小学生白書 日常生活・学習に関する調査(小学生とその保護者対象) 

2019年12月19日

学研ホールディングスの調査・研究機関である学研教育総合研究所は、小学1~6年の小学生とその保護者を対象に日常生活や学習に関するアンケート調査を行い、その結果を『小学生白書』として公開しました。

調査結果


起床時刻

★小学生の平均起床時間は6時52分。遅寝・遅起き傾向が進む。

小学生のうちから規則正しい習慣を身につけておきたいところであるが、実際に小学生達は、朝何時頃に起床しているのだろうか。

調査結果を見ると、全体の平均起床時刻は6:52であり、2018年度調査結果の6:33と比べると、平均起床時刻は19分遅いことが分かる。全学年でも、平均して10分~30分遅くなっている。これは、2013年度調査以来最も遅い起床時刻である。一方、30年前の1989年度調査(※1)結果の6:56と非常に近しい結果となっている。

「就寝時刻」調査で、2018年度調査結果の21:38より15分ほど寝るのが遅くなっていることと合わせて考えると、“遅寝遅起き”になっていると言えそうだ。

就寝時刻

★小学6年生の約半数が22時以降に寝ている。

小学生はふだん何時頃に寝ているのだろうか。

全学年の平均就寝時刻は21:55で、2018年度調査結果である21:38と比較すると17分遅くなっていることが分かる。ちなみに1989年度調査(※1)結果では21:28であったため、この30年間で30分弱就寝時刻が遅くなっていることになる。

注目すべきは、22:00以降に就寝する割合が小学6年生全体で53%と過半数を超えている点である。特に小学6年生女子は63%が該当しており、男子の43%とは20ポイントの差がある。

帰宅後の遊び時間

★遊び時間は平均2時間38分。

放課後、小学生はどれほどの遊び時間を過ごしているのだろうか。

全学年の平均は2時間38分。学年が上がるごとに漸減しているが、それでも約2時間半と言うことができる。最も多い回答は「2時間~3時間未満」の39.5%であった。

なお、1989年度調査(※1)でも同様の質問をしているが、この時の平均は2時間21分であった。また、小学1年生の平均が2時間53分だったのに対し、小学6年生の平均は1時間58分で、学年による違いが顕著に出る結果となっていた。調査方法が異なるので一概に今回とは比べられないが、現在の小学生の方がやや長い遊び時間を確保している、と考えることができるだろう。

好きな食べ物・嫌いな食べ物

★好きな食べ物は、30年前から変化なし!

小学生の好きな食べ物と嫌いな食べ物は何だろうか。ここでは、ちょうど30年前の1989年度調査(※1)と比較していく。

今回の調査結果は、好きな食べ物1位は「おすし」(40.8%)、2位は「フライドチキン・からあげ」(25.2%)、3位は「ラーメン」(24.2%)となった。1989年度調査でも1位は「おすし」であったが、当時の33.5%から40.8%に飛躍的に伸びている。回転寿司店の増加により、30年前よりも気軽に寿司を楽しめるようになったことが影響しているのだろうか。

また、嫌いな食べ物は、1位「サラダ」(19.8%)、2位「焼き魚」(19.0%)、3位「さしみ」(12.2%)となり、1989年当時の嫌いな食べ物1位「焼き魚」(40.5%)が、大きく減少した結果となった。

また、「嫌いな食べ物はない」という回答が41.4%であるのは興味深い。嫌いな食べ物の上位の回答率が軒並み減少した原因は、これによるものと思われる。30年かけてバランスのとれた食生活が浸透してきたことは、良い傾向であると言えよう。

おこづかい(金額・使い道)

★おこづかいの平均金額は2018年よりも上昇!

小学生はおこづかいをどれくらいもらっているのだろうか。

調査の結果、おこづかいを「もらっている」と回答した子どもは全体の約40%で、近年と比べて大きな変動はなかった。ただし、おこづかいの平均金額はここ数年減少傾向にある中、2019年の平均金額は2018年度調査の407.1円から約80円増加した486.8円であった。平均金額は学年が上がるにつれて増加し、小学1年生は21%であるのが小学6年生では56.5%となる。この傾向はお年玉と同様である。

おこづかいの「支給開始」時期については小学3年生から4年生になる時期が最も多く、この間に約20%増加する。ちなみに『中学生白書』(2017年8月調査)と比較すると、中学1年生でおこづかいをもらっている割合が約70%であることから、中学進学も「支給開始」のタイミングとなっているようである。

