中国のADAS/自動運転用センサ市場に関する調査 

2019年11月05日

矢野経済研究所は、中国のADAS(先進運転支援システム)/自動運転用センサ市場の調査を実施し、ADAS/自動運転システムに搭載されているセンサの市場概況、技術動向、個別メーカの事業戦略を明らかにし、2030年までのADAS/自動運転用センサを種類別に予測した。

<ADAS/自動運転用センサとは>
先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System、以下ADAS)は、車両のフロントやサイド、リアに装着されたセンサデバイスにより車両の周辺状況を検知し、事故を未然に防ぐシステムである。自動運転はADAS技術の発展系であり、車両に搭載されたセンサ、高精度地図、通信機能などによりドライバーに代わってシステムが運転の主導権を持つシステムであり、自動化レベルに応じて6段階に定義されている。

​本調査におけるADAS/自動運転用センサとは、車両のフロントおよびサイド、リアに搭載された各種センサユニット(レーダ、カメラ、赤外線レーザ、超音波センサ)などを指す。いずれも、中国における乗用車および車両重量3.5t以下の商用車の新車に搭載されるADAS/自動運転用センサを対象とする。

<市場に含まれる商品・サービス>
77GHzミリ波レーダ、24GHz準ミリ波レーダ、センシングカメラ、ビューカメラ、赤外線レーザ、LiDAR、超音波センサ

1.市場概況

中国におけるADAS(先進運転支援システム)/自動運転用センサの2019年の市場規模は2,529億4,000万円に達する見込みである。センサの種類別の内訳は、レーダ680億4,000万円、カメラ1,561億円、超音波センサ288億円である(レーダは77GHzミリ波レーダと24GHz準ミリ波レーダ、カメラはセンシングカメラとリア/サラウンドビューカメラを含む)。
​レーダは前方検知用に搭載される77GHz長距離レーダに加え、後方側面の左右に搭載される短距離レーダの需要も伸びている(短距離レーダは77GHz、24GHzの両方が使われている)。短距離レーダはBSD(後方死角検知システム)やDOW(ドアオープン警報)などで使われており、後方からの二輪車のすり抜け事故の多い中国ではDOWのニーズが高い。カメラはADASで使われている前方認識用センシングカメラ、リア/サラウンドビューカメラなどの搭載数量が拡大しており、中国現地メーカの製品もリアビューカメラを中心に増えている。超音波センサは衝突警報や駐車支援システム向けに需要が伸びており、用途に合わせて車両(自家用車・商用車)一台あたり4~12個の超音波センサが搭載される。

2.注目トピック

クルマのコネクテッド化を中国政府主導で推進
2018年1月の「智能自動車創新発展戦略」では2020年に中~高レベルのICV(インテリジェントコネクテッドビークル)の市販化の実現、2035年には中国の標準的なICVを世界的にすると発表している。自動運転は中国においても大きな経済的および社会的利益があることから、自動車業界の発展促進のため、一連の施策と規制を導入している。
さらに2018年12月の「ICV産業発展行動計画」においては、V2X(車車間通信 路車間通信)に5Gセルラー通信を採用することを明文化し、車両のV2Xの普及目標についても示している。5G-V2Xについては2022年以降に実用化するとしており、2022年の北京冬季五輪において5G-V2Xのデモンストレーションを計画している。

3.将来展望

2030年における中国のADAS/自動運転用センサの市場規模は1兆8,371億8,000万円に成長すると予測する。センサの種類別の内訳は、レーダ4,843億5,000万円、カメラ6,154億1,000万円、超音波センサ759億2,000万円、LiDAR6,615億円である。最も市場規模が大きいのがLiDARであり、2025年以降レベル3以上の自動運転システムでの需要が拡大する。中国政府は「中国製造2025」でICV(インテリジェントコネクテッドビークル)の開発を国家戦略まで引き上げることを発表し、2025年以降V2X(車車間通信 路車間通信)によるレベル4以上のICVの実現を目指している。このため、ICVの実証試験区に指定されている北京や上海などの都市部において、レベル4の自動運転システムの搭載が活発化し、LiDAR出荷数量も拡大すると予測する。

調査概要


■調査期間: 2019年3月~7月
■調査対象: 自動車メーカ、カーエレクトロニクスメーカ、半導体メーカ、センサメーカ等
■調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

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[矢野経済研究所]
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