車載ディスプレイ関連部材調査 

2018年08月24日

矢野経済研究所は、2018年の車載ディスプレイ関連部材の調査を実施し、車載用前面板の種類別市場規模推移・予測、需要動向、開発動向、将来展望を明らかにした。

<車載ディスプレイ部材とは>
本調査における車載ディスプレイ部材とは、前面板やOCA(Optical Clear Adhesive)フィルム・OCR(Optica Clear Resin)、車載用加飾フィルムや車載用光学フィルム、車載タッチパネル(TP)等を指すが、本調査結果では前面板の世界市場規模をメーカー出荷数量ベースで算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
車載ディスプレイ関連部材(前面板、インサートモールド用加飾フィルム、車載ディスプレイ用各種光学フィルム、OCA・OCR、タッチパネル、反射防止フィルム、耐指紋防止フィルムなど)

1.市場概況

 液晶パネル等の保護を目的として、車載ディスプレイには前面板が設けられている。車載用前面板は従来のカーナビゲーション(以下カーナビ)のほか、CID(Center Information Display)やRSE(Rear Seat Entertainment)、クラスター(Instrument Cluster)などの車載ディスプレイの一台当り搭載個数が増えたことに加え、表示デバイスの操作ユーザーインターフェース(UI)として静電容量方式タッチパネル(TP)の採用が進んだことなどから、2017 年の車載用前面板世界市場(メーカー出荷数量ベース)は前年比145.5%の2,755万パネルまで拡大した。車載用前面板は車載ディスプレイの市場拡大と連動しながら、2018年以降もガラスカバーや樹脂カバー、射出成形品いずれも市場成長が続くと予測する。

2.注目トピック

車載ディスプレイ関連部材の動向
 車載ディスプレイやTPの曲面・異形化に伴い、前面板にもデザイン性向上につながる曲面形状への対応を求める自動車メーカーのニーズが高まっており、ガラスカバーと樹脂カバーのほか、射出成形品などの曲面対応に向けた取り組みが本格化している。車載ディスプレイは従来のカーナビに加え、カーナビ機能を含めたCIDやDA(Display Audio)、RSE、クラスター、HUD(Head Up Display)、リアビューミラーなど搭載部位が増えつつあり、市場は拡大傾向にある。これに連動し、前面板や車載ディスプレイ用各種光学フィルム、OCA・OCR、TPなどの主要部材の需要も拡大しており、需要獲得に向けた各部材・材料メーカーの間の競争が激化している。

 近年では、自動車メーカー各社による車内及び歩行者の安全確保に繋がる取り組みが進んでおり、自動車の誤作動防止や駐車支援システムなどに対応して簡便かつ瞬時に情報を把握できるように、車載ディスプレイの大画面化が進展している。また、自動車メーカーからは、視認性向上のためスマートフォンなどの民生用機器と同等の高精細化や広色域化も求められているほか、搭乗者が車内にいる時間を快適に過ごせるようにカーインテリアデザインの統一感など、車内コックピットのデザイン性向上に関する要望も増えている。

​ 車載ディスプレイ関連部材メーカーには、車載ディスプレイの大画面化、高精細化・広色域化、デザイン性向上などに加え、さらに根幹である自動車の安全性確保と車室空間の快適性向上に的確にコミットした商品企画や商品開発、顧客提案が求められていると考える。

3.将来展望

 車載ディスプレイやTPの保護用として使用される前面板は、車載ディスプレイの市場拡大と連動しながら今後も市場成長が続くと予測する。車載用前面板はガラスカバーとシート状の樹脂カバーが現時点では主に使用されているが、近年、曲面形状にしたインモールド転写やインサートモールド(INS)による射出成形品の採用が拡大している。曲面化への対応として、ガラスカバーは曲面ガラスカバー、樹脂カバーも熱曲げシートの開発が進んでいるが、優れた成形加工性による複雑な3D形状など様々なデザインへの対応や、加飾と同時にAG(Anti-Glare)やAFP(Anti-Finger Print)などの表面加工が可能なことなどから、車載ディスプレイやTP向け前面板としての成形品の採用は今後拡大していく見通しである。
 このようなことから、2020年の車載用前面板世界市場(メーカー出荷数量ベース)は4,390万パネルまで成長し、そのうち射出成形品は685万パネル(構成比15.6%)に拡大すると予測する。

 車載用前面板は現在、単に車載ディスプレイやTPの保護というより、異形・曲面形状などのデザイン面から選択される場合が多い。前面板メーカーには、自動車メーカーの設計自由度を広げ、コックピットのデザイン性向上に貢献できる製品開発が最も重要視される。車室内コックピットのデザイン向上に繋がるという切り口で顧客ニーズを掘り起こし、デザイン性に価値を見出す前面板、あるいはディスプレイ関連部材開発提案をユーザー側に訴求することも、自動車メーカーによる採用拡大の重要なポイントになると考えられる。

調査概要


調査期間: 2018年4月~6月
調査対象: 車載ディスプレイ関連部材メーカー
調査方法: 当社専門研究員による直接面談取材、ならびに文献調査併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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