日本で働くホワイトカラーの外国人財を対象にした調査 

2017年11月30日
アデコは、日本の企業(*)に常勤として勤務するホワイトカラーの外国人財300名を対象に、日本で働くこと、現在の就労環境、また日本人の働き方についてどのように考えているかに関するアンケート調査を実施しました。

少子高齢化が進み労働力人口の減少が続くなか、国内経済を活性化するためには、多様な価値観や経験を持つ人財を活用してイノベーションを促進することが重要になっています。高い技術や能力を有する「高度外国人財」の活用は解決策のひとつとして挙げられていますが、そのような人財をどのようにして日本へ誘致するかが、国や企業にとって課題となっています。日本政府は2012年より、高度な専門性を持つ外国人財に対し、長期在留期間の延長や永住権の付与などの在留資格の見直しを進めていますが、外国から優秀な人財を誘致するために、より一層の工夫が求められています。

今回、実際に日本の企業に常勤として勤務しているホワイトカラーの外国人財を対象にアンケート調査を実施した結果、日本で働く外国人財は、現在の就労環境に全体としては満足しているものの、人事や評価などの制度面については不満を持っていることがわかりました。また、調査を通して、日本人の働き方に対する外国人財の見方が明らかになるととともに、日本の企業におけるどのような習慣に戸惑っているかもわかりました。

*:日系・外資系を問わず、日本国内に拠点を置く企業

<調査結果サマリー>

日本で常勤として働くホワイトカラーの外国人財の約8割が、「現在の就労環境に満足しており、今後も日本の企業で働きたい」と回答する一方、人事や評価の仕組みには不満 回答者の77.0%が「現在の就労環境に満足している」、84.0%が「今後も日本の企業で働きたい」と回答した。満足している理由としてもっとも多かったのは「業務内容」(60.6%)、次に「同僚との人間関係」(57.1%)が挙げられた。一方、「人事制度」や「評価制度」に満足していると回答したのは3割未満で、人事や評価の仕組みに対する不満があることも明らかになった。

日本で働く外国人財は、同僚である日本人の働き方について、「仕事の精度が高い」(80.3%)、「人財の指導や育成に長けている」(61.3%)と評価する一方で、「無駄な会議が多い」(71.7%)、「時間の管理が上手くない」(56.7%)と考えていた。

回答者の約7割が、外国人であることが理由で機会を与えられなかったり、日本独自の習慣に戸惑った経験があると回答。また、戸惑ったことがある日本独自の習慣の具体例としては、「上下関係」や「年功序列」の厳しさをはじめとする組織文化、「会議が長い」「残業が多い」などの労働時間に関すること、「報・連・相」や「根回し」といった細かいコミュニケーションが求められる業務プロセス、必ずしも生産性やパフォーマンスで評価されない「評価基準のわかりにくさ」などが多く挙げられた。

<調査結果詳細>

1. 日本の企業の就労環境に対する意識
■日本で常勤として働く外国人財の約8割が、「現在の就労環境に満足しており、今後も日本の企業で働きたい」と回答
回答者全体の77.0%が「現在の就労環境に満足している」、84.0%が「今後も日本の企業で働きたい」と回答しました。また、「現在の就労環境に満足している」と回答した231人に対し、どんな点に満足しているかを訊ねたところ、もっとも多く挙げられたのは「業務内容」(60.6%)、次が「同僚との人間関係」(57.1%)でした。一方、「人事制度」の満足度は29.4%、「評価制度」の満足度は27.7%で、全体的には満足している外国人財でも、人事や評価の仕組みに関しては不満を持っていることが明らかになりました。

2. 日本人の働き方に対する見方
■同僚の日本人の働き方についての印象は、「仕事の精度が高く人財の指導や育成にも長けているが、無駄な会議が多く時間の管理が上手くない」
一緒に働いている日本人の働き方についての印象を訊ねたところ、80.3%が「仕事の精度が高い」、61.3%が「人材の指導や育成に長けている」と評価する一方、71.7%が「無駄な会議が多い」と感じており、56.7%は「時間の管理が上手くない」と見ていることがわかりました。

