パーソル総合研究所は、正社員のワーキングマザーが活躍できるようにするために企業が何をすべきか、データをもとに解決策を提示することを目的に、ワーキングマザー調査を実施しました。このほど調査結果を取りまとめ、前回公表の「離職編」に続き、「活躍編」を公表します。

調査結果の要旨


【1】管理職の意向の変化

管理職として働きたいワーキングマザーの割合は一時的に下がるが、子どもの年齢とともに回復することが明らかとなった。管理職として働きたい人の割合は、出産前で19.6%だが、3歳未満の子どもがいるときで7.7%に低下する。しかし、その後、3歳以上の未就学児の子どもがいるときで10.0%、小学生の子どもがいるときで17.3%と上昇していく。
さらに、現在「小学生の子どもを持つ正社員女性」に対して、子どもがもっと成長した将来の段階について考えてもらうと、管理職として働きたいと希望した人は、5年後の段階(子どもが中学生~高校生のとき)で20.0%、10年後の段階(子どもが高校生~大学生のとき)で23.7%だった。

【2】育休中にやって良かったランキング

育休中の過ごし方で復職後に役立ったことベスト5は、1位=復職後の分担について夫婦の話し合い(67.6%)、2位=働く意義の明確化(66.3%)、3位=会社の人との交流(63.9%)、4位=キャリアの棚卸し(62.2%)、5位=ママ友づくり(57.9%)

【3】職場が変わらないと思う無力感

自分が声をあげても職場は変わらないと思う"職場内対話無力感"を抱えているワーキングマザーは約4割。

調査結果詳細


【1】管理職の意向の変化

管理職として働きたいワーキングマザーの割合は一時的に下がるが、子どもの年齢とともに回復することが明らかとなった。管理職として働きたい人の割合は、出産前で19.6%だが、3歳未満の子どもがいるときで7.7%に低下する。しかし、その後、3歳以上の未就学児の子どもがいるときで10.0%、小学生の子どもがいるときで17.3%と上昇していく。(図表1)

さらに、現在「小学生の子どもを持つ正社員女性」に対して、子どもがもっと成長した将来の段階について考えてもらうと、管理職として働きたいと希望した人は、5年後の段階(子どもが中学生~高校生のとき)で20.0%、10年後の段階(子どもが高校生~大学生のとき)で23.7%だった(図表2)。
ワーキングマザーの中には、簡易的・補佐的な職務しか与えられず昇進・昇格から遠ざかる「マミートラック」にのせられるケースもみられる。企業としては、ワーキングマザーが管理職として働きたい気持ちは一時的に封印されているだけであることを踏まえ、育児期においてもその人の能力やスキルにふさわしい職務と適切な評価を与え、管理職候補として育成する姿勢が求められる。

【2】育休中にやって良かったランキング

育休中の過ごし方で復職後に役立ったことベスト5は、1位=復職後の分担について夫婦の話し合い(67.6%)、2位=働く意義の明確化(66.3%)、3位=会社の人との交流(63.9%)、4位=キャリアの棚卸し(62.2%)、5位=ママ友づくり(57.9%)(図表3)。

ビジネス書の読書や資格取得はベスト5に入らない結果となった。1位の夫婦の話し合いは、復職後に夫に家事育児に参画してもらう協力体制を作っておくことで、ワーキングマザーが仕事と子育てを両立しやすくなるため、最も役立ったと感じたのだと考えられる。子どもが3歳になるまでは家族・親族の家事育児サポートが不十分であることによる離職が多く(離職編参照)、夫の協力の影響は大きいと思われる。また、2位の働く意義の明確化は、復職後に多忙な日々を過ごす中でもモチベーション維持につながるため、役立ったと感じたのだと考えられる。

企業の施策としては、産休・育休に入る女性に対して、復職後の分担について夫婦で話し合うなど、ランキング上位の過ごし方を推奨することが考えられる。また、育休中でも職場の人と交流できる機会を設けたり、女性社員の夫の協力が復職後に得られるように配偶者同伴セミナーを開催するなどの啓蒙を行ったりすることが考えられる。

【3】職場が変わらないと思う無力感

自分が声をあげても職場は変わらないと思う"職場内対話無力感"を抱えているワーキングマザーは約4割。正社員を辞めた女性の場合、離職した会社で"職場内対話無力感"を抱えていた割合は5割を超える(図表4)。

企業としては、ワーキングマザーに活躍してもらうために、「経営に社員の意見を反映させる」「上司が個々のスキル・能力を活かせるような仕事を与える」など、無力感を醸成しない職場づくりを心掛けるべきである。

また、ワーキングマザー自身による「職場で個人的な願望を伝えるのはよくない」「子どもがいたらやりたい仕事をするのは無理だと思う」などの固定観念も"職場内対話無力感"に影響している(図表5)。ワーキングマザーが思い込みで諦めてしまわないように、企業としては、社員1人ひとりと対話しながら組織に貢献できる働き方や仕事内容を考えるという柔軟な姿勢を明確に示し、まず相談することを促していくことが重要である。

【4】マネジメントの方法

ワーキングマザーの活躍にとって、職責・職務に応じた期待をかけること、能力・スキルが発揮できていること、時間あたりのアウトプットで評価されていることが重要であるが、いずれも十分に実現されていない。これはワーキングマザーに限らず、男性も同様にそのようなマネジメントはなされていない。

時間あたりのアウトプットで評価されている人は、時短を取得しているワーキングマザーで24.4%、時短を取得していないワーキングマザーで15.4%にとどまる(図表6)。

パーソル総合研究所「ワーキングマザー調査」

調査概要


・調査手法:調査モニターを用いたインターネット定量調査
・調査時期:2019年1月9日~1月17日
・調査対象:
 ■子あり・正社員女性
 第1子が小学生以下である20~59歳正社員女性。第1子妊娠中に正社員であり産後に復帰した人。
 ■子あり・正社員を辞めた女性
 第1子が小学生以下である20~59歳の元正社員女性。第1子妊娠中に正社員であり産後復帰したが正社員を辞めた人。
 ■子あり・正社員女性の配偶者(子あり・正社員男性)
 第1子が小学生以下である20 ~59歳正社員男性。妻が第1子妊娠中に正社員であり産後復帰して現在も正社員である人。
 ■子あり・正社員を辞めた女性の配偶者(子あり・正社員男性)
 第1子が小学生以下である20~59歳正社員男性。妻が第1子妊娠中に正社員であり産後復帰したが正社員を辞めた人。
 ■上司
 係長・主任相当以上で、自分がマネジメントをしている正社員女性部下に小学生以下の子どもがいる20~59歳正社員。
 ■同僚
 所属している部署の小学生以下の子どもがいる正社員女性と業務上のかかわりがある20~59歳一般社員(正社員)。
・有効回収数:2100名
・実施主体:株式会社パーソル総合研究所

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