2018年の国内のフィールドワーク支援ソリューション市場調査 

2018年09月28日

矢野経済研究所は、2018年の国内のフィールドワーク支援ソリューション市場を調査し、産業分野や業務内容別の需要動向を明らかにし、今後の設置システム数を予測する。

〈フィールドワーク支援ソリューションとは〉
本調査におけるフィールドワーク支援ソリューションとは、ユニフォームを着て作業する現場作業者の仕事をサポートするITテクノロジーを用いたシステムを指し、IoT/ネットワークを基盤として、作業補助・支援による業務負担低減や作業効率向上、人材育成・教育、ノウハウ継承、安全対策などを目的として導入される。

製造業、建設業、インフラ/防災、運輸/倉庫業、物流、警備業、医療、介護/ヘルスケア、ビル管理業、農林水産業などの産業分野で、導入のためにPoC(Proof of Concept:概念実証)や実証試験が開始されている。また、システムはIoT/インターネット接続機能を持つ、スマートグラスやスマートウォッチ、ストレッチャブルデバイス(ウェアタイプ、バンドタイプなど)、HMD(Head Mounted Display)等のスマートデバイス、スマートフォン/タブレット、カメラ、各種ロボット、ドローンなどの各種デバイス・機器から構成される。

1.市場概況

作業現場においては、2000年代の後半から人手不足や人材育成(教育・トレーニング)、ノウハウ継承、作業者の安全/健康管理などを目的として、ITテクノロジーの活用が始まった。そしてここ数年は、IoTの普及及びスマートデバイスの進化により、この両者を融合した様々な現場作業者の仕事をサポートするシステムの導入が検討されるようになってきた。
2017年度における国内のフィールドワーク支援ソリューションシステム設置数を前年度比192.6%の4,970システムと推計した。但し、現時点ではPoC(概念実証)や実証試験の段階に留まる案件が多く、ITベンダーによる既設SI案件の一要素として提供されているものも少なくない。中には無償サービスとして提供されるケースもあり、フィールドワーク支援ソリューションとして外販されている事例は極めて少ないといえる。

2.注目トピック

製造業/建設業向けソリューション動向
ここ数年では、IoTの普及及びスマートデバイスの進化により、この両者を融合した様々な現場作業支援の仕組みが検討、導入されるようになってきた。具体的には、IoTの活用により現場でのビジネス構造(事業推進体制)が変化し、併せて各種スマートデバイスの活用によって、ビジネスプロセス全体を変革するビジネスモデル構築が可能になってきたと考える。
例えば、生産設備・機械やインフラ設備などの保全業務において、従来のベテラン作業者の経験と勘に頼っていた判断や評価のノウハウをデータ化し、それを可視化することで業務の「見える化」につなげる。その結果、ベテラン作業者だけでなく、中堅作業者、さらには新人でも保全業務をそつなくこなせるようにすることが期待され、作業全体の効率化と併せて、継続性の高い事業構造に転換できることが可能となる。
このように、‘IoT×スマートデバイス’によるフィールドワーク支援ソリューションシステムの導入は、ビジネスモデル変革につながる可能性がある。特に製造業及び建設業で期待が大きいと考える。

3.将来展望

2014~2015年度頃からは、医療や介護/ヘルスケア、製造業、建設業、運輸/倉庫業、物流などの産業分野を中心に、徐々にフィールドワーク支援ソリューションの実用化が始まっている。しかし、当該ソリューションが本格的に普及し始めるのは、団塊世代が作業現場から去っていき、現場での人手不足がより顕在化する2020年度以降になる見込みである。
2020年度以降システム設置数は急速に増加し、2022年度の国内フィールドワーク支援ソリューションシステム設置数は27,000システムになると予測する。

調査概要


調査期間: 2018年2月~8月
調査対象: 国内の主要ソリューション事業者
調査方法: 当社専門研究員による直接面談、ならびに電話調査、アンケート調査、文献調査を併用

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[矢野経済研究所]
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