「働き方改革への意識や企業の取り組み状況」に関する調査(20〜59歳の会社員対象) 

2018年07月17日

マクロミルは、「働き方改革への意識や企業の取り組み状況」に関する調査を実施。

先月6月29日に、働き方改革関連法が「残業時間の上限規制」「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」「同一労働同一賃金」の導入を柱として参院本会議で可決され成立。2019年4月から順次、適用が開始されます。内閣官房に「働き方改革実現推進室」が設置されてから約2年で、企業の働き方改革はどの程度進んだのでしょうか?全国の20〜59歳の会社員(民間企業に勤める、役職者を除く正社員)1,000名に、勤め先における働き方改革の取り組み状況や、現在の意識を調査しました。

調査TOPICS


  • 勤め先が、働き方改革に「取り組んでいる」3割。“取り組んでいる”とは回答できない人が6割
  • 働き方改革の取り組み内容、
    「有給休暇取得の推進」「長時間労働の見直し」など、“労働時間”に関するものが上位に
  • “長時間労働の見直し”による変化、
    「家族と過ごす時間が増えた」24%、「休養が充分とれるようになった」20%などポジティブな回答が多い中、「給与が下がった」とネガティブな変化を挙げる人も21%
  • 働き方改革で、「会社全体」の働き方が変わったと感じる人は47%、「自分自身」の働き方も変わったと感じる人が35%
  • 高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)、「賛成」3割、「反対」3割、「わからない」4割

調査結果


■勤め先が、働き方改革に「取り組んでいる」3割。“取り組んでいる”とは回答できない人が6割

民間企業に勤める正社員(一般社員)1,000名に対して、勤め先が「働き方改革」に取り組んでいるかを尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した人は37%でした。一方、「取り組んでいない」は5ポイント高い42%で、取り組んでいるかどうか「わからない」という人も21%存在しました。”勤め先が、働き方改革に取り組んでいる”とは回答できない人が63%という結果です。

■働き方改革の取り組み内容、
「有給休暇取得の推進」「長時間労働の見直し」など、“労働時間”に関するものが上位に

どのような働き方改革の取り組みが実施されているのか、14個の取り組みを選択肢に挙げ※1、再度全体に対して実施状況を尋ねました。

実施されている取り組みの上位2つは、「有給休暇取得の推進」36%、「長時間労働の見直し」31%となっており、従業員の“労働時間”に関する取り組みを進める民間企業が多いようです。3番目、4番目にも「業務効率化の推進」「フレックス勤務」といった労働時間に関するものが挙がりました。

また、前段【1】において、勤め先が働き方改革に取り組んでいない、取り組んでいるかどうかわからないと回答した人が63%いましたが、具体的な取り組み内容を選択肢で挙げ回答してもらったところ、「いずれの制度も取り組んでいない」という回答は33%と大きく減少しました。これら取り組みが、働き方改革に関するものだと認識されていない場合も多いようです。

※1:選択肢一覧/テレワーク・在宅勤務の導入、モバイルワークの導入(ノートPCやスマートテバイスなどを活用し、どこでも仕事ができる)、フレックス勤務、短時間勤務・短時間正社員(育児・介護のための短時間勤務は除く)、朝型勤務の推進、地域限定正社員(転勤せずに働けるなど)、サテライトオフィスの導入(都市周辺部に設けた小規模オフィスでも勤務できるなど)、長時間労働の見直し(ノー残業デー、深夜残業禁止、残業禁止など)、有給休暇取得の推進、業務効率化の推進、育児や介護の支援(育児休暇、介護休暇、育児や介護のための短時間勤務など)、女性活躍の推進(女性の役員・管理職登用など)、高齢者の雇用促進(定年引上げなど)、外国籍や留学生の雇用促進

■“長時間労働の見直し”による変化、
「家族と過ごす時間が増えた」24%、「休養が充分とれるようになった」20%などポジティブな回答が多い中、「給与が下がった」とネガティブな変化を挙げる人も21%

「長時間労働の見直し」に取り組む企業に勤める308名に、どのような変化があったのか尋ねました。回答が多かった順に、「家族と過ごす時間が増えた」24%、「給与が下がった」21%、「休養が充分とれるようになった」20%、「趣味や習い事をする時間が増えた」19%、「業務時間中の集中力が高まった」14%が上位5位となっています。

