生物多様性に関する調査(経団連企業会員、JBBP企業会員対象) 

2018年02月19日
日本経済団体連合会(経団連)は、生物多様性に関するアンケート-自然の恵みと事業活動の関係調査-を発表。

【調査結果のポイント】

1.生物多様性の主流化は、企業において着実に進展
※ アンケート回答企業数が昨年度の238社から275社に増加。なかでも経団連自然保護協議会会員以外の回答企業が増加。

(1) 企業経営において、生物多様性に関する意識は高い。
① 「生物多様性」や「愛知目標」の認知度はそれぞれ94%、69%と、高水準。〔問1、2〕
② 93%の企業が、経営理念や経営方針・環境方針等において、自然保護や生物多様性保全といった概念を盛り込んでいる。〔問3〕

(2) 6割の企業が、生物多様性に関する「宣言」「行動指針」「ガイドライン」等を作成し、事業活動への組み込みや関連技術開発等を行っている。〔問4、13〕

(3) 8割の企業が、環境報告書やホームページ等で、生物多様性に関する情報公開を実施。
非財務情報の開示やESG投資などへの関心の高まりも一因と考えられる。〔問5〕

(4) 8割超の企業が、事業活動と生物多様性の関連を把握。〔問6〕
6割超の企業が、生物多様性に関する取組みに目標を設定。〔問7〕

(5) ISO14001 2015年版に移行した企業が66%と大幅に増加(昨年度34%)したことなどにより、環境マネジメントシステムを保有している企業の87%(221社)が、生物多様性に関する取組みを記述している(昨年度75%、170社)。〔問11、12〕
※ ISO14001は、2015年改定により、「生物多様性に関する配慮義務」 が盛り込まれた。

(6) 「経団連生物多様性宣言」に掲げる7つの原則に関しては、製造業・非製造業を問わず多くの企業が実践。[問15]

(7) 寄せられた具体的活動事例(【別冊】参照)は551件に増加(2016年度453件)。企業の取組みが量的に増え多様化していることが示唆。SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献。〔問16〕

2.生物多様性を主流化する上での課題は、引き続き存在

(1) 自社の事業活動と生物多様性の関係性について、定量的に把握している企業は4割強、定量目標を設定している企業は3割に止まっており、生物多様性の取組みに関する定量化や定量目標設定の難しさについて、改めて確認できた。一方で、8割を超える企業が定量的・定性的な目標を組み合わせて柔軟に目標設定・進捗管理に努めている。〔問6、7、8、9、14〕
⇒ 生物多様性の主流化に向けた取組みは、定量目標である必要はない。目標・要素・評価項目
・評価基準・評価主体等の明確化や、定期的な評価などを通じて、定性目標のもとで具体的な行動に着手するなど、より多くの事業者がまず一歩を踏み出すことが重要(16頁〔定性評価を行う場合の留意点〕参照)。

(2) 生物多様性主流化の阻害要因として、上記「定量把握や定量目標の設定の難しさ」に加えて、「事業の利益に結びつきにくい」、 「本業との関連性が低い」ことを生物多様性主流化の阻害要因として指摘する企業が多い。〔問14〕
⇒ 生物多様性との関係性・関わり方は、業種・業態や地域により異なることから、長期的な企業価値の向上等の観点から取組むことや、多様なアプローチで貢献していくことが重要。生物多様性との直接的な結びつきが薄い企業であっても、省エネ・低炭素化・資源循環対策や、従業員教育の実施、基金への寄附等を通じて、生物多様性保全に間接的に貢献することが可能。

(3) 生物多様性の取組みは、広くSDGsにも貢献することを認識し、経済界における主体的な行動をより一層増やしていくことが重要。


【調査概要】
調査目的:
 (1) 「愛知目標」の達成に向けて、生物多様性の主流化を推進すべく、企業の認識や取組み状況等を把握
 (2) 企業における取組みを充実化すべく、先進的な活動事例を共有
調査対象:
 (1) 経団連企業会員(約1,360社<経団連自然保護協議会会員含む>)
 (2) 生物多様性民間参画パートナーシップ(JBBP)企業会員(約400社)
 ※ 2011年度から2015年度まで、(2)のみを対象に実施してきた調査について、2016年度から、調査対象に(1)も加えて実施
調査期間:2017年9月~11月
有効回答数:275社 (うち、JBBP 企業会員 166社) ※ 昨年度 2016年調査( 238社)より 37社回答増

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[日本経済団体連合会]
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