2017年度 外国人留学生の就職活動に関する調査 

2016年08月17日
DISCOは、2017年3月卒業予定の外国人留学生(現在、大学4年生・大学院修士課程2年生)を対象に、職業観や就職活動に関する調査を行いました。(調査時期:2016年6月29日~7月19日、回答数:296人)

【調査結果】

1.現在の日本語力
はじめに、現在の日本語力について尋ねた。「ネイティブレベル」(23.3%)と「ビジネスレベル」(58.8%)を合わせると、ビジネスレベル以上の日本語を話せる外国人留学生は 8 割を超える(82.1%)。JLPT(日本語能力試験)のレベルについては、最高レベルである「N1」を保有している人は 8 割弱(76.7%)。他方、「持っていない」人は 1 割強(11.5%)であった。企業が求める日本語コミュニケーションレベルやJLPTの入社基準に達している外国人留学生は多い。

2.就職後のキャリアプランと出世希望ランク
就職後のキャリアプランについては、「一つの会社にこだわらず、転職などでキャリア・アップをしたい」が最も多く(48.6%)、「一つの会社に定年まで勤めたい」(28.7%)を上回った。国内学生と比べて、転職でのキャリア・アップや独立・起業志向の学生の割合が高い傾向にある。
続いて出世希望ランクを尋ねたところ、「社長」と回答した人は 2 割を超え(20.3%)、国内学生や日本人留学生と比べると、より上位の役職を目指している人が多い。

3.就職したい企業の種類
「日系企業」に就職を希望している外国人留学生は 6 割を超え(62.5%)、日本人留学生の 56.9%を上回る結果となった。一方で、アメリカ、ヨーロッパ系企業への関心度は日本人留学生よりも低いことがわかる。

4.卒業後の最初の就職希望地と海外拠点への赴任意向
最初の就職希望地は、「日本で就職したい」と回答した外国人留学生が 8 割を超えた(84.1%)。
多くの人がまず日本で働きたいと考えているようだ。
そして、「日本で就職したい」と回答した人に、さらに日本で就職後にその企業の海外拠点で働きたいか(赴任意向)を尋ねたところ、「海外拠点で働きたい」と回答した人が圧倒的に多く(70.7%)、逆に「海外拠点で働きたくない」と回答した人はごく少数に留まった(5.6%)。

「日本で就職したい」と回答した人のうち、さらに「海外拠点で働きたい」と回答した人に、入社してから何年後に海外拠点で働きたいかを尋ねたところ、「3 年以内」と「5 年以内」がどちらも 3 割強で(33.0%、32.4%)、入社後早い段階から赴任したいと考えている人が多いことがわかる。一方で、「10 年以内」と回答した人も 2 割近く(19.9%)、ある程度長期的に日本にいたいと考える外国人留学生も少なくないようだ。
また、就職先企業を選ぶ際に、海外拠点への勤務の有無が影響するかについては、「大きく影響する」が 46.6%、「少しは影響する」が 36.9%だった。

5.就職したい企業の規模
就職したい企業規模については、「業界トップ企業」(32.1%)と「大手企業」(33.4%)の割合を合計すると 65.5%となり、いわゆる「大企業」を希望する人は 6 割を超える。国内学生(3 月調査)よりも大手志向の強さが顕著に表れている。

6.就職活動当初の志望業界
就職活動を開始した当初の志望業界を、40 業界の中から 5 つまで選んでもらった。文系では 1位が「商社(総合)」(45.3%)、2 位が「商社(専門)」(26.6%)と、商社が上位を占める。また、商社に次いで「ホテル・旅行」(24.3%)が 3 位に入り、グローバルに活躍できる業務に携われそうな業界に人気が集まった。一方理系では、「情報処理・ソフトウエア・ゲームソフト」や「情報・インターネットサービス」といった IT 業界の順位が高い。
なお、文系においては、国内学生ではそれぞれ 19 位と 14 位であった IT 業界が 7 位と 8 位に入ったり、理系においては国内学生で 1 位、2 位である「素材・化学」と「医薬品・医療関連・化粧品」が 8 位、9 位であったりと、外国人留学生と国内学生では志望業界に違いが見られた。

7.就職先企業を選ぶ際に重視する点
外国人留学生が就職先を選ぶ際に重視する点は、「将来性がある」が群を抜いて多く(53.4%)、次いで「給与・待遇が良い」(27.7%)、「職場の雰囲気が良い」(27.4%)、「教育・研修制度が充実している」(26.0%)が続いた。
「将来性がある」や「職場の雰囲気が良い」、「仕事内容が魅力的」といった国内学生が重要視している項目は、外国人留学生でも上位に入り、選社基準に共通点が見られる。しかし、「社会貢献度が高い」については、国内学生では 32.9%(3 位)であるのに対し、外国人留学生では 17.2%(10 位)で 15 ポイント以上低く、差が大きい項目も見られる。

