第16回 生活者の“企業観”に関する調査 

2013年03月18日
一般財団法人 経済広報センターは、2012年12月、全国の「eネット社会広聴会員」(3,150人)を対象に、「第16回 生活者の“企業観”に関する調査」を実施した。本調査は、社会が企業をどのように評価しているかを把握するため、1997年度から毎年実施し、定点観測しているものである。
本年度も、企業の果たす役割や責任についての認識や企業に対する信頼度など、生活者の総合的な企業観についてアンケート調査を行い、その結果をとりまとめた。

【調査結果(要点)】

・企業の果たす役割や責任として最も重要度が高いのは、「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適切な価格で提供する」

・企業の事業活動および研究・技術開発は高評価。一方、人材・雇用や危機対応への取り組みは不十分との認識が見られる

・企業に対する信頼度は「信頼できる(信頼できる/ある程度)」が39%。肯定評価が2年連続で低下する一方、否定的な評価も前年度よりも減少

・企業の信頼獲得に重要な事項は「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適切な価格で提供する」が84%。「雇用を維持・創出する」も過半数に上る

・企業評価の際の情報源は「新聞」と「テレビ」が中心。情報発信者としてはメディアが高く信用される。企業からの発信情報も7割超が信用するものの、信用度は年々低下傾向に

・企業不祥事の主な原因は「企業の管理体制」と「経営者の姿勢、経営方針」 最大の防止策は「経営者が自ら先頭に立って倫理観を醸成し、法令を順守する」。「社員教育の徹底」も有効

・将来性を感じる企業は「技術力・研究開発力がある」が約7割。人材育成もますます重要に


なお、調査対象は、全国4,024人の「社会広聴会員」の中で、インターネットで回答可能なeネット社会広聴会員(3,150人)が対象。有効回答数は1,944人(有効回答率:61.7%)、調査期間は、2012年12月6日~12月17日。
 
【調査結果の概要】

1.企業の果たす役割や責任として最も重要度が高いのは、「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適切な価格で提供する」
 企業の果たす役割や責任の重要度を項目ごとに見ると、「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適切な価格で提供する」では「非常に重要」が81%と8割を超える。また、「不測の事態が発生した際に的確な対応を取る」(「非常に重要」55%)、「社会倫理に則した企業倫理を確立・順守する」(同48%)、「雇用を維持・創出する」(同46%)なども高く重視されている。 

2.企業の事業活動および技術・研究開発は高評価。一方、人材・雇用や危機対応への取り組みは不十分との認識
 企業の果たす役割や責任への対応状況を聞いたところ、「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適切な価格で提供する」は「対応している(対応している/ある程度)」が86%に上る。「先進的な技術・研究開発に取り組む」や「利益を確保し、納税する」も、生活者の約7割が「対応している(対応している/ある程度)」と認識している。
 一方、「社員の育成やワークライフバランスに取り組む」「不測の事態が発生した際に的確な対応を取る」「雇用を維持・創出する」については、「対応していない(あまり/対応していない)」との回答がそれぞれ6割を超える。これらの項目は重要度が高く、企業の一層の取り組みが求められているといえる。

3.企業に対する信頼度は「信頼できる(信頼できる/ある程度)」が約4割。肯定評価が2年連続で低下する一方で、否定的な評価は前年度よりも減少
 企業に対する信頼度は、「信頼できる」1%、「ある程度信頼できる」38%。「信頼できる(信頼できる/ある程度)」という肯定的な評価が2010年度から2年連続で低下している(2010年度51%、2011年度43%)。一方、「信頼できない(あまり/信頼できない)」は11%と、否定的な評価は2011年度(15%)よりも減少している。
 男女別では「男性」で、職業別では「会社役員・団体役員」および「会社員・団体職員・公務員」で、それぞれ肯定的な評価が高い。

4.企業の信頼獲得に重要な事項は「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適切な価格で提供する」が84%。「雇用を維持・創出する」も過半数に上る
 企業が、社会からの信頼を今後さらに勝ち得ていくための重要事項としては、「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適切な価格で提供する」が84%と最も多く挙げられている。次いで、「雇用を維持・創出する」が54%と、2011年度から10ポイント上昇している。
 男女別で見ると、男性では事業活動や技術・研究開発に取り組み、適正利益を確保することが、女性では危機対応や人材・雇用への取り組みがより重視されている。

5.企業評価の際の情報源は「新聞」と「テレビ」が中心。ただし、若年層および学生では新聞離れが目立つ
 企業評価の際に利用する情報源は、「新聞」(83%)と「テレビ」(61%)が中心。
 ただし、29歳以下の若年層および学生では、他の層に比べて「新聞」の利用率が低く、「企業が運営するインターネットサイト」が広く利用されている。

6.企業評価に際して、メディアからの発信情報は約8割が信用。企業からの発信も7割超が信用するものの、信用度は年々低下傾向
 企業評価の際に利用する情報の発信者に対する信用度について、「信用する(信用する/ある程度)」の割合は「メディアからの発信」で78%と最も高い。また、「企業からの発信」でも73%と7割を超えるが、年度別では2010年度以降、信用度の低下傾向が見られる(2010年度84%、2011年度78%)。

7.企業不祥事の主な原因は「企業の管理体制」と「経営者の姿勢、経営方針」
 企業不祥事の原因として考えられるのは、「企業の管理(社員の教育不足やコンプライアンス管理の不徹底など)に問題がある」(69%)と「経営者の姿勢(倫理観)や経営方針に問題がある」(65%)がそれぞれ6割を超える。
 「経営者の姿勢や経営方針に問題がある」との意識は、高い世代ほど強く持たれている。

8.企業不祥事の最大の防止策は「経営者が自ら先頭に立って倫理観を醸成し、法令を順守する」。「社員教育の徹底」も有効
 企業不祥事を防止するために具体的に取り組むべき課題は、「経営者が自ら先頭に立って倫理観を醸成し、法令を順守する」が66%と最も高い割合。以下、「従業員の倫理観や考え方を変えるように社内教育を徹底する」(55%)、「企業が内部通報制度を整備し、コンプライアンスを徹底する」(40%)、「商慣習や古い制度などを見直す」(39%)、「社内コミュニケーションを良くする」(38%)と続いている。

9.将来性を感じる企業は「技術力・研究開発力がある」が約7割。人材育成もますます重要に
 将来性を感じる企業として最も多く挙げられたのは、「技術力・研究開発力がある」の69%。「人材育成に力を入れている」(51%)は2011年度(44%)から7ポイント上昇し、企業の成長にとって、人材育成がますます重要と考えられていることがうかがえる。
 男性では女性に比べて「グローバルな事業展開に優れている」や「新成長分野に積極的に投資している」の割合が高く、より積極的な事業活動に企業の将来性を感じている。

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[経済広報センター]
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