「ボス充」上司に関する意識調査(300名以上の企業に勤務している20代から50代までの正社員対象) 

2018年02月06日
リクルートマネジメントソリューションズは、「上司の社外活動に関する意識調査(「ボス充」意識調査)」を実施し、「理想の上司」「上司の社外活動に対する評価」「本人の社外活動状況」などについて公表しました。

「ボス充」とは、上司が生活を楽しみ、社外活動が充実している状態のことを表した造語です。実際に、部下は「ボス充」上司のことをどのように捉えているのでしょうか。その一端を明らかにすることを目的に、調査を実施しました。

なお、本調査における社外活動としては、以下のような活動を提示しています:
「社会福祉、文化振興、災害復興などのボランティア活動」「学校、PTA、自治会の役員などの地域貢献活動」「セミナー・勉強会・研究会」「ビジネススクール・大学院」「副業・兼業(起業含む)」「政治活動」「趣味・スポーツなどのスクールやコミュニティ」「育児」「介護」。
複数回答による選択割合として多かったものは、「趣味・スポーツなどのスクールやコミュニティ」15.2%、「育児」12.1%、「ボランティア活動」10.0%、「ビジネススクール・大学院」10.0%でした。

分析にあたっては、上司の社外活動に対する意識や、理想の上司について、「20代一般社員」と「40~50代管理職」との間には意識のギャップがあるのではないかという仮説のもと、両群の傾向の比較を行いました。本レポートでは、その分析結果として、以下の3点について、順にご紹介していきます。

・社外活動が充実している上司の方が、若い部下には魅力的に映っている
・多くの若い部下にとって、理想の上司は人間的な幅が広く、早く帰る人である
・若い部下は、上司の社外活動の話を聞きたいと思っている

【調査結果】

社外活動が充実している上司の方が、若い部下には魅力的に映っている

 まず、「仕事人間」「会社人間」な上司よりも、社外活動が充実している上司の方が魅力的かどうかをたずねた結果が図表2-1です。図表2-1-(1)では、積極肯定群(「とてもあてはまる」「あてはまる」)の割合は、20代一般社員では40.2%であったのに対して、40~50代管理職では32.3%でした。20代一般社員の方が、40~50代管理職よりも、「ボス充」上司を魅力的に感じているようです。なお、当該年齢層に限らず、一般社員(全体)と管理職(全体)との間で、回答傾向が統計的に有意に異なることも確認されました。なかでも一般社員においては、20代が最もその選択割合が高いという結果でした。

さらに、図表2-1-(2)では、回答者本人の社外活動の有無別傾向において、両群ともに社外活動をしている方が、選択割合が高いことが確認されました。20代一般社員では47.1%、40~50代管理職でも38.7%が選択していました。

 続いて、図表2-2は、活動内容によって、上司の社外活動への評価が異なるのかどうかを見たものになります。「社会の役に立つもの」については、両群においてほぼ同様の傾向でした。一方、「学び」「家族」「生活の充実」に関連するものについては、20代一般社員の方が肯定的な傾向が見られました。興味深いのは、「仕事や職場にプラスの効果がもたらされるのであれば、良いことである」については、僅差ながら40~50代管理職の方が選択割合が高く、管理職のなかで相対的に多く選ばれていたことです。社外活動の内容いかんにかかわらず、仕事や職場にメリットがもたらされるのであればよいと考えている様子がうかがえます。

 上司の社外活動への肯定的な意見について見てきましたが、「自分や職場の業務に支障をきたすようであれば、やめてほしい」「上司の社外活動には、まったく興味がない」という回答も一定数ありました。いずれも、20代一般社員の方が多く選択しています。当然のことながら、本人が上司や職場に求めるものや価値観の違いによって、上司の社外活動に対する評価や関心は異なるということも認識しておくことが必要です。

多くの若い部下にとって、理想の上司は人間的な幅が広く、早く帰る人である

 つぎに、理想の上司(管理職)に関する結果をご紹介します(図表3)。対形式の項目に対して、どちらの特徴をもつ人物が理想の上司(管理職)かをたずねたところ、20代一般社員の方が「(仕事は生活の中心ではなく)仕事は生活の一部」(75.3%)、「(遅くまで仕事をしているのではなく)早く帰る」(75.3%)、「(仕事での専門性が高いことより)人間的な幅が広い」(60.8%)を多く選択していました。これらは統計的にも有意な差であり、当該年齢層に限らず、一般社員(全体)と管理職(全体)との比較においても、「仕事は生活の一部」「早く帰る」は統計的な有意差が、「人間的な幅が広い」についても差に有意傾向が確認されました。

