世界のCIO 2,810人への調査 

2015年01月21日
ガートナー ジャパンのエグゼクティブ プログラムは、世界のCIO 2,810人へのサーベイ結果を発表。このサーベイは、4,000人を超えるCIOメンバーを主な対象として1999年から毎年実施しているもので、CIOが抱える次年度の課題を調査しています。

2015年におけるCIOの課題について、全世界の84カ国で2,810人から回答を得ました。世界のCIOが所属する企業のIT予算の総額は3,970億ドルに達します。日本では、エグゼクティブ プログラム メンバーを含む、さまざまな産業の企業に所属する61人のCIOから回答を得ました。日本の回答企業のIT予算額は、合計で約133億ドルになります。

本サーベイの結果、世界と日本のCIOには、次のような特徴が見られました。

・2015年のIT予算の増減は、世界で前年比プラス1.0%、日本でマイナス0.8% (いずれも加重金額ベースの平均) でした。日本は回答者数ベースでは「増やす」(36%) が「減らす」(19%) を上回りましたが、金額ベースでは依然としてIT投資には慎重です。

・「企業全体でデジタライゼーション (以下、デジタル化) を推進する場合の推進役の役割配分」を聞いたところ、日本のCIOの平均は「CIO (つまり自身)」が34% (世界は47%)、「事業部門リーダー」が28% (世界は17%)、「その他の役職」が38% (世界は36%) という配分でした。日本のCIOは、デジタル化への先導を事業部門にも期待していることが分かりますが、これは世界に比べてデジタル化への関与に日本のCIOがやや消極的であることの表れともいえます。その原因の1つは、既存のITシステム業務に忙殺され、デジタル化まで手が回らないという IT組織のジレンマでしょう。また、デジタル化を現場主導の改善活動の一環として捉える傾向が強いのかもしれません。

・日本のCIOが2015年に重点投資を計画するテクノロジのトップ5は、上から順に「クラウド」「ERP」「BI/アナリティクス」「モバイル」「IT基盤/データセンター」でした。順位の変動はあるものの、世界のCIOの回答とその構成は同じです。デジタル化に深く関連する「Nexus of Forces (*)」を構成する4大テクノロジ (クラウド、モバイル、インフォメーション、ソーシャル) のうち3つまでがランクインしています。唯一、「ソーシャル」については日本も世界もランキング外ですが、これは設問が投資規模も含めた順位を尋ねたものとなっているためで、「ソーシャル」に対するCIOの関心は決して低くはないと考えます。

(*) ガートナーでは、クラウド、モバイル、ソーシャル、インフォメーション (ビッグ・データ) の4つの力の強い結び付きのことを「Nexus of Forces」と呼んでいます。

・日本のCIOは、業務時間の約80%をIT組織や事業部門などの社内向けコミュニケーションに充てており、社外のステークホルダー (顧客など) との対話に費やす時間は9%にとどまっています。この傾向は世界のCIOも同様です。ガートナーでは、CIOが有効な時間管理を実現するため、社内コミュニケーションを含むIT実務の「代行者 ("COO" of IT)」の設置を推奨しています。サーベイ結果は、日本のCIOの実に74%が「代行者」を既に設けているというものでした。これは世界のCIOの回答率である46%をはるかに上回ります。しかし、この結果は決して驚くべきことではありません。日本のローテーション人事という慣行を踏まえると、CIOの前職が非IT組織であることは多く、必然的にITの専門家が別途サポート役を担うことになるからです。それでも日本のCIOが社外コミュニケーションに多くの時間を割けていないのは、IT以外の部門も統括する「兼任CIO」が多いという点に加えて、社外の顧客と対話するパスをそもそも持っていないCIOが大多数である点が原因と考えます。


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[ガートナー ジャパン]
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