平成28年度「能力開発基本調査」(「企業調査」、「事業所調査」、「個人調査」) 

2017年03月31日
厚生労働省は、平成28年度「能力開発基本調査」の結果を取りまとめましたので公表します。
「能力開発基本調査」は、国内の企業・事業所と労働者の能力開発の実態を明らかにすることを目的として、平成13年度から毎年実施しています。
「能力開発基本調査」は、企業の能力開発の方針などを調べる「企業調査」、事業所の教育訓練の実施状況などを調べる「事業所調査」、個々の労働者の教育訓練の実施状況などを調べる「個人調査」で構成されています。「企業調査」と「事業所調査」は常用労働者30人以上を雇用している企業・事業所を対象に、「個人調査」は調査対象事業所に属している労働者を対象に実施しています。今回の調査対象数は、「企業調査」が約7,300企業、「事業所調査」が約7,200事業所、「個人調査」が約24,000人です。

【調査結果サマリー】

1教育訓練に支出した費用の労働者一人当たりの平均額(企業調査)〈参考1-P1参照〉
・企業がOFF-JT※1 に支出した費用の労働者一人当たりの平均額は2.1万円。
・企業が自己啓発支援に支出した費用の労働者一人当たりの平均額は0.5万円。
 
2人材育成の課題(事業所調査)〈参考1-P17参照〉
・人材育成に関して何らかの「問題がある」と回答した事業所は72.9%。
・問題点として多い回答は、「指導する人材が不足している」(53.4%)、「人材育成を行う時間がない」(49.7%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(43.8%)。
 
3自己啓発の状況・課題(個人調査)〈参考1-P33・ P37参照 〉
・自己啓発を行った労働者は、正社員※2では45.8%、正社員以外※3では21.6%。
・自己啓発を行う上で「問題がある」と感じる労働者は正社員で78.4%、正社員以外で70.3%。
・問題点として最も多い回答は、正社員、正社員以外とも「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(正社員:59.3%、正社員以外:39.4%)。

※1 OFF-JT:業務命令に基づき、日常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(研修)。
※2 正社員:雇用期間の定めのない労働者で、企業または事業所で定められている1週間の所定労働時間で働いている者。
※3 正社員以外:「嘱託」「契約社員」「パートタイム労働者」などの名称で呼ばれている者。派遣労働者と請負労働者は含まない。

【調査結果の概要】

1 企業調査

(1)OFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用について(図1、図2)
教育訓練に支出した費用の労働者一人当たり平均額(費用を支出している企業の平均額。以下同じ。)を見ると、OFF-JTは2.1万円(平成27年度調査(以下「前回」という。)1.7万円)と前回より増加したが、自己啓発支援は0.5万円(前回0.6万円)と、前回より減少している。

(2)能力開発の考え方について
① 「企業主体」か「労働者個人主体」か(図3、図4)
正社員に対する能力開発の責任主体については、「企業主体で決定」する又はそれに近いとする企業は76.1%(前回76.6%)と、前回と比べるとほぼ横ばいとなっており、高い水準にある。一方、「労働者個人主体で決定」する又はそれに近いとする企業は23.0%(前回22.9%)である。
一方、正社員以外に対する能力開発の責任主体については、「企業主体で決定」する又はそれに近いとする企業は65.6%(前回64.7%)であり、前回と比べるとやや増加している。「労働者個人主体で決定」する又はそれに近いとする企業は32.4%(前回33.7%)である。正社員以外に対しては、「企業主体で決定」する又はそれに近いとする企業が、正社員に比べると10%ポイント余り低い水準にある。

② 「処遇に関連づける」か「処遇に関連づけない」か(図5、図6)
正社員に対する職業能力評価の処遇への関連づけについては、「処遇に関連づける」又はそれに近いとする企業は77.3%(前回75.5%)と、前回と比べると増加しており、「処遇に関連づけない」又はそれに近いとする企業は21.6%(前回23.8%)である。
一方、正社員以外に対する職業能力評価の処遇への関連づけについては、「処遇に関連づける」又はそれに近いとする企業は63.1%(前回61.3%)であり、前回と比べるとやや増加している。「処遇に関連づけない」又はそれに近いとする企業は34.8%(前回37.2%)である。

