科学に対する意識調査(世界14ヵ国対象) 

2019年03月22日

3Mは、世界14ヵ国の14,000人を対象に実施した科学に対する意識調査「ステート・オブ・サイエンス・インデックス」を発表。

2019年発行の「ステート・オブ・サイエンス・インデックス」は、科学に対する意識の変化を世界規模で調査しています。第三者機関による独自調査から、3Mは、科学は従来にも増して支持されるべきだという結論を得ました。
この調査では87%の人々が世界の諸問題を解決するには科学の力が必要だと考えており、過半数(62%)は科学が今後も一層進化すると考えています。一方で、科学に対して懐疑的な見方をする人々が前年比で、世界で3ポイント、米国では6ポイント増加しています。世界でほぼ半数(45%)の人々が自分自身の考えと合致する科学のみを認めているほか、科学がもたらす恩恵について他の人々と議論する際に、科学を支持するのはわずか20%であることが報告されています。このように相反する結果が出る理由のひとつとして、科学の支持者たちのなかで、科学への支持を提唱する必要性についての意識が低いということが挙げられます。

この調査では、科学への評価を高めるための課題とその解決の可能性を示しています。ほぼ4分の3の人々(70%)が科学が日々の暮らしにもたらす影響についてめったに考えたことがないと答え、半数以上(53%)が、科学はそれが解決する問題に匹敵する数の別の問題を引き起こしていると考えています。明るい見通しとしては、科学に対する懐疑的な見方が増えているにもかかわらず、科学に対する一般的意識は肯定的であるということです。明らかに多くの人々(72%)が科学は好奇心を刺激すると答えているのに対して、科学に無関心と答えた人は18%、科学は怖いと答えた人は10%でした。また、85%の人が、科学についてはほとんど、または、全く知らないと答えていますが、同様に85%の人々がもっと科学について知りたいと答えています。

科学への関心は人間への関心によって増幅する

ステート・オブ・サイエンス・インデックス調査は、科学が人間に恩恵をもたらす存在であることを示すことが、科学への関心と支持を高める重要なポイントであるとしています。

科学に興味があると回答した人の多くは、科学的進歩が将来の世代に恩恵を与える(59%)、科学が世界の主要な問題を解決する(42%)、科学が健康寿命を延ばすのに役立つ(40%)といった理由を挙げています。また、大多数が、がんなどの病気に対するワクチン(87%)や宇宙開発の未来について(71%)、恐れるのではなく、心待ちにしていると答えています。

コミュニケーションの重要性

この調査は、科学や科学者の魅力を広く浸透させる方法として、科学への理解と評価を妨げている障害を取り除くことを挙げています。主な課題は、科学をより身近なものにすることと、科学と暮らしとの関連性の周知です。両者ともに、ベストプラクティスの共有によって解決できます。大多数の人々が、科学者が、科学と日々の暮らしの関連性をもっと詳しく(84%)、もっとわかりやすく(88%)説明すべきだと述べています。さらに、80%の人が、科学に懐疑的な人から発信される情報よりも科学の専門家が発信する情報を信じると答えていますが、半数以上(58%)が科学者はエリートだと思っており、このことが、科学者が説明を積極的に行おうと努めていることと、それが受け手にどう思われているかとのギャップとなっています。

人々はデジタル環境の中にあって、アナログを欲している

人間への関心という点を引き続き考えると、本調査では、世界の人々が人工知能(AI)より人間により高い価値を置いていることが報告されています。人々が人間を好むか、デジタル機能を通じた関係性を好むかを調査する一連の質問を設定したところ、ほぼ全員(87%)が、ソーシャルメディアで5,000人のフォロワーを得るより、5人の実在の友人を得る方を選び、64%が自動運転車よりも従来の車を所有したいと答え、74%がロボットのアシスタントより、人間のアシスタントが欲しいと答えています。

また、AIは、将来の科学技術の役割についてある種の恐れを生み出しており、半数以上(52%)が職場でのロボットの役割について、期待よりも危惧を感じていると答えています。ヒトに関するクローン技術(77%)や遺伝子編集技術(65%)も、期待感よりも恐怖を生み出す進歩であるととらえられています。

補足資料 日本の結果について
科学にポジティブなイメージがある一方で、引き続き世界一厳しく懐疑的な見方も
  • 日本では、85%の人が世界の諸問題を解決するには科学の力が必要だと考えている上、科学が今後も一層進化すると考えている人は80%、世界平均の62%を大きく上回っています。同時に懐疑的な見方もあり、科学の信頼性に関するスコアは前回からほぼ増減はないものの、引き続き世界で最も低いスコアとなっています。科学に対する好奇心も低く(日本40%:世界平均72%)、半数近くが「関心がない」(日本42%:世界平均18%)と答えているほか、世界平均(10%)よりも多い18%の人が「威圧的だ」と感じています。
  • がんや糖尿病といった慢性疾患に対する医学的進歩(82%)、宇宙旅行の実現(71%)、空飛ぶクルマの実現(57%)などといった課題については、日本でも他国と同様に懸念よりも期待感を持っています。一方、特定の課題に対しては、世界平均に比較して懸念・不安が高くあらわれています。ヒトに関するクローン技術(90%)、遺伝子組み換え食品(85%)、遺伝子編集技術(83%)などのテーマです。
  • ロボットについて、日本では好意的な結果が出ています。職場におけるロボット活用への期待は高く(日本58%、世界平均48%)、懸念は日本が42%と、世界平均の52%を下回っています。また、アシスタントとして「人間を選ぶ」(66%)人が多いものの、ロボットを選ぶ意向は世界平均の26%に対して日本は34%と、ポジティブな結果となっています。
【ステート・オブ・サイエンス・インデックス調査の方法について】

この調査は、独立したリサーチ会社が2018年7月13日~9月10日までの期間、14カ国14,025人を対象にオンラインインタビューまたは直接の面談のいずれかで、各国18歳以上のおよそ1,000人を対象に行いました。調査を実施した国々は、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、ポーランド、シンガポール、南アフリカ、韓国、スペイン、英国、米国です。

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