2017年日本企業によるM&Aに関する予測 

2017年02月24日
EYトランザクション・アドバイザリー・サービス(EYTAS)は、日本の2017年のM&A市場は、日本企業の経営層が成長に引き続きフォーカスしていく年になるため、さらに活性化すると予測します。国内経済成長の低迷や海外の政治的な不確実性がある中、企業のビジネス環境の変化が加速し、M&Aは成長への近道として、日本企業の重要な戦略のひとつになります。

2016年の日本におけるM&A取引は 20兆5千億円でした。これは2015年の 20兆1千億円、2014年の12兆4千億円、2013年の12兆500億円から比べても増加傾向にあります。2017年においても、M&Aは引き続き増加傾向にあり、日本の経営層は国内外でM&Aを積極的に行っていくと予測します。

日本企業は海外における企業買収により、グローバルでの存在感を高めています。今後もさらなる成長を求め、海外に目を向けて、グローバル化されたサプライチェーンでのビジネスを進めていくでしょう。EYTASでは、世界の政治動向が不透明な中、事業成長やサプライチェーン確保のためにも、アウトバウンドの取引がより増加すると予測します。また、健全なポートフォリオを持つために、企業は、トップライン、ボトムラインの成長に貢献していない資産を切り離す判断をしなくてはなりません。そのため、2017年においても、事業売却が増え続けると予測します。
なお、EY のキャピタル・コンフィデンス調査*1の最新版では、日本はグローバル企業の投資先でトップ10入りをしています。企業が成長戦略を加速させていくと同時に、主要トレンドも変化・成長し、それによりM&Aも増加していきます。2017年は日本企業による国内外でのM&Aの動きがより活発になると予想します。

2017年M&A市場のトレンド

1. 国内の成長が低迷する中、アウトバウンド取引によりグローバルでの存在感が高まる
2016年の日本企業のアウトバウンド取引額は、約10兆円から11兆3千億円となり、昨年に比べて13%増加しました。これは2013年、2014年の約6兆円を大きく上回ります。国内M&Aに関しても、前年比4.3%増、2015年の7兆5千億円から、2016年は7兆8千億円を超える規模に増加しました。2016年において、主な買収対象地域は、ヨーロッパ(約6兆2千億円)、および北米(約4兆円)でした。

2. デジタル・ディスラプションによるM&A取引の牽引
日本企業は、デジタルトランスフォーメーションなど、業界や顧客の要望の変化に対応するため、M&A戦略に取り組んでいます。2016年、グローバルM&Aにおいて、業界が異なるクロスセクターM&Aは、1,126件、8兆5千億円まで増加しています(前年比42%増)。他社の持つイノベーションを取り入れ、従来のビジネスモデルの見直しや事業領域拡大のため、日本企業は積極的に動いています。

3. 日本のM&A市場におけるプライベートエクイティ(PE)の関与が増加
2016年の日本におけるプライベートエクイティ(PE)の取引額は、昨年比で約2倍の約1兆1千億円規模に増加しました。インバウンドのPE額もほぼ2倍の1兆円規模に増加しています。しかし、日本のアウトバウンドPE取引額は昨年の1千800億円から1千360億円まで減少しています。 昨今のコーポレートガバナンス改革などによる投資戦略の変化を考慮し、日本のM&A市場にPEの関与が増えると予想します。

4. ポートフォリオ最適化のため、事業売却への決断を加速
2016年の事業売却額は2015年の約6兆円から7兆8千億円にまで増加しました。この数字は2012年から増加傾向にあります。20年前(1996年)の総事業売却額3千400億円と比較し、日本企業のビジネス文化に変化の兆しが現れています。

換算レート: 2月14日現在 1USドル113.70円として計算
*1 EYキャピタル・コンフィデンス調査: 約1,800人の企業の経営層を対象に調査を実施 (最新版は2016年10月、半期ごとに発行。)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[EY]
 マイページ TOP