③ 「選抜重視」か「全体重視」か(図7、図8)
正社員に対する重視する教育訓練対象者の範囲については、「労働者全体を重視する」又はそれに近いとする企業は59.1%(前回58.6%)と、前回と比べるとやや増加しており、「選抜した労働者を重視する」又はそれに近いとする企業は39.9%(前回40.8%)とやや減少している。
一方、正社員以外に対する重視する教育訓練対象者の範囲については、「労働者全体を重視する」又はそれに近いとする企業は54.8%(前回53.2%)とやや増加しており、「選抜した労働者を重視する」又はそれに近いとする企業は43.0%(前回45.1%)である。

④ 「OJT」か「OFF-JT」か(図9、図10)
正社員に対する重視する教育訓練については、「OJT」を重視する又はそれに近いとする企業は74.6%(前回74.0%)とほぼ横ばいとなっており、「OFF-JT」を重視する又はそれに近いとする企業は24.1%(前回25.2%)で、やや減少している。
一方、正社員以外に対する重視する教育訓練については、「OJT」を重視する又はそれに近いとする企業が77.9%(前回77.2%)、「OFF-JT」を重視する又はそれに近いとする企業は19.6%(前回20.7%)である。

⑤ 「外部委託・アウトソーシング」か「社内」か(図11、図12)
正社員に対する教育訓練の実施方法の方針については、「社内」を重視する又はそれに近いとする企業は61.8%(前回61.0%)と過半数を占めており、前回と比べるとほぼ横ばいとなっている。「外部委託・アウトソーシング」を重視する又はそれに近いとする企業は37.1%(前回38.2%)とやや減少している。
一方、正社員以外に対する教育訓練の実施方法の方針については、「社内」を重視する又はそれに近いとする企業は74.3%(前回74.4%)、「外部委託・アウトソーシング」を重視する又はそれに近いとする企業は23.6%(前回23.7%)でいずれも前回と比べるとほぼ横ばいとなっている。正社員に比べて「外部委託・アウトソーシング」を重視する又はそれに近いとする企業割合が低い。

(3)能力開発の実績・見込みについて(図13、図14)
正社員に対する過去3年間(平成25年度~平成27年度)のOFF-JTに支出した費用の実績は、「増減なし」とする企業が35.2%、「増加した」とする企業は24.8%であった。
同様に自己啓発支援に企業が支出した費用の実績については、「増減なし」とする企業は28.6%、「増加した」とする企業は11.7%であった。
「今後3年間」の見込みと「過去3年間」の実績を比較すると、OFF-JT、自己啓発支援ともに、今後3年間は「増加予定」とする企業割合が高くなり、OFF-JTでは37.4%、自己啓発支援では30.1%となっている。
また、OFF-JTに関しては、「今後3年間」の見込みについて「実施しない予定」とする企業が22.2%であった。
一方、正社員以外に対する「過去3年間」のOFF-JTに支出した費用の実績は、「実績なし」とする企業が53.1%、「増加した」とする企業は10.4%であった。自己啓発支援に支出した費用の実績については、「実績なし」とする企業が65.5%、「増加した」とする企業は5.5%であった。
「今後3年間」の見込みと「過去3年間」の実績を比較すると、OFF-JT、自己啓発支援ともに「増加予定」とする企業割合が高くなり、OFF-JTでは20.6%、自己啓発支援では17.9%となっているが、正社員と比べると低い水準にとどまっている。

(4)事業内職業能力開発計画及び職業能力開発推進者について(図15、図16、図17、図18)
事業内職業能力開発計画の作成状況は、「いずれの事業所においても作成していない」とする企業が75.4%(前回76.8%)と前回と比べるとやや減少しており、「すべての事業所において作成している」とする企業は15.4%(前回14.8%)、「一部の事業所においては作成している」とする企業は8.4%(前回7.9%)といずれもやや増加している。
事業内職業能力開発計画を作成している企業における作成方法は、「本社が事業内職業能力開発計画を一つ作成し、すべての事業所に適用している」とする企業は66.2%(前回66.9%)で、前回と比べるとほぼ横ばいとなっている。
職業能力開発推進者の選任状況については、「いずれの事業所においても選任していない」とする企業が73.5%(前回74.4%)と大半を占めているが、前回と比べると減少している。他方で、「すべての事業所において選任している」とする企業は15.5%(前回14.0%)で前回と比べるとやや増加し、「一部の事業所においては選任している」とする企業は10.1%(前回10.8%)でほぼ横ばいとなっている。
職業能力開発推進者を選任している企業における選任方法は、「本社が職業能力開発推進者を一人選任し、すべての事業所について兼任させている」とする企業は64.1%(前回66.6%)であった。

