高齢社会に関する意識調査 

2012年05月29日
一般財団法人 経済広報センターは、全国の「eネット社会広聴会員」(3,142人)に「高齢社会に関する意識調査」を実施した。

高齢期を、誰と、どこで、どのように暮らしていくかは、高齢者だけでなく、現役の世代にとっても早くから考えておくべき大切なテーマである。また、高齢者が急激に増加し生産年齢人口が相対的に減少することは日本に構造的に深刻な影響を与え、社会保障制度をはじめ社会経済システムの見直しが避けられない。そこで、経済広報センターは、高齢期の暮らし方や高齢社会の一層の進展に備えて取るべき対策について意識調査を行い、その結果を取りまとめた。

【調査結果(要点)】

・「高齢者」という言葉のイメージは、「70歳以上の年齢層」が75%

・男女や世代を通じて、約6割が、高齢期も「働きたい」

・「65歳ぐらいまで働きたい」「70歳ぐらいまで働きたい」が共に27%。4人に1人は「いつまでも働きたい」

・高齢期の生活・暮らしについて期待できることは「趣味・娯楽に打ち込める」「心穏やかに過ごせる」がそれぞれ50%を超えている

・高齢期の生活・暮らしについて、若い世代は家計への不安、高齢世代は健康への不安が大きい

・高齢期の生活・暮らしについて、高齢世代ほど楽観的で、若い世代では楽観と悲観が均衡

・高齢社会の進展について不安に感じることは、「十分な社会保障(年金・医療)が受けられない」「医療・介護サービスの量と質が、不足・低下する」「労働力人口の減少・生産力の低下に伴い生活水準が落ちる」が上位3項目

・高齢社会の進展に備え取るべき対策は、「若い人口構造を前提とする現行の年金制度の抜本的な見直し」「医療費・介護費の抑制」が上位2項目


【調査結果の概要】

1.「高齢者」という言葉のイメージは、「70歳以上の年齢層」が75% 

「高齢者」という言葉からイメージする年齢層を聞いたところ、最も回答が多かったのは「70歳以上」(34%)であり、「75歳以上」「80歳以上」など70歳以上の年齢層を答えた割合は75%に上る。
高齢になるほど「高齢者」という言葉に、より高い年齢をイメージする傾向が見て取れる。60歳代、70歳以上の回答者においては、「75歳以上」「80歳以上」など75歳以上の高齢を回答する割合が、それぞれ52%、58%に達している。

2.高齢期に6割は自宅に住み続け、3割は何らかの住み替えを希望

高齢期に主にどのような住まいで暮らしたいと思うかを聞いたところ、6割が「自宅に住み続ける」と回答している。約3割は何らかの形で住み替えたいと考えており、「自宅を住み替える(高層階から低層階へなど)」が16%、「高齢者向け住宅に住み替える」が13%となっている。

3.男女や世代を通じて、約6割が、高齢期も「働きたい」

高齢期に働きたいと思うかを聞いたところ、「パートタイム・アルバイトなどで働きたい」(48%)が約半数を占め、「フルタイムで働きたい」(10%)と合わせて約6割は働きたいと回答している。

4.「65歳ぐらいまで働きたい」「70歳ぐらいまで働きたい」が共に27%。4人に1人は「いつまでも働きたい」

高齢期に働く意向がある回答者を対象に、何歳まで働きたいかを聞いたところ、「65歳ぐらいまで」「70歳ぐらいまで」が共に27%に上る。また、4人に1人は「働けるうちはいつまでも」と回答しており、6割強が少なくとも70歳までは働く意向がある。

5.高齢期の生活・暮らしについて期待できることは「趣味・娯楽に打ち込める」「心穏やかに過ごせる」がそれぞれ50%を超えている

高齢期の生活・暮らしについて期待できることを聞いたところ、「趣味・娯楽に打ち込める」(55%)という活動的な項目と、「心穏やかに過ごせる」(54%)という項目が上位に並び、続いて「豊富な自由時間を利用して、これまでできなかったことにトライする」(47%)という意欲的な項目が挙げられている。

6.高齢期の生活・暮らしについて、若い世代は家計への不安、高齢世代は健康への不安が大きい

高齢期の生活・暮らしについて不安に思うことを聞いたところ、「収入(年金など)が減少し、生活が苦しくなる」が67%、「健康で自立した生活を送ることができなくなる」が64%と、家計と健康に関する不安が上位に並ぶ。
世代別で見ると、29歳以下、30歳代、40歳代では「収入が減少し、生活が苦しくなる」という家計への不安が約80%とほかの項目を引き離して高い。60歳代、70歳以上の高齢世代では家計への不安は後退し、代わりに「健康で自立した生活を送ることができなくなる」という健康不安がそれぞれ69%、80%と高く、最上位に挙げられている。

7.高齢期の生活・暮らしについて、高齢世代ほど楽観的で、若い世代では楽観と悲観が均衡

高齢期の生活・暮らしについて楽観的に考えているか、悲観的に考えているかを聞いたところ、「どちらかというと肯定的・楽観的」が42%と最も多く、「肯定的・楽観的」12%と合わせて、半数以上が肯定的・楽観的である。4人に1人は「どちらでもない」と回答している。
29歳以下では「肯定的・楽観的(肯定的・楽観的/どちらかというと)」が37%で「否定的・悲観的(否定的・悲観的/どちらかというと)」が40%とわずかに悲観派が上回る。30歳代でも、楽観派と悲観派は37%対34%とほぼ拮抗している。楽観派の比率は回答者の世代が上がるにつれて高まり、60歳代、70歳以上の高齢世代では約7~8割の圧倒的多数が楽観的である。

8.59歳以下の2人に1人は、高齢期に備えて「日々の節約、貯蓄」「健康維持・体力づくり」に取り組んでいる

9.60歳以上の約7割が、健康で自立的な生活を長く送るために、「バランスの良い食事」「規則正しい生活」「趣味、学習、勤労、地域活動やボランティア活動への参加」を実践

10.高齢社会の進展について不安に感じることは、「十分な社会保障(年金・医療)が受けられない」「医療・介護サービスの量と質が、不足・低下する」「労働力人口の減少・生産力の低下に伴い、生活水準が落ちる」が上位3項目

11.高齢社会の進展に備え取るべき対策は、「若い人口構造を前提とする現行の年金制度の抜本的な見直し」「医療費・介護費の抑制」が上位2項目


高齢社会の進展に備え取るべき対策を聞いたところ、「若い人口構造を前提とする現行の年金制度の抜本的な見直し」(55%)、「医療費・介護費の抑制」(53%)が5割強と高い。「政府・自治体の事業、人員、経費の見直しによる財政支出削減」(46%)は第3位に挙げられている。
 「若い人口構造を前提とする現行の年金制度の抜本的な見直し」は、29歳以下および30歳代の若い年齢層で、それぞれ63%、62%という高さで最上位となっている。


【調査概要】
・調査対象:経済広報センターが組織する、全国4,040人の「社会広聴会員」の中のeネット社会広聴会員(3,142人)を対象に実施。
・調査期間:2012年3月8日~3月19日
・有効回答数:2,015人(64.1%)
・調査方法: インターネットによる回答選択方式および自由記述方式

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[経済広報センター]
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