グローバル アナリティクス サーベイ 

2013年10月03日
トーマツは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッドが世界の業界を代表する企業を対象に実施したアナリティクスの現状および今後の動向に関する調査結果の日本語翻訳版を公表。本調査は、北米、英国、アジアの 100 社以上の調査回答をまとめたものである。そのうち 35 社については、シニアエグゼクティブへ核心に踏み込んだ直接のインタビューを行った。

調査によって、アナリティクスはマーケティングやファイナンスをはじめとした多くの領域で活用され、意思決定資源として浸透しつつあり、今後さらに重要性が増すことが期待されていることがわかった。また、現状は初期段階にあり、推進体制や適用領域といった観点でのベストプラクティスはこれから確立されることが見込まれる。

1. アナリティクスへの期待

回答企業の 96%は、アナリティクスは今後 3 年間で「ますます重要性を増す」または「ある程度重要性を増す」と回答しており、「重要性は低下する」とする回答は 0%であった。また、半数近く(49%)が、アナリティクス活用の最大のメリットは、アナリティクスが意思決定能力の向上に大きく寄与することだと回答している。自社戦略にまだアナリティクスを活用していないと回答した企業は 2 割未満にとどまり、多くの企業が、業務運営、財務管理、顧客管理、サプライチェーン、人事管理、ビジネス機会の創出、競争力の向上を目的としてアナリティクス活用をはじめている。

さらに、アナリティクスの活用が競争上の地位向上に役立ったとする回答が過半数を占めており、多くの業界の企業がアナリティクス導入に向けた動きを活発化させていることが分かった。
インタビューによって明らかになったのは、アナリティクスによって競争優位を確立したとする企業においても、必ずしも最初から全社的なサポートが得られていたわけではなく、経営陣には懐疑的な見方をするメンバーが少なくなかったということである。成功を収めたほとんどの企業で共通しているのは、まず一つか二つの小さな適用事例を成功させ、効果を確かめながら着実に活用を推進していることである。

2. 推進体制

アナリティクス業務の責任者として最も多かったのは「事業ユニットまたは部門長」(23%)であるが、アナリティクスが重要視される組織では、経営陣が関与していることが多い。CEO・CFO・CIO・CMO といった CXO を合わせると 56%に達することは興味深い。

また、アナリティクスの推進体制が各部署等に分散している企業が 58%と過半数を超えていることから、組織のアナリティクス活用状況に応じて多様な形態が存在し、アナリティクス活用がまだ部分最適にとどまっていることを示唆している。組織形態によるところもあるが、組織全体においてデータ活用の効果を得るためには、組織内で個別に存在する活動の連携を推進するような体制構築が必要であり、体制の一元化または専門組織の設置が望ましいと考えられる。

3. 直面している課題

アナリティクス活用にあたっての主な課題としては、データ収集のためのアプローチ技術や情報システム基盤の不足を挙げる企業が多かった。一方で、日本で関心の高いプライバシーの問題が本調査では 3%にとどまることは驚くべき結果である。

また、情報システムにおいて非構造化デー タを活用している企業が16%にとどまっていることや、利用技術が基本的なものにとどまっていると回答した企業が過半数を超えていることから、多くの企業では先進的なデータ活用にはまだ至っていないことがわかる。これは、企業内に点在するデータの収集や、品質の向上といったインフォメーション/データマネジメントの課題と直面している状況であることを示唆している。高度な技術、情報システム、および社会的な問題に自
社が直面するのはもう少し先だと考えているのだろう。

また、自社のデータの品質が「良い」または「非常に良い」とした回答者はわずか 34%であり、データ品質の課題に直面している。多くの企業が、一貫性のないプロセスやシステム、地域・事業ユニット間の情報定義の違い、人材不足といった理由から膨大なデータと格闘している段階にあり、アナリティクスの広範な領域での適用を妨げる要因の一つとなっている。

さらに、もう一つの大きな課題は、回答者の半数近くが指摘する、企業内の人的リソースとスキルレベルの不足である。社内に十分な人的リソースとスキルを保有すると答えた企業は 22%であり、スキルを保有する人材の採用や次世代のサイエンティスト輩出促進のための活動が、今後のアナリティクスの発展には必要と考えられる。


4. 調査の概要
本調査は 2012 年 4 月から 9 月に、北米、英国、アジア(日本は含まれない)のアナリティクス担当エグゼクティブを対象に匿名で行われた。回答者は金融、テクノロジー、通信、エンターテイメント、医療、コンシューマー製品、小売、エネルギー、製造、官公庁が含まれている。100 社以上が調査に参加しており、そのうち 35 社についてはアナリティクスの先導的な提唱者であり、デロイト アナリティクスのシニアアドバイザーであるトーマス・H・ダベンポート氏 (ハーバードビジネススクール客員教授)がインタビューを行って結果をまとめている。同氏はまた、本調査の監修も務めた。

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[トーマツ]
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