長時間労働が減り、ワーク・ライフ・バランスの“ライフ”の時間が増えたことによるポジティブな回答が多い一方で、「給与が下がった」というネガティブな回答も…。また、「何も変わっていない」という人も33%存在していました。

■働き方改革で、「会社全体」の働き方が変わったと感じる人は47%、
「自分自身」の働き方も変わったと感じる人が35%

2019年4月の働き方改革の適用開始に向け、具体的な取り組みを推進したり制度を整備したりする企業が増えることが予想されます。では、現時点で、企業の働き方改革によって、実際に「働き方が変わった」と感じている人はどの程度いるのでしょうか。

働き方改革に取り組む企業に勤める371名のうち、“会社全体”の働き方が変化したと感じる人は約半数の47%に達し、変化を感じない人は15%でした。また、“自分自身”の働き方が変化したと感じる人も35%いて、変化を感じない人は26%という結果でした。

■高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)、「賛成」3割、「反対」3割、「わからない」4割

働き方改革関連法の3本柱の1つ、「高度プロフェッショナル制度(以降、「高プロ制度」)」は、別名「ホワイトカラー・エグゼンプション」「残業代ゼロ法案」とも呼ばれ、年収1,075万円以上の一部専門職の方が労働時間に関する既存の保護から外され、残業代や深夜・休日労働の割増賃金が支払われなくなる制度です。民間企業に勤める一般社員の皆さんは、この高プロ制度に対してどのような考えを持っているのでしょうか。

高プロ制度について賛否を尋ねたところ、「賛成」32%、「反対」30%でほぼ同数でした。また、「わからない」という方も38%存在しています。続いて、「賛成」「反対」のそれぞれの理由を自由回答で尋ねました。以下に抜粋してご紹介します。

【高プロ制度に対して「賛成」の理由】
ベース:高プロ制度に対して「賛成」と回答した人(n=321)/自由回答より抜粋

  • 労働時間によって給与が変わらないため、短いスパンで終わらせるにはどうしたらよいか、など仕事をする上でのモチベーションに繋がる。また、割と自分に合わせた時間の使い方も出来るため私生活と仕事のバランスも良くなるのではないのかと思う。(27歳、男性)
  • 過労死法案だというレッテルを貼られているが、対象業種が限られており、一般の人にはそう影響しない。(29歳、男性)
  • プロフェッショナルなら時間にとらわれないほうがいい。一般人は法に守ってもらわないと死ぬまで働かされるが、高いスキルがある人ならそういうこともないと思う。(32歳、女性)
  • 時間に縛られると仕事にならないので。(34歳、男性)
  • そうしないと回らない職務もある。能力があって社会への貢献度が高い職域に関してはそうしないとやれないし、しないと日本の経済の衰退に繋がる。(36歳、男性)

【高プロ制度に対して「反対」の理由】
ベース:高プロ制度に対して「反対」と回答した人(n=321)/自由回答より抜粋

  • 管理職など位が上の立場にあるからこそ充実した生活を送ってほしい。そんな管理職や高収入な専門職を部下は見ることで憧れ、感化するのではと思います。(24歳、男性)
  • 上に合わせるか下に合わせるかの問題である。仕事はその時々によって早く終わるものもあれば長期的に粘らなければならないものもあり、その進め方は人それぞれ。実質賃金そのものを上げた方がよい。(25歳、女性)
  • 高プロにならない人も高プロ扱いをする会社が出てきそうだから。(30歳、男性)
  • 過労死やギリギリの給料ギリギリの範囲で働かせる企業が必ず出てくるため。若者がこの雇用態勢になると将来が不安になるため。(41歳、女性)
  • なし崩しで残業代が支払われなくなりそうだから。名ばかり管理職のように、残業代を払いたくないだけで、従業員は弱いから何も言えないのをいいことに使い捨てにするのではないか。(44歳、男性)

調査概要


調査主体:マクロミル
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:全国20~59歳の民間企業に勤める正社員のうち一般社員(マクロミルモニタ会員)
割付方法:事前調査の「正社員(一般社員)」出現率で、性年代を割付/合計1,000サンプル
調査期間:2018年6月14日(木)~2018年6月15日(金)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
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