小学生のおこづかいの主な使い道は何だろうか。おこづかいを「もらっている」と回答した476人に質問した。

1位は「お菓子などの食べ物」(46.2%)、2位が「貯金」(38.9%)、 3位が「おもちゃ」(29.6%)であった。2018年度調査では初めて「貯金」が1位となったが、2019年では過去長らく1位であった「お菓子などの食べ物」が再びその座に返り咲いた形となった。以下の順位は例年と大きな変動は見られない。

男女別に見ると、男子では「ゲーム機・ゲームソフト」が25.4%(女子8.6%)、女子では「文房具(ステーショナリー)」が32.8%(男子10.3%)、「アクセサリー」が12.3%(男子0.9%)などと、その用途に違いがあるようだ。この傾向を見ると、男子はゲーム機やスポーツ用品など、遊ぶものにおこづかいを使う一方、女子はアクセサリーや洋服、文房具など、身の回りのものに使う傾向があると言えるだろう。

お年玉(金額・使い道)

★平均総額は21,047円。ここ数年増加傾向!

小学生はお年玉をどのくらいもらっているのだろうか。
調査の結果、お年玉を「もらっている」と回答した子どもは全体の94.4%となり、その平均総額は約21,047円であった。過去の平均総額を見ると、2016年度調査時は約19,056円、2017年度調査時は約19,386円と、わずかながら増加傾向にあったが、2019年でその額は急増したと言える。特に、2017年度調査時と比較した増加率は、小学1年生が3.5%であるのに対し、6年生は12.5%と大きく、高学年での金額増が目立つ。

お年玉の使い道はどうだろうか。
「貯金」(83.1%)がダントツの1位で、次いで「おもちゃ」(27.9%)、「ゲーム機・ゲームソフト」(21.9%)の順となった。男女別だと、男子では「ゲーム機・ゲームソフト」が32.6%(女子11.4%)、女子では「文房具(ステーショナリー)」が14.5%(男子4.1%)と、その用途に大きな違いが見られる項目もある。

学年別では、高学年になるほど「おもちゃ」の割合が低くなる一方で、「本・雑誌」の割合が高くなり、おこづかいの用途と同様、欲しい本は自分のお金で買うようになると考えられる。また、高学年については、女子の「洋服などの衣類」が小学6年生で19.6%(男子0%)、5年生で17.7%(男子0%)と高い結果となったことから、男子に比べて身だしなみに気を遣う高学年女子の姿がうかがえる。

読書量/月

★読書量は平均3.1冊/月。30年前の約3分の1に激減!

小学生は1か月にどれくらい本を読んでいるのだろうか。
調査結果を見ると、1か月に平均3.1冊読んでいることが分かった。ちょうど30年前の1989年度調査(※1)時は平均9.1冊であったことから、約3分の1に減少していることが分かる。

男女別に見ると、男子の平均は2.8冊、女子の平均は3.4冊。2~6年生の各学年において、女子が若干上回っているようだ。

学年別に見ると、最も多いのは小学1年生の3.8冊で、学年が上がるにつれて読書冊数は減少傾向にある。3年生になると1か月に1冊も「読まない」子どもが4人に1人になる。

読書時間が減少する要因について、高学年においては塾や習い事に通う子どもが増えたり、低学年・中学年に比べて授業時間が増えたりするなど、読書の時間が取りづらくなることや、30年前に比べてYouTubeの視聴など新たな娯楽が出てきたこともあろう。

また、スマホ・ケータイの利用時間の関連も推測される。モバイル社会研究所が関東1都6県在住の小学4年生~中学3年生を対象に行った調査(※2)において、スマホ・ケータイで「通話機能を利用」したり「メール利用」したりする割合は学年が上がるにしたがって増えていく傾向があることが分かっている。

よくやるスポーツ・遊び

★トップ3は「かけっこ」、「水泳」、「なわとび」。

習い事を除き、小学生が日常生活でよくやるスポーツ・遊びは何だろうか。

全体ランキングの上位は、1位「かけっこ」(23.7%)、2位「水泳」(19.8%)、3位「なわとび」(16.4%)、4位「ドッジボール」(14.8%)、5位「サッカー・フットサル」(12.9%)となっている。学校の授業やレクリエーション、休み時間や放課後に小学生が触れる機会が比較的多いラインナップとなった。

男女別に見ると、男子の支持率が高い項目として「サッカー・フットボール」(12.9%)、また女子の支持率が高い項目として「ダンス」(7.1%)がランクインしていることが分かる。ちょうど30年前の1989年度調査(※1)の「よくやるスポーツ」調査で3位であった「野球」は、2019年度調査では機会が減少しているようである。

気になるのは、男女共に学年が上がるにつれ(習い事以外で)「スポーツはしない」割合が徐々に増えていることである。これは、習い事や学習時間の確保など様々な要因が考えられるが、中学校、高校と上がるにしたがってどのように変化するのかは調査する意義があるだろう。

自分が好きか

★小学生のほとんどは、自分のことが好き!