(5)教育訓練休暇制度及び教育訓練短時間勤務制度の導入状況について(図19、図20、図21)
教育訓練休暇制度の導入状況は、「導入を予定していない」とする企業は77.3%(前回82.1%)と大半を占めている。「導入している」は7.9%(前回7.7%)と前回と比べるとほぼ横ばいとなっている。「導入していないが、導入を予定している」は14.1%(前回8.8%)と前回と比べると増加している。
教育訓練短時間勤務制度の導入状況についても同様に、「導入を予定していない」とする企業が79.0%(前回83.3%)と大半を占めている。「導入している」は6.2%(前回6.2%)で前回と同率となっている。「導入していないが、導入を予定している」は13.6%(前回8.6%)と前回と比べると増加している。
教育訓練休暇制度又は教育訓練短時間勤務制度の導入を予定していない企業のうち、導入する予定がない理由は、「代替要員の確保が困難であるため」が53.7%(前回50.0%)が最も高く、「制度自体を知らなかったため」43.1%(前回42.2%)、「労働者からの制度導入の要望がないため」33.9%(前回33.2%)と続いている。

2 事業所調査

(1)教育訓練の実施に関する事項について
① OFF-JTの実施状況(図22、図23、図24、図25、図26)
正社員に対して、平成27年度にOFF-JTを実施した事業所は74.0%(前回72.0%)と前回と比べると増加している。産業別に見ると、複合サービス事業(98.1%)、電気・ガス・熱供給・水道業(96.6%)、金融業,保険業(91.8%)などで高く、生活関連サービス業,娯楽業(60.0%)、宿泊業,飲食サービス業(65.4%)で低くなっている。企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど実施率は高い。
一方、正社員以外に対して平成27年度にOFF-JTを実施した事業所は37.0%(前回36.6%)であり、正社員に比べると半分の水準にとどまっている。産業別に見ると、複合サービス事業(88.6%)、金融業,保険業(70.0%)、医療,福祉(58.2%)で高く、情報通信業(30.7%)、製造業(29.2%)、生活関連サービス業,娯楽業(28.8%)などで低くなっている。企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど実施率は高い傾向にあるが、「1,000人以上」でも49.1%にとどまっている。
正社員に対するOFF-JTの実施状況を職層別に見ると、新入社員は60.7%、中堅社員は61.5%、管理職層は51.0%となっている。
実施したOFF-JTの教育訓練機関の種類は、正社員、正社員以外ともに「自社」が最も高く、正社員では76.5%、正社員以外では87.5%となっている。正社員では、そのほかに「民間教育訓練機関(民間教育研修会社、民間企業主催のセミナー等)」が45.5%となっているが、正社員以外では、「自社」以外は全て20%以下となっている。
実施したOFF-JTの内容は、「新規採用者など初任層を対象とする研修」が74.2%と最も高く、「マネジメント(管理・監督能力を高める内容など)」(47.1%)、「新たに中堅社員となった者を対象とする研修」(46.8%)と続いている。

② 計画的なOJTの実施状況(図27、図28、図29)
正社員に対して、平成27年度に計画的なOJTを実施した事業所は59.6%(前回58.9%)と前回と比べるとほぼ横ばいとなっている。産業別に見ると、電気・ガス・熱供給・水道業(92.3%)、複合サービス事業(93.4%)、金融業,保険業(86.3%)などで高く、生活関連サービス業,娯楽業(52.3%)、卸売業,小売業(52.8%)、宿泊業、飲食サービス業(53.8%)、などで低くなっている。企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど実施率は高い。
一方、正社員以外に対して、平成27年度に計画的なOJTを実施した事業所は30.3%(前回30.2%)と前回と比べるとほぼ横ばいとなっており、また、正社員に比べるとおおよそ半分の水準にとどまっている。産業別に見ると、複合サービス事業が78.3%と最も高く、不動産業、物品賃貸業(19.2%)、建設業(16.5%)、情報通信業(15.6%)は20%以下となっている。また、企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど実施率は高いが、「1,000人以上」でも44.1%にとどまっている。
計画的なOJTの実施状況を職層別にみると、新入社員は51.8%、中堅社員は38.9%、管理職層は23.4%となっている。

