経営者に求められる資質等に関する調査(取締役・執行役員対象) 

2018年08月01日

日本能率協会(JMA)は、トップマネジメント層の経営力向上のため『JMAトップマネジメント研修プログラム』を 35 年以上実施し、これまで延べ 10,000 人の方が参加しています。
変化の激しい経営環境の先頭に立つ「理想の経営者」に求められる資質とは何か、役員の意識や実態はどうなっているかをひも解くため、同プログラムの受講者に、経営者の資質等に関するアンケートを実施しています。加えて、今回は、昨今、社会的要請が高まっている SDGs に対する意識調査も実施しました。

調査トピックス


  • 1. SDGs17 の目標の中で、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に関心のある役員が最も多い。
  • 2. 職場で評価されていると思う資質は「論理的思考」「変化への柔軟性」「本質を見抜く力」が前年同様 TOP3 に。「人への興味・愛情」が急上昇。
  • 3. 役員就任前にやっておけばよかったことは、「財務・会計に関する知識習得」「外国語によるコミュニケーションの向上」「社外人脈づくり」 

調査結果


1.「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に関心のある役員が最も多い

SDGs について、“自社で既に取り組んでいるもの”ならびに“これから取り組みたいもの”について聞いた(17 の選択肢の中から、既に取り組んでいるものは回答者 1 人につき 2 つまで選択、これから取り組みたいものは 1 つ選択)。

SDGs 既に取り組んでいるものはどれですか?
n=132、2 つまで選択 ※有効回答のみ

1位 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 43 票 13.8%
2位 気候変動に具体的な対策を 40 票 12.8%
3位 すべての人に健康と福祉を 26 票 8.3%
4位 住み続けられるまちづくりを 11 票 3.5%
5位 産業と技術革新の基盤をつくろう 9 票 2.9%
5位 働きがいも経済成長も 9 票 2.9%

SDGs これから取り組みたいものはどれですか?
n=249、1 つ選択 ※有効回答のみ

1位 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 47票 15.1%
2位 産業と技術革新の基盤をつくろう 38票 12.2%
3位 働きがいも経済成長も 34票 10.9%
4位 住み続けられるまちづくりを 24票 7.7%
5位 気候変動に具体的な対策を 23票 7.4%
5位 すべての人に健康と福祉を 23票 7.4%

“自社で既に取り組んでいるもの”は、1 位「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(43 票 13.8%)、2 位「気候変動に具体的な対策を」(40 票 12.8%)、3 位「すべての人に健康と福祉を」(26 票 8.3%)となった。

“これから取り組みたいもの”は、1 位は「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(47票 15.1%)、2 位「産業と技術革新の基盤をつくろう」(38 票 12.2%)、3 位「働きがいも経済成長も」(34 票 10.9%)が上位となった。

1 位はどちらも「エネルギーをそしてクリーンに」で同じだった。具体的な取り組みを自由回答で聞いたところ、「次世代エネルギーのひとつとして、燃料電池の開発」「燃料電池自動車をターゲットとした水素の確保」といった燃料電池に関するもの、「クリーンエネルギーの利用」「クリーンな排ガス用センサーの製造」といったクリーンエネルギーに関するものが挙がった。CO2 削減に関する事例が多く挙がったことは、SDGs が提唱される前から既に自社の事業として地球温暖化の対策に取り組む企業の多いことが伺える。

“自社で既に取り組んでいるもの”では 5 位である「産業と技術革新の基盤をつくろう」と「働きがいも経済成長も」が、“これから取り組みたいもの”では 2 位、3 位に浮上した。
昨今は AI 等の新しい技術が進み、イノベーションがないと自社が生き残れないという危機
意識の高まりが、産業と技術革新の基盤への着目から推察される。また 2016 年から提唱されている働き方改革の取り組みが、企業間で定着しつつあることも伺える結果となった。

