幼児白書 日常生活・学習に関する調査(満4~6歳の幼児とその保護者対象) 

2019年12月19日

学研ホールディングスの調査・研究機関である学研教育総合研究所は、全国の満4~6歳の幼児、とその保護者を対象に日常生活や学習に関するアンケート調査を行い、その結果を『幼児白書』として公開しました。

調査結果


起床時刻

★幼稚園児の平均起床時刻は7時9分。2017年度よりも18分遅い。
★保育園児の平均起床時刻は7時1分。2017年度よりも15分遅い。

朝食をとる習慣

★幼稚園児の91%は、毎日朝ごはんを食べている。
★保育園児の91%は、毎日朝ごはんを食べている。

好きな食べ物・嫌いな食べ物

★一番人気は「ポテトフライ」!「ラーメン」「カレーライス」「お寿司」も人気。

4~6歳の子ども達の好きな食べ物と嫌いな食べ物について調査した。
好きな食べ物で一番人気があったのは「ポテトフライ」(33.7%)であった。男女差はほとんどなく、幼児には安定の人気メニューであることが分かる。2位以下は「ラーメン」(30.2%)、「カレーライス」(29.3%)、「お寿司」(28.2%)と僅差で続く。『小学生白書』の1989年度調査・2016年度調査でも、上位5位以内に「お寿司」「ラーメン」「カレーライス」が入っていることから、これらのメニューは幼児・小学生問わず人気であることが分かる。

嫌いな食べ物に関しては、「嫌いな食べ物はない」(39.4%)が最も多かったものの、具体的なメニューとしては1位「サラダ」(25.8%)、2位「さしみ」(17.2%)、3位「焼き魚」(11.1%)であった。

「焼き魚」「さしみ」に関しても、30年前の『小学生白書』(1989年度調査)結果と同様の傾向が見られる。「お寿司」が好きな食べ物で4位であるにも関わらず、「焼き魚」「さしみ」が嫌いな食べ物として挙げられているということから、好きな食べ物である「お寿司」はさしみ以外のネタがのったものを好んでいる可能性も考えられる。

お年玉(金額)

★全体平均は約15,600円。幼児の約10人に1人は「なし」。

幼児はお年玉をどれくらいもらっているのだろうか。
調査の結果、全体の平均総額は15,553円であった。前回行った2017年度調査では15,023円であり、わずかながら上昇した。また、年齢が上がるにつれて金額も約1,000円ずつ増える傾向があることも分かった。

金額帯別に見ると、一番多いのが「10,000~15,000円未満」で19.3%、次いで「5,000円~10,000円未満」で16.4%、「20,000~25,000円未満」で13.3%の順となった。ただ、「なし」(=まったくもらっていない)という子どもが10人に1人弱いる一方、ほぼ同数の幼児が「35,000円以上」もらっており、その差は大きい。幼児にお金を渡すという行為について様々な考え方があることがうかがえる。

外遊び・室内遊び

★7割は「外遊び」が好き!

読書量/月

★幼児の読書量は平均4.2冊/月。5人に1人は「1冊も読まない」。

幼児は1か月にどの程度読書をしているのだろうか。
1か月の平均読書量は4.2冊。全体の8割弱は、月に1冊以上読んでいることが分かった。女子は年齢別の特徴は見られないが、男子は4歳の平均3.6冊から6歳の平均4.3冊へと変動し、「読まない」割合も減少しながら6歳時点でほぼ女子と同程度となる。

「読まない」が全体の2割強を占めることにも注目したい。まだ字が読めない幼少期の読書活動は、保護者による読み聞かせが中心である。この時期の読み聞かせの体験は、のちの小学校以降の読書習慣にも関連があると考えられる(※1)。

家庭への様々な電子機器やメディアの普及が、保護者と子どもの過ごし方に影響を与えていることが推測されるが、“本を読む”という行為そのものの重要性の認識が今後さらに浸透していくことが必要であろう。

【保護者】入学前に身につけさせておきたいこと(生活面)

★保護者は円滑なコミュニケーションを望む傾向。

幼児の保護者が、生活面において入学前に子どもに身につけさせておきいと思うことを聞いた。

1位は「挨拶ができる」(72.4%)であり、様々な年代の子どもや先生が集まる場で、まずは周囲とコミュニケーションが取れるようになってほしいという思いがうかがえる。次いで2位は「交通ルールを守れる」(68.7%)で、就学を境に子どもだけで通学することへの不安が見て取れる。そして3位「友達と仲良く遊べる」(67.5%)、4位「約束・ルールを守れる」(64.3%)はどちらも社会性を身につけるうえで重要な項目と言えよう。

生活習慣に関する項目は5位「毎日決まった時間に起き、寝ることができる」(60.9%)にランクインした。年齢別に見ても、「挨拶」「交通ルール」「社会のルール」「生活習慣」の順位が変わらずランクインしていることは興味深い。

ちなみに前回行った2017年度調査で3位であった「1人でトイレに行ける」(63.7%)は2019年度調査では8位に下がり、一方2017年度調査で8位だった「自分の気持ちを表現できる」は今回6位と順位を上げている。

自由に使える通信機器

★幼児のおよそ2人に1人が家庭内で通信機器に触れている。

幼児が家庭内で使う通信機器について、「自由に使えるものはない」(44.6%)という結果から、およそ2人に1人が家庭内で通信機器を使っていることが分かった。

内訳を見ると、家族と共用で使うものは、「スマートフォン」(21.5%)、「タブレット」(20.5%)、「ゲーム機」(15.6%)となっている。これに対し、子ども専用の通信機器で最も高い割合は「タブレット」(7.0%)で、続いて「ゲーム機」(6.8%)となっているが、数値はまだまだ小さい。

前回行った2017年度調査と比較すると、自由に使える通信機器が“ある”割合は2017年が35.8%で、2019年が55.4%であることから、約20%増加していることが分かる。この2年で「通信機器の利用開始年齢」の低年齢化が進んだと言えよう。

将来つきたい職業(全体ランキング)

★「パティシエ(ケーキ屋)」は小学校入学前から人気!