(2)人材育成について
人材育成に関する問題点(図30、図31)
能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は72.9%(前回71.6%)と前回と比べるとやや増加している。
能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所のうち、問題点の内訳は、「指導する人材が不足している」(53.4%)が最も高く、「人材育成を行う時間がない」(49.7%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(43.8%)と続いている。

(3)労働者のキャリア形成支援について
① キャリアコンサルティングを行うしくみの導入状況
(図32、図33、図34、図35、図36、図37、図38、図39)
正社員に対してキャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所は44.5%(前回37.9%)となり、前回より増加している。産業別に見ると、金融業,保険業(86.1%)、複合サービス事業(83.3%)、電気・ガス・熱供給・水道業(74.0%)で70%以上となっている。正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所は30.9%(前回23.7%)となり、正社員に比べると低い水準にとどまっている。産業別に見ると、複合サービス事業(76.3%)、金融業,保険業(71.5%)で70%以上となっている。企業規模別に見ると、正社員、正社員以外ともに、規模が大きくなるほどキャリアコンサルティングを行うしくみを導入している割合が高くなっている。
キャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所のうち、キャリアコンサルティングの実施時期は、正社員では「労働者から求めがあった時に実施する」(58.4%)が最も高くなっており、同様に正社員以外でも、「労働者から求めがあった時に実施する」(66.6%)が最も高くなっている。
キャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所のうち、キャリアコンサルティングを行う目的は、正社員、正社員以外ともに「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため」「労働者の自己啓発を促すため」が高くなっている。正社員では「労働者の希望等を踏まえ、人事管理制度を的確に運用するため」(52.2%)も半数を超えている。
キャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所のうち、キャリアコンサルティングを行う上で問題点がある事業所は、正社員で58.3%(前回57.2%)、正社員以外で56.4%(前回52.1%)である。問題点の内訳は、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」が正社員(41.6%)、正社員以外(44.5%)ともに最も高くなっている。
キャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所のうち、事業所で相談を受けているのはキャリアコンサルタントであるかとの問いに「そうである」と回答したのは7.7%となっている。
キャリアコンサルティングを行うしくみを導入していない事業所のうち、キャリアコンサルティングを行っていない理由は、「労働者からの希望がない」が正社員(50.2%)、正社員以外(47.3%)ともに最も高くなっている。

② ジョブ・カードの認知状況(図40)
ジョブ・カードの認知状況は、「内容を含めて知っており活用している」は2.8%(前回2.1%)にとどまっている。一方、「内容を含めて知っているが活用していない」が24.1%(前回23.5%)、「名称(言葉)は聞いたことがあるが内容は知らない」が43.1%(前回40.3%)となっており、「名称(言葉)を聞いたことがなく、内容も知らない」が29.5%(前回33.8%)となっている。

③ 労働者の自己啓発に対する支援の実施状況(図41、図42)
正社員の自己啓発に対する支援を行っている事業所は80.9%(前回79.6%)、正社員以外では58.8%(前回55.6%)である。内容としては、「受講料などの金銭的援助」が正社員、正社員以外ともに最も高く、正社員では79.2%、正社員以外では60.8%となっている。その一方で、「教育訓練休暇の付与」(正社員:17.5%、正社員以外:14.7%)は低い水準にとどまっている。

(4)労働者の職業能力評価について
① 職業能力評価の実施状況(図43、図44)
職業能力評価を行っている事業所は、正社員では53.8%(前回55.0%)と、前回と比較して減少している。正社員以外では36.5%(前回36.1%)と前回とほぼ横ばいである。
産業別に見ると、正社員では電気・ガス・熱供給・水道業で85.2%、金融業,保険業で71.2%と高くなっている。また正社員、正社員以外ともに複合サービス事業で70%台と高い。企業規模別では、正社員では規模が大きくなるほど実施率が高く、正社員以外でも同様の傾向がみられる。

