最も多く、2015年卒者採用に戻してもらいたいとの考えがうかがえる。

4.インターンシップについて

[1] 企業からのインターンシップ求人状況(前年度と比べて)
インターンシップの求人が前年度よりも「増えている」という大学は全体の53.9%にのぼる。逆に「減っている」は3.4%とかなり少なく、引き続き増加傾向にあると言ってよいだろう。

[2] 学生のインターンシップ参加状況(前年度と比べて)
2017年卒者(現大学3年生)のインターンシップへの関心は高く、全体の53.6%の大学がインターンシップ参加学生は「増えている」と回答した。「減っている」は5.6%にとどまっている。

5.学生へのキャリア・就職指導全般について

[1] 自校における現在の課題
キャリア・就職支援における課題を尋ねた。国公立と私立とで差の大きい項目に着目すると、国公立大学において「学生の就職活動状況・内定状況の把握」が64.3%と、私立大学(45.0%)よりも圧倒的に高く、状況把握に課題を抱える国公立大学が多いことがうかがえる。

[2] 保護者向けに実施していること
学生の保護者に対して実施していることを尋ねた。国公立と私立とでポイント差が大きく、考え方の違いが際立っている。「保護者向けガイダンス(入試説明会とは別に実施)」は私立大学の55.5%が実施しているのに対し、国公立大学では39.3%にとどまる。また、「保護者向け冊子の作成・送付」も私立大学の33.2%に対し、国公立大学では10.7%。その他の施策も国公立大学では少数で、「特別な対策はしていない」が4 割を超える(44.6%)。

[3] Uターン(Iターン)就職について
Uターン就職について尋ねた。「U/Iターン学生を採用したい企業から求人票が届く」という大学は61.8%。国公立・私立とで差は見られない。差が大きいのは「U/Iターン就職希望者を把握している」「U/Iターン就職希望者向けにガイダンスを実施している」の2項目で、ともに私立は国公立に対しおよそ3倍の実施率だった。

[4] 新卒紹介サービスについて
新卒紹介のサービスを学生に「積極的に案内している」という大学は、全体の5.2%にとどまり、「状況に応じて案内している」が44.2%で最も多かった。学生に案内しているという大学は合計49.4%。国公立(39.3%)よりも私立でこの比率は高く(52.1%)、前向きに捉えていることがわかる。
新卒紹介サービスに期待することを尋ねると、「学生の希望や適性にマッチした企業の紹介」が60.3%で最も多かった。


【調査概要】
調査対象: 全国の大学の就職・キャリア支援担当部署
調査方法: インターネット調査法
調査期間: 2015年10月2日~23日
回答学校数: 267校(国公立56校、私立211校)

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