小学校入学前の子ども達は、将来何になりたいと思っているのだろうか。
1位は『小学生白書』(2019年度調査)と同じ「パティシエ(ケーキ屋)」(7.8%)であった。女子人気が高い点も小学生と同様で、甘くて可愛らしいお菓子の作り手・売り手は、幅広い年齢の女子の心を捉えているようだ。2位「マンガやアニメのキャラクター」(6.2%)は厳密には“職業”とは言えないが、将来こうなりたい、というロールモデルとして男女共に人気であることが分かる。小学生のランキングで2位だった「YouTuberなどのネット配信者」は、小学校入学前の幼児にはそれほど人気は高くないようだ。とはいえ、小学校入学前でも「YouTuberなどのネット配信者」に憧れている子ども達が一定数いることは注目に値するだろう。

将来つきたい職業(男子・年齢別)

★平和を守る「警察官」、憧れの乗り物の「運転士」が人気!

1位「警察官」(7.7%)、2位「運転士」(7.5%)、3位「マンガやアニメのキャラクター」(5.8%)、4位「消防士」(4.8%)と、2019年度調査の小学生男子とは異なる結果となった。

3位の「マンガやアニメのキャラクター」は、年齢が上がるにつれて人気が落ちていくことが分かる。この点は、6歳でも5.0%の支持率のある女子とは異なる点であろう。

将来つきたい職業(女子・年齢別)

★“かわいいい”と“華やか”が人気のキーワード!

女子全体ランキングを見ると、1位「パティシエ(ケーキ屋)」(15.2%)、2位「歌手・アイドル」(7.5%)、3位「マンガやアニメのキャラクター」(6.5%)という結果となった。いずれも“かわいく”“華やか”なイメージが連想される。女子1位の「パティシエ(ケーキ屋)」の支持率(15.2%)は男子ランキング1位の「警察官」(7.7%)と比較して約2倍であることからも、その人気の高さが際立っている。

男女で比較すると、女子の方が全体的に「わからない」割合が低い。さらに4歳→5歳→6歳と年齢が上がるにつれて2.0%以上の支持率を得る職業が7種→9種→13種と増えていく点は、男子(7種→8種→8種)よりも顕著であるため、女子の方が「将来つきたい職業」への関心の強さ、幅がやや広いことが分かる。

習い事

★就学前から習い事をする子どもは56.8%。

小学校入学前の子ども達の習い事事情を聞いてみた。
習い事をしている子どもの割合は、全体平均で56.8%。前回行った2017年度調査結果の37.9%と比べ18.9ポイント増えており、半数以上の子どもが就学前に何らかの習い事をしていることが分かった。

内訳を見ると、最も人気のある習い事は「水泳」(22.2%)であった。「水泳」は前回調査でも第1位(14.0%)であったが、さらにその割合が増えていることになる。就学に備えて事前に水慣れさせておきたいと思う保護者は多いが、それに加えて近年は猛暑や天候不順の影響で、小学校の水泳授業が十分に実施できないことも多く、学校だけでは泳げるようにはならないという不安もありそうだ。

その他、「体操教室」(11.3%)も前回調査より4.4ポイント増えており、小学校入学前の子ども達にとって習い事は体を動かす貴重な機会の一つになっているようだ。

一方で、新しく小学校で実施されることが決まった英語やプログラミング教育に関する習い事(「英語塾・英会話教室」(11.8%)や「プログラミング・ロボット教室」(0.3%))は、前回調査からそれほど増えなかった。これらは、幼児にとってまだそれほどメジャーな習い事とは言えないようだ。

【保護者】「STE(A)M」教育の認知度

★「STE(A)M教育」の認知度はまだまだ低い。

2020年から小学校でプログラミング教育が導入されるように、近年、日本を含む諸外国などでSTE(A)M教育(※1)への関心が高まっている。文部科学省が2018年6月に提言した「Society 5.0 に向けた人材育成」(※2)の中でも、STE(A)M教育の必要性について言及されている。では実際のところ、幼児の保護者にはどの程度認知されているのだろうか。

結果を見ると、「どのようなものか知っている」が3.3%、「言葉を聞いたことはある」が12.9%となり、「知らない」と答えた保護者が8割に上った。

同様の質問をした『小学生白書』(2018年9月調査)では、「知っている」が5.8%、「言葉を聞いたことはある」が13.8%であり、幼児の保護者と小学生の保護者の認知度には大差がないことが分かる。

調査概要


■調査方法:インターネット調査
■調査方法の概要:本調査に協力していただける日本全国の幼稚園児・保育園児のお子さんをもつ保護者を、約420万人のモニター母集団から抽出し、保護者付き添いのもとで、子ども本人が回答するように依頼した。幼稚園・保育園に通っている満4~6歳の各年齢・男女100人ずつとその保護者(計1,200組)の回答が集まったところで調査を終了した。
■調査時期:2019年8月27日(火)~8月30日(金)
■調査協力:株式会社クロス・マーケティング

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