近年、日本では「自己肯定感」が低い若者が増えていることが内閣府などの調査(※1)によって明らかになっているが、小学生の子ども達の自己肯定感はどれほどなのだろうか。

「好き」「どちらかというと好き」を合計すると、93.4%もの小学生が自分自身のことを好きだと回答している。保護者を介した回答であるため、「(どちらかというと)嫌い」とはやや答えづらかった可能性はあるものの、ほとんどの小学生が自分自身を好きだというのは、文字どおり好ましい結果だと言える。

「どちらかというと」も含んだ「好き」「嫌い」の合計値に関して、性別や学年による違いはほぼ見られなかった。ただし、学年が上がるにつれて恥じらいや謙虚さが生まれるためか、「好き」と答えた子どもは減少し、「どちらかというと好き」というやや消極的な回答に流れているのは注目すべきところだろう。

自由に使える通信機器

★スマホを持つ小学生がやや増加。

小学生は家庭内で、どのような通信機器を利用しているのだろうか。

家族と共有で使うものは1位「タブレット」(25.8%)、2位「ゲーム機」(25.5%)、3位「パソコン」であった。一方、子ども専用の通信機器は1位「ゲーム機」(28.4%)、2位「スマートフォン」(11.3%)、3位「タブレット」(11.0%)であった。

2017年度調査・2018年度調査でも同様の質問をしているが、過去と比較して全体のバランスに大きな変化は見られない結果となった。しかし、「スマートフォン(子ども専用)」に関しては2018年と比較すると小学2年生で4.5ポイント、3年生で1ポイント、4年生で5ポイント、5年生で8.5ポイント増加している。これは、通学・通塾中の防災・防犯、子どもの居場所確認、連絡用として子ども用携帯・スマホを持たせたい保護者の意向(※1)などが背景として考えられる。子ども専用の携帯やスマートフォンを持つ子どもはまだ少数派だが、今後も増加していく可能性は十分に考えられるため、学校での取り扱いや情報リテラシーに関してもさらなる対応が求められるだろう。

通信機器の利用目的・時間/日

★遊びも学びも、通信機器は身近な存在に。

「自由に使える通信機器」調査で通信機器を使っていると答えた926人(小学生全体の77%)に対し、利用目的ごとに費やす1日の時間を聞いた。

小学生がもっとも利用している割合が高いのは「動画の閲覧」(78.2%)で、1日平均44分を費やしていることが分かった。次いで「ゲームをする」(76.9%)は1日平均45分で、動画の閲覧と大差なかった。

「家族との連絡手段」(47.0%)を除けば、「趣味のための情報収集」(45.4%)の割合も高いことから、小学生のうちから検索機能を活用し、欲しい情報を得ていることがうかがえる。

教育的な観点では、「勉強のための情報収集」(37.6%)、「学習サービスを利用する」(26%)、「物語など活字の本を電子書籍で読む」(18.1%)となっており、現代の小学生にとって、学びにおいても、通信機器は身近な存在になりつつあることが分かった。

テレビを観る時間/日

★学年による差は見られなくなった?

ICTの普及で様々なコンテンツを楽しめる環境が整ってきている現在、小学生達はテレビ番組の視聴にどれくらいの時間を費やすのだろうか。

テレビを見る時間は、全体平均で1時間15分/日であった。2017年度調査結果の1時間19分と比較すると、4分程短くなっている。

ちなみに、ちょうど30年前の1989年度調査(※1)では2時間05分であり、当時と比較すると50分短くなっている。また、当時は学年が上がるにつれて視聴時間が増加していたが、2019年度調査では学年間の差はほとんど見られなかった。これは、パソコン、スマートフォン、タブレット等、動画を観るための電子機器媒体が増えており、低学年から自分の見たい番組の動画を視聴する機会が与えられていることが背景として推測される。

パソコンでできること

★約3人に1人はパソコンを触ったことがない!

