国内のITアウトソーシングサービス市場調査 

2018年10月10日

矢野経済研究所は、国内のITアウトソーシングサービス市場を調査し、現況、領域別の動向、および将来展望を明らかにした。

<ITアウトソーシングサービス市場とは>
IT アウトソーシングサービスとは、情報システムのハードウェアやソフトウェアの運用保守業務を代行するサービスのことを指す。本調査では、システム利用企業内にあるシステムの運用保守を代行する「オンサイト運用・保守サービス」と、データセンター内にあるシステムの運用保守を代行する「データセンター関連サービス」を対象とし、サービス提供事業者の売上高ベースで市場規模を算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
ユーザーの企業内にある情報システムのハードウェアやソフトウェアの運用保守業務を支援するサービス、データセンター内に設置されたシステムのハードウェアやソフトウェアの運用保守業務を支援するサービス

1.市場概況

2018年度の国内ITアウトソーシングサービス市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比102.4%、4兆1,175億円の見込みである。
本調査におけるITアウトソーシングサービス市場は大きく、「データセンター関連サービス」および「オンサイト運用・保守サービス」から構成される。まず、データセンター関連サービスにおいてはクラウドの普及によりクラウドサービス提供事業者によるデータセンター利用が加速している。
次にオンサイト運用・保守サービスは、ユーザー企業がデータセンター関連サービスへのシフトを進めており、引き続き利用が減少している傾向にある。特にIT機器単価の下落による保守サービス料金の低下や仮想化技術の普及により、サーバーのみならずストレージ、ネットワークまで統合した、ハイパーコンバージドインフラ(HCI:Hyper Converged Infrastructure)製品の登場も影響し、保守対象となるICT機器の台数が減少傾向にあることが影響していると考える。

2.注目トピック

ハイパースケーラーの存在感が益々高まる
国内のデータセンター需要のけん引役として、クラウドサービスの急速な広がりがある。クラウドサービスは当初、ゲーム業界などのネットビジネス分野での利用が中心であったが、その後、スマートフォンの急激な普及などもあり、モバイルアプリケーション分野でのクラウドサービス利用が進んだ。
最近では、海外のハイパースケーラーを中心としたクラウドサービス提供事業者が日本国内にデータセンターを積極的に開設しており、大きなけん引役として存在感を益々高めつつある。また、既存のデータセンター事業者との提携も積極的に進めている。

3.将来展望

クラウドサービスなども含めたデータセンター関連サービスの利用が増加している一方で、オンサイト運用・保守サービスの利用が減少しているものの、ITアウトソーシングサービス市場全体としては、引き続き拡大しており、今後も安定した成長を見込む。
2016年度から2021年度までの国内ITアウトソーシングサービス市場全体の年平均成長率(CAGR)は2.1%で推移し、2021年度の同市場規模(事業者売上高ベース)は4兆3,579億円に達すると予測する。

調査概要


■調査期間: 2018年7月~9月
■調査対象: コンピューターメーカー、システムインテグレーター(SIer)、データセンター専業者等のITアウトソーシングサービス提供事業者
■調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e メールによる取材、ならびに文献調査を併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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