 一方、「職場で自分のプライベートの話をする」「仕事でだけでなくプライベートも含めて、1人の人間として関係性を築きたい」の2項目については、40~50代管理職の方が多く選択しており、プライベートも含めた上司との関係性については肯定的に捉えている様子がうかがえました。

 今回の調査では、回答の理由までは聞いていないため、「仕事は生活の一部」が良いのは、世代によるワーク・ライフ・バランス意識の違いによるものなのか、「早く帰る」上司が良いのは、早く帰りたいときに自分が帰れないからなのか、その選択の意味するところは分かりません。解釈には注意を要するものの、20代一般社員と40~50代管理職との間で、理想の上司(管理職)としてイメージするものの違いがあることが示唆されました。

若い部下は、上司の社外活動の話を聞きたいと思っている

 それでは、部下は上司の社外活動の話に興味があるのでしょうか。社外活動の学びを職場でも共有してほしいかどうかをたずねたところ、図表4-1のとおり、積極肯定群(「とてもあてはまる」「あてはまる」)は、20代一般社員は27.9%、40~50代管理職は27.4%と、いずれも3割近い結果でした。「ややあてはまる」まで加えると、管理職の方が選択割合は高いですが、20代一般社員においても、61.9%が共有してほしいと考えているようです。なかでも、本人が社外活動を行っている場合には、その割合は70.6%まで上昇しています(図表4-2)。若い部下の多くは、上司の社外活動での学びの話を聞きたいと思っており、自分が社外活動を行っていると、さらにその傾向が高まることが分かりました。

社外活動の充実が仕事にプラスの効果をもたらす

 ここまで、部下にとって、社外活動を行っている上司は魅力的であることを見てきましたが、最後に、社外活動を行っている人は仕事にどのように取り組んでいるのか、その特徴を確認してみましょう。

 図表5は、本調査の回答者全員を対象とした、「A.自分らしさ」「B.ワーク・ライフ・バランス」「C.適応感」「D.満足度」に関する項目への回答の平均値を、本人の社外活動の有無で比較した結果です。

 「A.自分らしさ」については、社外活動を行っている方が、「自分らしさというものがある」と考え、「本当の自分は1つとはかぎらない」という多元的自己を有していることがうかがえます。いずれも統計的にも有意な差がありました。

 「B.ワーク・ライフ・バランス」については、「仕事よりも趣味や家庭を大事にしたい」には2群間でほとんど差が見られず、社外活動を行っている人の方が「打ち込める仕事であれば、仕事中心の生活になることもいとわない」と考えているようです。また、プライベートの側面が仕事にポジティブな影響を及ぼしている様子がうかがえます。1つ目の「家庭重視」の項目以外の3項目は、統計的にも有意な差がありました。

 仕事や職場への「C.適応感」については、仕事のやりがいや成果発揮など、いずれの項目も社外活動を行っている人の方が高い傾向を示し、統計的にも有意な差がありました。

 「D.満足度」については、「仕事満足」のみ統計的に有意に、社外活動を行っている人の方が高い結果が確認されました。このことから、どの項目にも高い回答をしているというような単なる回答傾向の違いではないことが分かります。

 このように、社外活動を行っている人は仕事を疎かにしているわけではなく、むしろ、仕事や職場に対する高い適応感をもち、仕事にも満足している状態であることが確認されました。

 本調査の分析結果から、20代一般社員と40~50代管理職との間に、上司の社外活動に対する意識においてギャップが存在していること、若い部下は「ボス充」上司を支持していることが示唆されました。


【調査概要】
調査対象:300名以上の企業に勤務している20代から50代までの正社員
 ※役職は、一般社員と管理職(役員を除く)
 ※年齢層は、20代、30代、40代、50代で均等になるように割付
 ※管理職の社外活動の有無が均等になるように割付
調査内容:理想の上司、上司の社外活動に対する評価、本人の社外活動状況等
調査方法:インターネット調査
実施時期:2017年10月
有効回答数:519名(内訳:一般社員397名、管理職122名)
回答者の属性:
 ・男性69.9%、女性30.1%
 ・従業員規模:300名以上500名未満15.8%、500名以上1000名未満20.8%、1000名以上3000名未満19.8%、3000名以上5000名未満7.3%、5000名以上10000名未満10.0%、10000名以上26.2%
 ・未婚37.2%、既婚62.8%子供なし48.7%、子供あり51.3%

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