2020年度からの小学校におけるプログラミング教育の必修化に伴い、小学生の子ども達は学校等でパソコンに触れる機会が増加すると考えられる。はたして、今の子ども達は、どの程度パソコンを使いこなすことができるのだろうか。

全体では「マウスが操作できる」(63.0%)、「キーボードで指定されたキーを押すことができる」(49.9%)、「インターネット(ウェブページ)を閲覧することができる」(37.3%)、「キーボードで文字入力ができる」(36.5%)、「インターネット(ウェブページ)で必要な情報を検索し目的のものにたどり着ける」(22.1%)という順番だった。「マウスで操作できる」以外は半数に届かず、情報活用能力が高いとは言えない結果になった。

また、注目すべき点として、「パソコンを触ったことがない」と回答した割合が約3割にのぼった点が挙げられる。2008年に日本初のスマートフォンが発売され、現在の小学生達が物心ついた頃には、スマートフォンが普及・浸透し始めたと考えられる。また、「自由に使える通信機器」の調査によると、家庭内で自由に使える通信機器は、パソコンよりもタブレットやスマートフォンの割合が高いことから、子ども達はパソコンに触れる機会よりもスマートフォンやタブレットに触れる機会の方が高く、「パソコンに触ったことがない」子ども達が少ないという結果になったのだろう。

そして、「プログラミング」というキーワードでグラフに注目すると、全体で「Scratchなどのビジュアルプログラミングが使える」が1.2%、「ソースコードを使ってプログラムを組むことができる(HTML、CSS、JavaScript、C++、Pythonなど)」が0.3%と低い割合であったことから、小学校での必修化によりプログラミング自体は注目されているものの、実際に取り組んでいる小学生はまだ少ないようである。

SNSの友達

★ネットとSNSを使う小学生のうち15%にはSNSだけの友達がいる。

デジタル・ネイティブといわれる子ども達は、インターネットやSNSを通じて友達づくりをしているのだろうか。「パソコンでできること」調査において、ネット閲覧やSNS投稿ができると回答した466人に対して質問した。

結果を見ると、「そういう友達はいない」(84.3%)が最も多いことが分かった。学年ごとの特徴的な変化は見られないが、SNSが子ども達にも浸透している昨今では、今後ネット上だけの関係性が増えていく可能性が十分に考えられる。中学、高校と進学するに伴い、この結果がどのように変化するのかは興味深い。

SNSやネットへの投稿

★小学6年生の約7割が投稿経験アリ!

日常生活に通信機器が浸透している現代において、小学生自身がSNSやネットに投稿した経験はどれくらいあるのだろうか。「パソコンでできること」調査において、ネット閲覧やSNS投稿ができると回答した466人に対して質問した。

SNSやネットへの投稿を「したことがある」と回答した小学生は、14.4%であった。投稿については、1位「コメント」(12.0%)、2位「画像」(4.9%)、3位「コメント以外の文章」・「動画」(4.5%)と続いた。また、学年が上がるにしたがって、ネットやSNSに投稿する人数は増えていくようだ。小学6年生では、全体(200人)の約10%が「投稿経験あり」という結果になっている。

将来つきたい職業(全体ランキング)

★3年連続でランク上昇「YouTuber」!

2019年の小学生が憧れる職業は何なのだろうか。53種の職業から、小学生がつきたい職業を1つだけ選んでもらった。

1位「パティシエ(ケーキ屋)」は女子人気が圧倒的に高く、全体ランキングと女子ランキングで2010年から1位を獲得し続けている。一方、男子人気の高い「YouTuberなどのネット配信者」は、遂に2位となった。これにより、90年代から男子人気の筆頭であった「プロサッカー選手」を初めて抜いた結果となった。

ちょうど30年前の1989年度調査(※1)と比較すると、1989年の1位「保育士・幼稚園教諭」、2位「プロ野球選手」、3位「小・中・高の先生」は、2019年度調査で全て入れ替わっていることが分かる。スポーツ選手や「保育士・幼稚園教諭」の人気は今も根強いものの、「パティシエ(ケーキ屋)」や「YouTuberなどのネット配信者」など当時にはなかった顔ぶれが2019年の上位に並び、さらに1989年度調査では14位であった「医師(歯科医師含む)」の人気も、近年男女共に高まっていることが分かる。

将来つきたい職業(男子・学年別)