2.職場で評価されていると思う資質は「論理的思考」「変化への柔軟性」「本質を見抜く力」が前年同様 TOP3 に。「人への興味・愛情」が急上昇。

職場で評価されていると思う資質(優先項目を 3 つ回答、※有効回答のみ)

2017 年度 n=307(取締役 38.1%、執行役員 61.9%)
順位 要素 票数 %
1 論理的思考 71  22.8%
1 変化への柔軟性 71  22.8%
3 本質を見抜く力 62  19.9%
4 統率力 51  16.3%
5 人への興味・愛情 48  15.4%
6 国際的経験 44  14.1%
7 ビジョンを掲げる力 42  13.5%
8 過去からの脱却 39  12.5%
8 しつこさ 39  12.5%
10 情熱 35  11.2%
11 分析力 34  10.9%
12 人心掌握力 31  9.9%
13 イノベーションの気概 30  9.6%
13 胆力(覚悟、腹の括り方) 30  9.6%
13 フェアな評価 30  9.6%
16 強烈な意志 29  9.3%
17 リスク管理 27  8.7%
18 楽観性 25  8.0%

“ご自身が職場で評価されていると思う資質”について、(28 項目の中から、回答者 1 人につき 3 つ選択)してもらったところ、2017 年度は、1 位「論理的思考」「変化への柔軟性」(各 71 票 22.8%)、3 位「本質を見抜く力」(62 票 19.9%)となり、順位は入れ替わったものの 2016 年度から上位 3 つは変わらなかった。4 位は「統率力」(51 票 16.3%)だった。

2017 年度の 5 位「人の興味・愛情」(48 票 15.4%)は、昨年の 16 位(31 票 9.7%)から大きく順位を上げた。4 位、5 位に人間関係構築に関する項目があがっていることは、統率力があるだけではなく、部下を始めとした周囲の人への興味・愛情を持って接する昨今の役員像が伺える。

3.役員就任前にやっておけばよかったこと
「財務・会計に関する知識習得」「外国語によるコミュニケーションの向上」「社外人脈づくり」

役員就任前にもっとやっておけばよかったと後悔していること
2017 年度 n=307 人、複数回答可 ※有効回答のみ

1 位 財務・会計に関する知識習得 153 票 49.0%
2 位 外国語によるコミュニケーション力の向上 133 票 42.6%
3 位 社外人脈作り 97 票 31.1%
4 位 会社法・税法などの法律知識習得 95 票 30.4%
5 位 歴史・文化・地政学などの一般教養 87 票 27.9%
6 位 戦略に関する知識習得 75 票 24.0%
7 位 組織マネジメント・人材育成に関する知識習得 55 票 17.6%
8 位 IT に関する知識・スキルの習得 51 票 16.3%
9 位 リーダーシップ向上のためのスキル習得 43 票 13.8%
10 位 プレゼンテーションスキルの習得 33 票 10.6%

“役員就任前にもっとやっておけばよかった”と後悔していることを聞いたところ、1 位「財務・会計に関する知識習得」(153 票 49.0%)、2 位「外国語によるコミュニケーション力の向上」(133 票 42.6%)、3 位「社外人脈づくり」(97 票 31.1%)と前年度と変わらなかった。役員は、自身が積み重ねてきた事業に関する知識だけでなく、経営全体に携わるための財務、会計知識、外国語のスキルを学び、社外での人脈づくりが必要と認識していることが伺える。

調査概要


名称:経営者に求められる資質等に関するアンケート
実施期間:2017 年 7 月 13 日~2018 年 3 月 17 日
実施対象:『JMA トップマネジメント研修プログラム』受講者
アンケート内容:SDGs について、経営者に求められる資質について
実施方法:質問紙法(研修初日に配布、終了時に回収)
回答数:312 人[取締役 114 人(36.5%)・執行役員 198 人(63.5%)]
属性:製造業 195 人(62.5%)非製造業 117 人(37.5%)
上場企業 205 人(65.7%)未上場企業 107 人(34.3%)

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[日本能率協会]
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