電通、電通シニアプロジェクトは、定年のある企業において現在正規雇用で働く50代女性400名と既に定年を経験した60代女性200名を対象に、「定年女子調査」(以下本調査)を実施しました。

1986年に男女雇用機会均等法が施行されましたが、その後34年を経て当時入社した女性たちも徐々に定年期を迎えつつあります。人生100年時代を迎えて、今後さらに増加が予想される働き続ける女性たちの仕事に対する思い、定年・定年後を迎える気持ちなどを、本調査を通じて明らかにしました。

今回の調査を通じて、まだ女性の社会進出が進んでいなかった時代から働き続けてきた彼女たちのキャリアに対する自負や、女性の活躍への意識、定年に向けた心理と行動が垣間見えてきました。苦労しながら働き続けてきた自分自身の仕事に対する自負心も一部でうかがうことができました。迫りつつある定年に対し、不安を感じながらも、一方で定年後の生活をポジティブにとらえ、定年後も働き続けることで生活レベルを維持し、自分へのご褒美、国内旅行、友達付き合い、趣味、自分磨き...とアクティブな消費を行いたい彼女たちの意識も浮き彫りになりました。こうしたポジティブに自分の人生を突き進む「定年女子」の存在は、新しいオトナ女子消費の存在を感じさせるものです。

※60歳を定年と規定し、
・5年以内に定年予定の55~59歳女性を「定年女子(55~59歳)」(以下、「定年女子」)
・6~10年以内に定年予定の50~54歳女性を「プレ定年女子(50~54歳)」(以下、「プレ定年女子」)
・既に定年を経験した60~64歳女性を「ポスト定年女子」
と定義。またポスト定年女子のうち仕事をしている人を「ポスト定年女子(仕事継続組)」、仕事をしていない人を「ポスト定年女子(仕事リタイア組)」とした。本リリースでは「定年女子」をテーマとし、その傾向を追いながら、比較対象として「プレ定年女子」「ポスト定年女子」の傾向を紹介している。


主なファインディングス


  • 1.【定年女子のキャリア】累計勤務年数は、平均28.4年。就職後の約3分の2の期間は働いていたが、転職・離職も多く、7割強は離職・休職期間あり。仕事満足のポイントは、「自分の居場所」と「ワークライフ・バランス」。女性の活躍については賛成であるが、実際に管理職を希望している人は2割弱と少ない。
  • 2.【定年とお金】定年による退職金受取想定額は平均「594万円」。退職金の使い道は「貯蓄」がトップ。でも、「自分へのご褒美」がほしいという人も。
  • 3.【定年後の生活】「定年まで働く」という定年女子は69.0%と多数。さらにその中の67.4%が「定年後も働く」と回答し、今後も働き続けることを希望する女性たちの増加が予想される。理由は、経済的な不安の他、今の生活を維持したいから。

調査結果

1.【定年女子のキャリア】累計勤務年数は、平均28.4年。就職後の約3分の2の期間は働いていたことに。仕事満足のポイントは、「自分の居場所」と「ワークライフ・バランス」。女性活躍社会の実現については賛成だけれども、実際に管理職を希望している人は少ない。

  • 就職後の「定年女子」の累計勤務年数は、平均28.4年。就職後の約3分の2の期間は働き続けてきたことに。
  • 「定年女子」の72.5%が「休職・離職経験あり」と回答。「結婚を機に」(28.5%)が最も多い。ずっと休職・離職なく働き続けている人は、3割弱。現在の会社は「3~5社」目という人が最も多い(48.0%)。<参考データ①>
  • 「定年女子」に比べ「プレ定年女子」は、「結婚を機に」(20.0%)よりも「出産・子育てで」(29.0%)離職という人が多く、「結婚」から「出産・子育て」に離職タイミングが変化していったことがうかがえる。また「プレ定年女子」は「自身のキャリアアップやキャリアチェンジ」を理由に休職・離職する率が高くなる傾向にある。<参考データ②>
  • 現在の働き方には「定年女子」の51.5%が「満足」している。満足している人の中での理由ランキングは、1.「自分の居場所(果たすべき役割)がある」、2.「適切な勤務時間・休日がある」、3.「勤務地が家から近い」、4.「自分の中でワークライフ・バランスが取れている」、5.「転勤がない」「福利厚生が充実している」。<参考データ③>
  • 逆に現在の働き方に満足していないと回答した人は3割弱。理由は1.「給与や待遇面」、2.「職場の人間関係」、3.「自分に対する評価」、4.「日々の業務のやりがい」、5.「福利厚生」。居場所、人間関係、また勤務環境(近隣、転勤)などが、仕事の満足感に一定の影響を与えていることがうかがえる。<参考データ④>
  • 「女性活躍社会に賛成である」と回答した人は79.5%と多数。「女性の管理職がもっと増えるべきだ」という回答も67.0%と多い一方、管理職未経験者で「(部長以上の)管理職になりたい/なりたかった」と答えた人は18.1%と少ない。<参考データ⑤>
2.【定年とお金】定年に伴う退職金受取想定額は、平均「594万円」。退職金の使い道は「貯蓄」がトップ。でも、「自分へのご褒美」がほしいという人も。
  • 「定年女子」の定年時の退職金想定額は、平均594万円。一方、「ポスト定年女子」のうち、「仕事リタイア組」が実際に受け取った金額は1,107万円で、想定額とギャップがある。<参考データ⑥>
  • 一方で、安心して老後を過ごすための費用として必要な想定金額は、4,345万円と退職金想定額とは大きな開きがある。<参考データ⑦>
  • 退職金の使い道予定でトップは「預貯金」(82.1%)と堅実だが、次いで「旅行費用」「自分へのご褒美」(各22.6%)、「趣味」(15.1%)が上がり、消費に対して意欲的な側面も見られる。<参考データ⑧>
  • 定年が「まだ来てほしくない」という「定年女子」は62.0%と多数を占める。定年に対して「不安だ」と答えたのは71.0%。さらに「貯蓄が不安だ」は72.5%。他方で、「定年後、やりたいことがある」人も60.5%と多く、定年後を楽しみにしている様子もうかがえる。<参考データ⑨>
3.【定年後の生活】「定年まで働く」つもりの「定年女子」は69.0%と多数。さらにその中の67.4%が「定年後も働く」と回答。理由は、「経済的な不安」のほか、「今の生活を維持したいから」。
  • 定年まで働くという「定年女子」は69.0%。その中で、定年後も働く・働きたい人は67.4%と多数。<参考データ⑩><参考データ⑪>
  • 働く理由は「将来お金がないと不安」(55.9%)、「生計を維持するため」(52.7%)といった経済的な理由が大きいが、「自分のお小遣い」(48.4%)、「生活のリズムが保てない」(47.3%)、「時間を持て余す」(38.7%)といった今の生活の維持を意識した理由を挙げる人が多いのも特徴。<参考データ⑫>

調査概要


<定年女子調査>
・目的:「定年女子」の意識・実態の把握と、消費者としてのポテンシャルを探る。
・対象エリア:全国
・調査手法:インターネット調査
・対象者条件およびサンプル数:
 A. 定年のある企業に正社員として働く50代女性 400ss
 ・プレ定年女子(50歳~54歳) 200ss
 ・定年女子(55歳~59歳) 200ss
 B. 定年のある企業に正社員として働き、定年を体験した60代女性 200ss
 ・「仕事継続組(定年後も働いている)」人 100ss
 ・「仕事リタイア組(定年後は仕事をしていない)」人100ss
 ・サンプル総数:600ss
・調査期間:2019年12月
・調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[電通]
 マイページ TOP