★遂に「YouTuber」が1位!不動の「プロサッカー選手」を追い抜く。

「将来つきたい職業」は、男女差が顕著に表れる項目である。男子だけのランキングはどのような結果になっているのだろうか。

男子全体ランキングを見ると、「YouTuberなどのネット配信者」が本調査開始以来初めて1位となった。「YouTuber」は2016年度調査の自由回答欄に登場して以降、2017年度調査・2018年度調査の男子ランキングでは「プロサッカー選手」に次いで2位にランクインしていた。「プロサッカー選手」は90年代頃から人気が高く、2010年以降からは男子ランキングで1位を獲得し続けていただけに、近年のYouTuber人気の圧倒的な勢いがうかがえる。このことは、小学生の平均動画閲覧時間が1日44分という調査結果にもその一端が表れていると言えよう。


ちょうど30年前の1989年度調査(※1)の小学生の「将来つきたい職業(男子)」調査と比較すると、1989年は1位「プロ野球選手」、2位「一般サラリーマン」(※1989年度調査時の表現ママ)、3位「プロ野球選手以外のスポーツ選手」であった。2位に「一般サラリーマン」がランクインしている点が特徴的ではあるが、2019年でも小学5・6年生の上位3位以内に「会社員」がランクインしている点は共通している。


30年前と同じく、今でもスポーツ選手の男子人気は衰えない一方で、これまで存在していなかった新しい職業が2019年に1位を獲得したことは、時代の変遷を如実に映し出していると言えるだろう。

将来つきたい職業(女子・学年別)

★30年前と変わらない人気!「保育士・幼稚園教諭」「看護師」。

「将来つきたい職業」は、男女差が顕著に表れる項目である。女子だけのランキングはどのような結果になっているのだろうか。

女子全体ランキングを見ると、1位「パティシエ(ケーキ屋)」(11.3%)、2位「保育士・幼稚園教諭」(5%)、3位「看護師」(4.5%)であることが分かる。「パティシエ(ケーキ屋)」は学年を問わず人気が高く、この傾向は2001年度調査(※1)から続いている。

ちょうど30年前の1989年度調査(※2)の小学生の「将来つきたい職業(女子)」調査を見ると、1位「保育士・幼稚園教諭」、2位「小・中・高の先生」、3位「看護師」となっている。この30年間で「学校の教員」の人気はやや減少したものの、「保育士・幼稚園教諭」「看護師」は女子に人気であり続けている職業だと言える。

2019年の男子ランキングと比較すると、男女で共通して人気の職業は女子ランキング4位の「医師(歯科医師含む)」(男子は3位)のみであることが分かる。「医師(歯科医師含む)」は女子の方が男子よりも0.8ポイント高いものの、双方で人気が高く、男女・全学年全体ランキングでは3位に食い込む結果となっている。とくに女子において、「医師(歯科医師含む)」は1989年(平成元年)には女子ランキング圏外であったのが、2019年(令和元年)には4位となっている。母数が異なるため単純比較はできないが、近年、医師に占める女性の割合が上がっている(※3)ことが、女子人気につながっている可能性が考えられる。

習い事

★「水泳」が圧倒的人気!

習い事をしている子どもの割合は、全体で80.4%。ちょうど30年前の1989年度調査(※1)では、習い事をしている小学生は39.1%であったことから、平成元年から令和元年にかけて、「習い事」をする小学生は倍になったと言える。

やはり注目すべきは、「水泳」(28.4%)の人気の高さだろう。学年別に見ると、低学年~中学年までに特に人気で、およそ3人に1人が通っていることになる。男女別に見ると、比較的男子の方が「水泳」に通っている割合が高い。

なお、1989年度調査の「よくやるスポーツ」でも、水泳は1位(55.8%)であった。30年経った今でも、小学生にとって「泳げるようになる」ことは大切なことのようだ。

一方、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修となるが、それに関連する「プログラミング・ロボット教室」に関しては1.7%とまだ大きな数字ではない。しかし、今後さらに認知が拡がり、具体的な取り組み事例が増えていくと、「習い事」として選択する小学生が増加する可能性も考えらえる。

好きな教科・嫌いな教科

★7年連続「好き・嫌い」1位は「算数」!