② 職業能力評価における検定・資格の利用状況(図45、図46)
職業能力評価を行っている事業所での職業能力評価における検定・資格の利用状況は、「正社員のみに利用している」は35.0%(前回35.1%)と前回と比べるとほぼ横ばいである。「正社員、正社員以外の両方に利用している」は20.0%(前回18.7%)と前回と比べて増加している。一方、「利用していない」が43.7%(前回44.6%)と減少している。
また、利用している検定・資格は、「国家検定・資格(技能検定を除く)又は公的検定・資格」が73.4%、「民間団体が認定する民間検定・資格」が44.6%、「技能検定」が41.4%、「事業主等が認定する社内検定・資格」が41.3%となっている。

③ 職業能力評価の活用方法(図47)
職業能力評価を行っている事業所での職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」(80.9%)が最も高く、以下、「人材配置の適正化」(63.2%)、「労働者に必要な能力開発の目標」(47.0%)と続いている。

④ 職業能力評価に係る取組の問題点(図48、図49、図50)
職業能力評価を行っている事業所のうち、職業能力評価に係る取組に問題を感じる事業所は67.4%(前回63.8%)と、前回よりも増加している。産業別に見ると、医療,福祉(75.6%)が最も高く、電気・ガス・熱供給・水道業(22.0%)が最も低くなっている。企業規模別に見ると、「100~299人」の企業で73.1%と他の企業規模に比べて高くなっている。
職業能力評価を行っている事業所のうち、職業能力評価に係る取組の問題点の内訳は、「全部門・職種で公平な評価項目の設定が難しい」(72.7%)が最も高く、「評価者が評価基準を把握していないなど、評価内容にばらつきが見られる」(49.6%)と続いている。

(5)技能の継承について
技能継承の問題の有無(図51)
労働者の定年退職等で発生する技能継承の問題がある事業所は35.4%となっている。
技能継承の取組を行っている事業所は85.1%(前回83.1%)と前回と比べるとやや増加している。
取組の内容は、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用している」が63.5%と最も高く、「中途採用を増やしている」(44.1%)、「新規学卒者の採用を増やしている」(30.4%)と続いている。

3 個人調査

(1)会社を通して受講した教育訓練について
① OFF-JTの受講状況(図54、図55)
平成27年度にOFF-JTを受けた者の割合は、正社員では46.3%(前回44.1%)、正社員以外では21.8%(前回20.9%)と、ともに増加している。産業別に見ると、正社員では、学術研究,専門・技術サービス業(56.5%)、情報通信業(54.7%)で50%台となっており、生活関連サービス事業、娯楽業(27.2%)で低くなっている。正社員以外では、サービス業(他に分類されないもの)(33.5%)、金融業,保険業(28.6%)、学術研究,専門・技術サービス業(27.5%)などで高く、建設業(12.7%)、電気・ガス・熱供給・水道業(14.5%)、複合サービス事業(15.2%)などで低くなっている。
企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど割合が高く、正社員では「100~299人」及び「300~999人」の企業では40%台、「1,000人以上」の企業では半数を超えている。正社員以外は100人以上の企業で20%台となっている。

② OFF-JTを受講した労働者の延べ受講時間(図56)
OFF-JTを受講した者の延べ受講時間は、正社員は「5時間以上10時間未満」が26.0%(前回24.4%)で最も高く、「5時間未満」(17.3%(前回18.7%))、「10時間以上15時間未満」(14.8%(前回13.9%))と続いている。一方で、正社員以外では「5時間未満」が46.1%(前回43.4%)で最も高く、「5時間以上10時間未満」(27.1%(前回29.6%))、「15時間以上20時間未満」(7.3%(前回5.1%))と続いている。

③ 受講したOFF-JTの役立ち度(図57)
受講したOFF-JTの役立ち度を見ると、正社員では「役に立った」が50.2%、「どちらかというと役に立った」が44.4%となり、肯定的意見が94.6%であった。
正社員以外でも同様であり、「役に立った」が50.1%、「どちらかというと役に立った」が44.0%と肯定的意見が94.1%であった。