8.就職活動量と内定状況
調査時点(7 月)での企業へのエントリー社数は、一人あたり平均で 28.2 社と、国内学生(45.8社)の 6 割程度の水準であった。セミナー参加を見ると、合同開催セミナーでの訪問社数は 11.8社で、国内学生(12.9 社)とほぼ同数だが、企業単独開催セミナーと学内開催セミナーは、それぞれ国内学生の 7 割、5 割程度にとどまる。国内学生の就職活動量とは差が開いている。
また内定率は、国内学生は同じ時点で約 8 割(79.8%)だが、外国人留学生は 3 割台(36.5%)で、国内学生と比べて就職活動の進捗が遅れている様子が表れている。

9.選考時期変更の認知状況
今年の就職活動において選考解禁が 2 か月早まったことについては、「詳しく知っている」と回答した外国人留学生は 4 割程度(40.9%)。一方で、「ある程度知っている(変更されたことは知っていたが、時期までは知らなかった)」が 4 割強(44.6%)、「知らなかった」が 1 割強(14.5%)と、選考解禁時期を正しく認識していなかった人は約 6 割(59.1%)に上る。これが、外国人留学生の就職活動の進捗が遅れている要因の一つとも考えられる。

10.就職活動の情報源
外国人留学生が活用している就職活動の情報源について、最も使用頻度が高いものを選んでもらったところ、1 番多かったのは「企業ホームページ」で 4 人に 1 人が選択(25.7%)。2 番目の「日本国内学生向け就職サイト」(16.6%)は、「留学生向け就職サイト」(13.9%)を上回り、国内学生向けの情報源も並行して活用していることがわかる。
また、大学のキャリアセンターは、65.5%の外国人学生が利用していると回答しており、利用方法については、「就職ガイダンスに参加」と「エントリーシートの添削」がそれぞれ 4 割強(43.8%)であった。

大学や公的機関で受けたいサービスについて尋ねたところ、「留学生採用に積極的な企業情報の提供」(67.6%)、「先輩留学生からの就職アドバイス」(49.7%)、「留学生が気軽に相談できる窓口」(37.2%)の順に多かった。外国人留学生の就職活動に特化した情報や相談できる人・窓口を求めていることがわかる。

11.企業研究をする上で必要な情報ともっと発信してほしい情報
外国人留学生に「企業研究をする上で必要な情報」と「企業にもっと発信してほしい情報」について尋ねた。
「企業研究をする上で知りたい情報」は、トップが「採用スケジュール」で、8 割以上(80.4%)が選んだ。2 番目は「採用方法やプロセス」(72.0%)、3 番目は「採用予定人数」(71.6%)と、採用情報に関する項目が上位を占める。
一方「企業にもっと発信してほしい情報」については、「外国人留学生の採用実績」が 6 割を超えて最も多く(61.5%)、「同じ出身国の社員の採用実績」(53.0%)、「同じ出身国の社員の現在の在籍者数」が(52.7%)続いた。外国人、特に母国社員の採用にまつわる情報の一層の開示を、企業に求めていることがわかる。

12.日本の就職活動でおかしいと思った制度や習慣
外国人留学生が、日本で就職活動をする際におかしいと思った制度や習慣を尋ねてみた。
「服装(リクルートスーツ)」が最も多く(38.9%)、2 番目は僅差で「就職活動の時期」(38.5%)であった。3 番目には「新卒一括採用」(33.1%)が続き、日本特有の服装や、就職活動の時期が決まっていることに違和感を覚えた人が多かったようだ。なお、「就職活動の時期」を選んだ学生からは、卒業前に就職活動をするため、時間の確保や学業との両立に苦労したというコメントが多く寄せられた。

13.日本への留学について
「大変良かった」(47.0%)と「良かった」(41.6%)を合わせた 9 割近く(88.6%)の人が、日本への留学に「良かった」との感想を持っていることがわかった。
また、「日本に留学をした理由」について尋ねたところ、「日本の文化に興味があったから」が圧倒的に多く(63.5%)、「将来日本で働きたいと思っていたから」(34.1%)、「学びたい専門分野が日本にあったから」(31.8%)、「日本の経済・企業に興味があったから」(28.7%)が続く。日本への留学に際し、学生として学ぶだけでなく、その後日本で働くことも見据えて留学する人も少なくないようだ。


【調査概要】
調査対象: 2017年3月卒業予定の外国人留学生(現在、大学4年生・大学院修士課程2年生)
調査方法: インターネット調査法
調査期間: 2016年6月29日~7月19日
サンプリング: キャリタス就活2017に登録している外国人留学生3,531人

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