就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」を運営するヴォーカーズは、「残業と株価の相関関係」を発表しました。

安倍首相は経済政策の一環として働き方改革を掲げ、財務省と厚生労働省がまとめる新たな経済政策においても、働き方改革として残業時間に上限を設けるなど、長時間労働を抑制する案が示されています。残業時間を減らす対策が進められる中、今回の調査レポートでは、過去約10年間(2007年12月末-2016年6月末)の株価上昇率(各年の調整済み終値で算出)と、Vorkersに寄せられた平均残業時間の関係性を分析しました。

また、月間平均残業時間が「30時間以下」で株価上昇率が高い企業のランキングも併せて発表します。

【サマリー】

・「残業時間が長いほど株価上昇率が高い」という結果に
・「残業30時間以下企業の株価上昇率ランキング」では、1位に日本調剤、2位にオリエンタルランド、3位に良品計画がランクイン

■残業時間と株価上昇率の相関関係

■残業時間が長いほど株価上昇率が高い
今回のレポートでは、Vorkersにクチコミがある上場企業2,341社を対象に、残業時間と株価上昇率の関係性を調査しました。残業時間別、株価上昇率別に見た結果「残業時間の長さと株価上昇率には相関関係がある」という結果となりました。
今回の調査結果からは、「頑張って残業した結果業績が良くなり、株価が上昇した」のか、「業績好調で株価が上昇する中で仕事が多くなり、残業が増えた」のか、その因果関係を判断することはできませんが、残業と株価がお互いに影響し合う関係にあることがわかりました。働き方改革によって長時間労働への警鐘は大きく鳴らされていくことが想定されますが、単なる残業時間の抑制だけにとどまらず、どのように生産性を高めていくかが今後の課題となるのではないでしょうか。

■残業30時間以下企業の株価上昇率ランキング
残業時間の長さと株価の上昇率に相関関係が見られる調査結果となりましたが、一方で残業時間が短くとも株価が大幅に上昇している企業も存在します。Vorkersに寄せられた平均残業時間が月間30時間以下の企業を対象に2007年と2016年の株価を比較した株価上昇率ランキングを作成しました。
2007年からの約10年は、金融危機、東日本大震災、円安、増税などの影響もあり景気の低迷期が続きました。様々な不景気要因がありながらも、長時間労働に頼らずに株価を上昇させている企業の顔ぶれは?
※カッコ内はVorkersに寄せられた平均月間残業時間

1 日本調剤株式会社 450.00%(21.5)
2 株式会社オリエンタルランド 293.12%(18.1)
3 株式会社良品計画 268.59%(22.3)
4 参天製薬株式会社 191.44%(27.2)
5 株式会社コーセー 188.74%(22.6)
6 株式会社ユナイテッドアローズ 185.03%(26.9)
7 塩野義製薬株式会社 181.92%(21.5)
8 ニフティ株式会社 133.49%(29.4)
9 TOTO株式会社 128.86%(28.4)
10 アコム株式会社 115.32%(29.1)
11 株式会社ヤクルト本社 104.26%(25.9)
12 東海旅客鉄道株式会社(JR東海) 90.19%(28.6)
13 味の素株式会社 89.30%(29.6)
14 株式会社ライフコーポレーション 87.41%(25.3)
15 岩谷産業株式会社 81.25%(26.7)
16 株式会社村田製作所 77.81%(29.7)
17 株式会社SCREENホールディングス 76.96%(24.2)
18 日本電信電話株式会社(NTT) 71.74%(30.0)
19 カゴメ株式会社 67.22%(26.5)
20 株式会社ケーズホールディングス 56.74%(28.6)

■ワークライフバランスを保ちながら業績を上げている企業の特徴とは?
効率的に企業を成長させるには?長時間労働抑制に対する企業の取り組みと、生産性を高めるヒントをランクイン企業の社員クチコミから見ていきたいと思います。

「正社員も、育児休暇取得後は、時間短縮をして勤務でき、残業の無い準社員という働き方もある。また、週3日の午前中勤務など、パート社員としての働き方もある。それぞれ、柔軟に行き来できるため、プライベートのライフイベントの変化に柔軟に対応することができる。(男性、日本調剤)」

「基本的に事前に申告すれば休暇は容易に取得できた。他の企業より休みは取りやすい印象で、社員の間でも非常に印象の良い風土として評価されていた。また、残業もこちらが無理と言えば発生しないし、了承すれば発生する仕組み。中々他の企業ではない制度だったと感じている。(男性、オリエンタルランド)」

「基本的には風通しの良い組織だと思います。わからないことがあればすぐマニュアルや情報が閲覧できますし、周りにも聞きやすいです。業務の無駄があれば意見を出してすぐに改善しようとする風土があります。(女性、良品計画)」

「旧来あった日本特有の文化から脱却しようと色々な施策を実行中。現在は、風土改革・意識改革に力を入れており、全社員がリーダーシップを発揮できるような組織にしようとしている。(男性、参天製薬)」

「部署ごとの残業実績の開示や、有給休暇取得向上案などが経営課題としても出ており、毎日終電帰り休日関係無しのイメージのあるファッション業界内にしては、非常に進んでいるほうだと思います。(男性、ユナイテッドアローズ)」

「組織のフラット化が進み、経営陣までのレポートラインの距離と時間が縮まりました。その結果、会社として機動的に手を打つことができるようになっています。この点、地味ですが他社よりも強みとなって昨今の好成績につながっていると思います。このように外部環境の変化に対応すべく組織体制を変化させ続けているので、組織文化もそれに伴い変わってきています。一言でいうと「変化を好む」気質です。変わらないことは退化と同じだという雰囲気が浸透してきています。(男性、塩野義製薬)」

「頑張らない経営を実行し、無駄な事はせず有意義なことだけをしていこうという文化がある。またお客様第一のための社員第一との考えがあるのでノルマはありません。売らなくても何も言われないが自己成長型の企業のため意識して行動しないと成長しないし、結果役職にも付きづらい。(男性、ケーズホールディングス)」


■データの収集方法
「Vorkers」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。
会社評価レポートの回答条件は下記の通りです。
・社員として1年以上在籍した企業の情報であること
・500文字以上の自由記述項目と、8つの評価項目に回答いただくこと
・月間残業時間(実数)、有休消化率(実数)についても収集

■対象データ(集計期間:2007年7月~2016年6月)
Vorkersへのレポート回答がある上場企業2,341社の2007年12月末と2016年6月末の株価終値(調整済み)及びVorkersに投稿されている「平均残業時間(月間)」を対象データとしています。

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