(2)指導やアドバイスについて
① 部下等への指導やアドバイス、上司等からの指導やアドバイス(図58、図59)
平成27年度に部下、同僚、仕事仲間に対して指導やアドバイスをした者は、正社員では「よくした」が18.7%、「ある程度した」が55.9%で、合わせると74.6%となっている。正社員以外では「よくした」が17.5%、「ある程度した」は46.3%で合わせて63.8%となっている。
上司、同僚、仕事仲間からの指導、アドバイスは、正社員では「よくしてくれた」が27.5%、「ある程度してくれた」は50.4%で合せて77.9%となっている。正社員以外では「よくしてくれた」が28.9%、「ある程度してくれた」は46.2%で合わせて75.1%となっている。

② 受けた指導やアドバイスの役立ち度(図60)
受けた指導やアドバイスの役立ち度を見ると、正社員では「役に立った」が48.7%、「どちらかというと役に立った」が40.0%となり、肯定的意見が88.7%であった。
正社員以外でも同様であり、「役に立った」が46.4%、「どちらかというと役に立った」が38.8%と肯定的意見が85.2%であった。

(3)自己啓発について
① 自己啓発の実施状況(図61)
平成27年度に自己啓発を行った者は、正社員では45.8%(前回42.7%)、正社員以外では21.6%(前回16.1%)となっており、自己啓発を行った者の割合は昨年度と比べて、正社員、正社員以外ともに増加している。

② 自己啓発の実施方法(図62)
自己啓発の実施方法は、正社員では「ラジオ、テレビ、専門書、インターネット等による自学、自習」を挙げる者の割合が49.4%で最も高く、以下、「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」(29.1%)、「社外の勉強会、研究会への参加」(24.1%)、「民間教育訓練機関(民間企業、公益法人、各種団体)の講習会、セミナーへの参加」(22.9%)「通信教育の受講」(19.4%)、と続いている。
正社員以外においても、「ラジオ、テレビ、専門書、インターネット等による自学、自習」(52.9%)を挙げる割合が最も高く、「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」(27.7%)が続いている点は正社員と同様である。一方、「通信教育の受講」(9.1%)は正社員と比べると低く、半分以下にとどまっている。

③ 自己啓発を行った労働者の延べ受講時間(図63)
自己啓発を行った労働者の延べ受講時間は、正社員では「10時間以上20時間未満」が20.6%(前回20.7%)と最も高くなっている。正社員以外では、「5時間未満」(26.5%(前回22.7%))、「5時間以上10時間未満」(19.2%(前回18.4%))の割合が正社員よりも高くなっている。

④ 自己啓発にかかった費用の補助の状況(図64)
自己啓発を行った者のうち費用の補助を受けた者は、正社員では45.3%と、前回と比べてやや増加している。正社員以外では24.4%と、前回と比べて減少している。

⑤ 自己啓発を行った理由(図65)
自己啓発を行った者のうち、自己啓発を行った主な理由を見ると、正社員では「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」が84.4%で最も高く、「将来の仕事やキャリアアップに備えて」が59.0%、「資格取得のため」が32.0%と続いている。正社員以外でも同様の傾向であり、「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」が79.2%で最も高く、「将来の仕事やキャリアアップに備えて」が38.7%、「資格取得のため」が23.2%と続いている。

⑥ 自己啓発を行う上での問題点(図66、図67)
自己啓発を行う上で何らかの問題があるとした者は、正社員では78.4%(前回78.8%)、正社員以外では70.3%(前回71.5%)となっている。
自己啓発における問題点の内訳は、正社員では「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が59.3%で最も高く、以下、「費用がかかりすぎる」(29.7%)、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」(21.8%)、「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」(20.4%)が続いている。
正社員以外でも「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(39.4%)を挙げる割合が最も高いことは正社員と同様であるが、その次に「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」(35.7%)が高くなっている。

(3)これからの職業生活設計について
職業生活設計の考え方(図 68)
自分自身の職業生活設計についての考えを見ると、正社員では「自分で職業生活設計を考えていきたい」が29.1%、「どちらかといえば、自分で職業生活設計を考えていきたい」が38.9%となり、両者を合わせると60%超(68.0%)が主体的に職業生活設計を考えたいとしている。
一方、正社員以外では「自分で職業生活設計を考えていきたい」が22.2%、「どちらかといえば、自分で職業生活設計を考えていきたい」が26.2%となり、主体的に職業生活設計を考えたいとしているのは半数以下(48.4%)にとどまっている。なお、「わからない」とする者の割合が30.0%と正社員(14.2%)と比べて2倍以上高くなっている。

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[厚生労働省]
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