J-League Management Cup 2015 

2016年11月09日
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社は、2016年7月にJ リーグから公表された52クラブの2015年の財務情報を中心に、ビジネスマネジメント(以下、BM)において最も重要なテーマであるマーケティング、経営効率、経営戦略、財務状況を4 つのステージに分けて数値化し、J1、J2、J3 それぞれのランキングを発表する。2015 年のBM ランキングは、J1 はFC東京、J2 はアビスパ福岡、J3 はレノファ山口FCがそれぞれ第1 位となった。

※数値化方法
マーケティング、経営効率、経営戦略、財務状況に対して、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーが独自のKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)を設定。各KPI は以下のとおり。

マーケティング:平均入場者数、スタジアム集客率、新規観戦者割合、客単価
経営効率:勝点1 あたりチーム人件費、勝点1あたり入場料収入
経営戦略:売上高・チーム人件費率、販営費100 万円あたり入場料等収入
財務状況:売上高、売上高成長率、自己資本比率

・上記KPI に基づいてリーグ別にランキングに応じたポイントを付与(J1 の第1 位は18 ポイント、J2 の第1 位は22 ポイント、J3 の第1 位は12 ポイントで、順位が1 つ下がるごとに1 ポイント減らす)
・最終的に4 つのステージの累計ポイントによってランキングする。
・BM ポイントが同率の場合、マーケティング、経営効率、経営戦略、財務状況の順で順位が上のクラブを上位クラブとする。

J1,J2,J3の「J-League Management Cup 2015」ランキング結果

■「J-League Management Cup 2015」 J1

J1 1 位のFC東京の勝因は人気選手を活用したマーケティング活動
FC東京はマーケティング分野では第2 位、経営効率分野では第3位、経営戦略、財務状況分野ではともに第1 位と安定した成績を収め、第2位の松本に大差をつけての優勝となった。
好成績を牽引したのは人気選手を活用したマーケティング活動と考えられ、入場者数や新規観戦者割合に影響を与えるだけでなく、移籍金収入等によっても効率的な資金回収を実現しており、結果として財務数値も大きく押し上げることとなった。一方、スタジアム集客率等で課題も抱えていることから、今後も継続的にBM 施策を強化していくことが期待される。

■「J-League Management Cup 2015」 J2

J2 1 位はBMを徹底したアビスパ福岡
アビスパ福岡 はマーケティング分野で第2位、経営効率分野では第8位だったが、経営戦略分野では第1位、財務状況分野でも第5位と、昨シーズンの第17位から大きくジャンプアップしての優勝となった。
昨シーズンとの最も大きな違いは、徹底したBM施策の遂行にあるものと考えられる。新たな責任企業が経営に参画したことにより、監督や選手といったFM側も含めてクラブの財務情報等を共有する体制を整備し、FMとBMが一体となってクラブ経営に取り組んだことが大幅なV字回復に繋がった。BMの強化がFMの強化に好影響を与えることを示す事例として、今後の動向も含め注目される。

■「J-League Management Cup 2015」 J3

J3 1 位は新規参入の勢いを活かしたレノファ山口FC
レノファ山口FCはマーケティング分野で第3位、経営効率、経営戦略分野ではともに第1位、財務状況分野では第2位となっており、第2位の長野を僅差でかわしての優勝となっている。

新規参入の初年度という状況を活かし集客数をJFL時代の約7倍に増大させることに成功しているとともに、売上高も飛躍的に増加させている。参入初年度というアドバンテージを最大限活かした形となっているが、一方で経営者自らがキャッシュ・フロー経営を掲げつつBM施策を意識した活動を展開しており、FM面でも参入初年度でJ2昇格を勝ち取っている点は注目に値する結果と言えるだろう。

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[デロイト トーマツ コンサルティング]
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