経営人材育成に関する調査(日本に本社を置く大手企業(売上高1,000億円以上)対象) 

2016年07月21日
コーン・フェリーのヘイグループ部門は、日本に本社を置く大手企業(売上高1,000億円以上)に対し、「経営人材育成に関する調査」を実施しました。

日本では上場会社に適用されるコーポレートガバナンスコードが 2015 年 6 月に施行され、コーポレートガバナンス上でも経営者のサクセッションプランの構築と役員の選任プロセスの整備は重要なテーマとなっています。

調査によると、経営人材の育成に十分に取り組めている日本の大手企業は全体の13%であり、それらの企業は共通して、①経営トップおよび経営陣のコミットメントが大きく、②人材要件、選抜・登用の明確な基準とプロセスの策定、および、③経営人材候補の見直しのサイクルが構築されていることがわかりました。

① 経営トップおよび経営陣のコミットメント
経営トップ主導で、経営人材の選抜・登用が行われている企業は59%、経営人材候補者の育成が行われている企業は28%、経営トップが自らの時間の30%以上を人材育成に割いている企業は19%でした。このことから日本の大手企業では、経営人材育成が人事部主導となっている場合が多く、トップが人材育成にかける時間の少ないことも、優秀な候補者が育ちにくくなっている原因の一つと考えられます。

② 経営人材要件や選抜に関する透明性
コーポレートガバナンスコードが定める「取締役会が後継者計画に関する監督を行う」ためにも、その前提としてサクセッションプランの明確化が求められますが、明確なプロセスに従ってサクセッションプランニングが行われている企業の割合は38%でした。また、経営人材の要件が明確に定義されている企業の割合は22%、選抜・登用が明確な基準に従って行われている企業は13%のみでした。透明性を担保し、内・外部の納得感を得るためにも、選定に当たっての方針や手続きの明確化を早急に進める必要があるでしょう。

③ 経営人材要件や候補者の見直し
経営人材の要件は、ビジネス環境や事業戦略によって当然変わり見直す必要があります。調査では、経営人材候補者の見直しが定期的になされている企業の割合は59%した。残り約4割の企業は、結果として会社の方向性とマッチしていない候補者が選ばれている可能性があり、経営人材要件とともに候補者の定期的な見直しが必須です。

その他、経営人材の要件に合う候補者が社内に十分いると答えた企業は3%しかなく、候補者拡充のために社外から採用を検討している企業は50%でした。マーケットから自社の求める人材をいかに効率的に特定し、採用につなげるかがカギとなるようです。
また、社内に経営人材候補者として高いポテンシャルがある人材がいた場合、2階層・等級以上の抜擢を行うと答えた企業は全体の9%しかなく、抜擢したくても上に空いたポジションがない等の人員構成上の制約や、抜擢によって発生する 「年次と等級/ポストのねじれ」を許容できない価値観上の制約など、抜擢人事を行うに当たり何らかの障害があるとみている企業は78%にものぼりました。


【調査概要】
本社所在地が日本である大手企業75社に対して、本年3~4月にメールにて質問票を送信・回収する手法でアンケートを実施。32社より有効回答を得る。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[コーン・フェリー・ヘイグループ]
 マイページ TOP