2014年度総報酬調査 

2014年12月17日
マーサージャパンは、日本における給与・福利厚生に関する市場調査「総報酬調査-Total Remuneration Survey(以下TRS)」の2014年版レポートをリリースした。

総報酬調査レポート(TRS)について

TRSは、マーサーが20年以上毎年実施している「役割」をベースとした総報酬コンセプト(給与と福利厚生)に基づく報酬調査(サーベイ)である。報酬調査とは、参加企業が自社の報酬データを提供し合うことにより成立する。
さまざまな産業より参加企業を募り、各社の報酬データの回収や集計・分析を、第三者であるマーサーが、ジョブマッチングやポジションクラスなど、独自の手法により行うことで、各社のデータが個々に特定されることなくレポート化される。海外の企業では非常に一般的に実施されている調査であり、報酬設定の基礎データとして活用されている。
世界135ヵ国、主要な企業組織25,000社以上1,500万人以上に及ぶ役職員個人の実データを、マーサーがグローバル共通の手法で集計・分析・データベース化する。報酬水準のみならず、昇給率、変動賞与、新卒の初任給、GDP成長率、インフレ率、失業率などのマクロ的情報や、住宅手当など各種手当、年金、保険などの福利厚生関連項目が含まれる。

過去最多の参加企業数

2014年、日本におけるTRS参加企業数は499社で前年比38社増加した。日本国内の実データを元にした民間報酬調査では圧倒的な規模となる。

増加企業の産業傾向は、景気に最も敏感な産業である小売業、そして景気回復の影響が大きい自動車産業などが多く見受けられた。近年の傾向として、ベンチマーク対象市場を従来の全産業からより特定産業へシフトする傾向に対応し、新たに自動車産業を機械製造産業から分離・立ち上げを行った。
日系企業参加数は45社とTRS参加企業の約10%。年功制から職務や職責を重視した人事制度へ移行する日系企業が増えており、後者と親和性の高い本サーベイへの関心の高さが伺えた。

昇給率のトレンド

6年ぶりのベア復活に沸いた今春、大手企業の昇給率(ベア+定期昇給分)は加重平均で2.07%(経団連・2014 春季生活闘争第8回(最終)回答集計2014年7月3日発表)となり、昨年比+0.36%と久方ぶりの2%台乗せとなった。
TRS全産業ベースでは例年、経団連調査(いわゆる日系企業データ)に比べTRSデータ(90%外資系企業データ)が高い傾向があるが、2014年実績は一般的水準といわれる参加企業データの中央値で2.0%となり、ほぼ同水準となった。
次期の予算策定時に参考値として関心の高い2015年予想も2014年実績と同じく2.0%となり、インフレや消費増税分を反映した水準とはならなかった。
2013年(実績)・2014年(実績)・2015年(予想)3年分のトレンドは、25%パーセンタイル(下位4分の1)は1%台から2%へ上昇、75パーセンタイル(上位4分の1)も2%半ばまで上昇し、全体的には上昇傾向であることが判る。

依然として慎重な企業対応

経団連は2014年夏の大手企業ボーナス最終集計において2013年比7.19%増(2014年夏季賞与・一時金大手企業業種別妥結結果2014年7月31日)と発表した。TRS全産業ベースにて「役割の大きさ」毎に報酬を集計し回帰分析を行った結果、「総現金報酬」の動向は昨年比大きな変化は見られず、概ね昇給率分程度の上昇に留った。総現金報酬とは基本給と固定賞与、そして今年の業績目標を100%達成した場合に支払われるボーナスの理論値で構成されていることから、ボーナスの増加を見込んだ報酬を想定しない保守的な結果となった。
昇給率トレンドは、上昇傾向であるが全体を引き上げるには至らず、ボーナスの増加も見込んでいないことから、依然として企業は恒久的な賃金上昇に対して慎重な姿勢を継続していると言える。

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[マーサー]
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