小学生の好きな教科と嫌いな教科は何だろうか。
「好きな教科」は、1位「算数」(25.3%)、2位「図画工作」(15.2%)、3位「国語」、「保健・体育」(12.9%)という結果になった。「算数」に関しては、男子(32.8%)の方が女子(17.7%)よりも15.1ポイント高いことが分かる。この傾向は2016年度調査、2017年度調査、2018年度調査と同様である。

ちなみに、ちょうど30年前の1989年度調査(※1)でも同様の質問をしている。
1989年当時の「好きな教科」では1位「体育」、2位「図工」、3位「理科」であったことから、「図画工作」人気は根強いことがよく分かる。

2019年度の「嫌いな教科」は、1位「算数」(24.8%)、2位「国語」(22.9%)、3位「保健・体育」(5.8%)という結果になった。このランク順は2016年度調査から3年間変化していない。「算数」は、「好きな教科」でも「嫌いな教科」でも共に7年連続1位となった。
1989年度調査時の「嫌いな教科」は、1位「国語」、2位「社会」、3位「算数」であった。

利用している学習サービス

★通塾率は低下、通信教育は増加の傾向。

インターネット環境が整備され、学び方に様々な選択肢が増えている昨今だが、子ども達は普段の学習においてどのようなサービスを利用しているのだろうか。

上位から、「通信教育(オンライン、紙媒体など)」(31.1%)、「学習塾(学校の授業を補習するための学習」(15.2%)、「英会話(会話中心の英語塾)」(10.0%)という結果となった。2017年度調査・2018年度調査と比較して全体のバランスに大きな変化はないものの、「通信教育」は過去3年間で25.1%→25.8%→31.1%と微増している一方で、「学習塾」は21.9%→17.1%→15.2%と少しずつ減少していることが分かる。(※1)

時間や場所を選ばないオンライン学習教材が年々充実しており、そのような教材を取り入れる学校もある昨今では、今後も「通信教育」を利用する小学生が増えていくことが推測される。

【保護者】子どもの学習管理

★学年が上がるにつれ保護者の学習介入度は低下。

子どもの学習状況を、保護者はどのように管理しているのだろうか。
調査の結果、もっとも多かったのが「勉強のやり方をアドバイスしたり、宿題をみたりしている」(43.6%)、次いで「とくに管理していない(子どもに任せている)」(24.3%)、「テストや通知表の成績を把握し、コメントをする」(12.8%)と続くことが分かった。学年が上がるにつれ、アドバイスをしたり宿題を見たりする割合は下がり、子どもに任せる、またはテストや通知表による成績把握にとどまる割合が増えていく傾向にある。


2018年度調査でも、「お子さまの学習状況・成績をどのように把握していますか。(複数回答可)」という類似の質問をしている。このときは、「一緒に宿題をやる」という回答が全体では31.8%にのぼっていたが、小学1年生の41.5%に対し、6年生では16.0%と、低学年と高学年で著しい差が見られた。


学年が上がるにつれ、保護者の学習に対する介入度合いが低下していくことは間違いなさそうだが、その要因の一つとして、「通塾率の増加」「ICT教材の活用」が考えられる。今回調査では「塾などに任せており、自分が直接子どもの学習を見ることはない」「アプリやタブレット教材などの機能に任せており、自分が直接子どもの学習を見ることはない」の二つの回答を合わせると、小学6年生で14.5%に達している。「内容が高度化して保護者の手に余る」という側面もあれば、「塾や教材を信頼して任せている」という側面もあると言えそうだ。

【保護者】学校でのICTを利用した学習

★半数以上の保護者がICT機器の活用に肯定的!

スマホやタブレットなど、通信機器を活用した授業が普及し始めているなか、保護者は学校で子どもが通信機器を利用することについて、どのように考えているのだろうか。

児童に通信機器を「利用してほしい」と答えた保護者は全体で64.2%、一方で通信機器を「利用してほしくない」保護者は35.8%であった。半数以上の保護者が学校の学習での通信機器利用について肯定的にとらえていることが分かる。学年別に見ても全ての学年において、半数以上の保護者が「利用してほしい」と回答している。

デジタル教科書やプログラミング教育、情報教育などが話題になる昨今、保護者の意識も子ども達の将来を見据えて、積極的に新たな学習方法にチャレンジしてほしいという思いが込められているのではないだろうか。一方で、「利用してほしくない」と回答した保護者も一定数いる。文部科学省や学校には、その不安を払拭していく努力が求められるだろう。

調査概要


■調査方法:インターネット調査
■調査方法の概要:本調査に協力していただける日本全国の小学生(1~6年生)のお子さんをもつ保護者を、約420万人のモニター母集団から抽出し、保護者付き添いのもとで、小学生本人が回答するように依頼した。 小学1~6年生各学年で男子100人と女子100人ずつとその保護者(計1,200組)の回答が集まったところで調査を終了した。
■調査時期:2019年8月27日(火)~8月30日(金)
■調査協力:株式会社クロス・マーケティング

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[学研教育総合研究所]
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