3. 日本の企業での職場環境や組織文化に対する意識
■日本の職場環境で不満に思っていることは、多様性への不寛容と、察することを要求するコミュニケーション
日本の企業の職場環境についての印象を訊ねたところ、「男女が平等に扱われていない」(43.3%)、「外国人に対する差別がある」(39.0%)のような多様性への不寛容さと、「『阿吽の呼吸』といった直接的でないコミュニケーションが煩わしい」(40.0%)、「遠回しな言い方がわかりにくい」(39.0%)という、察することを要求するようなコミュニケーションの仕方にもっとも不満を持っていました。

■約7割が「外国人であるがゆえに機会を与えられなかったと感じることがある」、また「日本独自の習慣に戸惑ったことがある」と回答
日本の企業での勤務におけるネガティブな経験について質問したところ、「外国人であるがゆえに、機会を与えられなかったと感じることがある」と答えた回答者が約7割(69.3%)に上り、さらに70.3%が「日本独自の習慣に戸惑ったことがある」と回答しました。具体的にどんな「日本独自の習慣」に戸惑ったことがあるかを訊ねたところ、「上下関係や年功序列の厳しさ」をはじめとする組織文化、「会議が長い」「残業が多い」などの労働時間に関すること、「報・連・相」や「根回し」といった細かいコミュニケーションが求められる業務プロセス、そして必ずしも生産性やパフォーマンスで評価されない「評価基準のわかりにくさ」などが多く挙げられました。

4. 外国人財が日本で働き始めたきっかけと、長く働くために企業に必要だと思うこと
■日本で働こうと思った理由は、住みやすさと日本という国への興味が6割以上
日本で働こうと思った理由を訊ねたところ、6割以上が「住みやすいから」(62.3%)と「日本に興味があるから」(60.7%)を挙げました。

また、外国人財が日本の企業で長く働くため、企業がどんなことに取り組むべきかを訊ねたところ、「外国文化に対する理解の向上」を挙げた回答者が62.7%ともっとも多く、次いで「より良いワークライフバランスへのサポート」(62.3%)、「日本人・外国人従業員間の区別の撤廃」(60.0%)となりました。


<調査概要>
【調査対象】
日本の企業に常勤として勤務するホワイトカラーの外国人財男女300名

【性別】
男性:131名
女性:169名

【職業】
会社員(正社員):76.7%(230人)
公務員・団体職員:1.0%(3人)
派遣社員:契約社員:22.3%(67人)

【就業先の種類】
日系企業:73.0%(219人)
外資系企業:24.7%(74人)
不明/わからない:2.3%(7人)

【日本で常勤として勤務した就業期間の合計】
1年以上~2年未満:21.7%(65人)
2年以上~3年未満:27.7%(83人)
3年以上~4年未満:17.0%(51人)
4年以上~5年未満:8.7%(26人)
5年以上:25.0%(75人)

【日本で常勤として勤務した企業の数】
1社(現在勤めている会社のみ):43.7%(131人)
2社:32.0%(96人)
3社:17.0%(51 人)
4社:5.0%(15人)
5社:2.0%(6人)
6社以上:3%(1人)

【年収】
100万円未満~400万円未満:50.7%(152人)
400万円以上~800万円未満:34.3%(103人)
800万円以上:7.7%(23人)
答えたくない:7.3%(22人)

【日本語レベル】
レベル1(最高) 幅広い場面で使われる日本語を理解できる:46.7%(140人)
レベル2 日常的な場面で使われる日本語を理解できる:36.0%(108人)
レベル3 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる:9.3%(28人)
レベル4 基本的な日本語を理解できる:3.3%(10人)
レベル5(最低) 基本的な日本語をある程度理解できる:4.7%(14人)

【調査方法】
インターネット調査

【調査実施時期】
2017年10月25日~30日

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[アデコ]
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