60代シニア層の生活意識や行動に関する分析(ADK生活者総合調査2013より) 

2014年06月02日
アサツー ディ・ケイ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:植野伸一、以下ADK)では、社内に「アラ☆ダン研究所®」を設置し、60代を中心にシニア層を対象としたマーケティングサポートを行なっています。(「アラ☆ダン」=アラウンド団塊世代の略)

2013年5~6月に実施した「ADK生活者総合調査2013」をもとに、60代シニア層の生活意識や行動に関する分析結果をまとめた「アラ☆ダン研究所® シニアレポート第3号」をご案内いたします。

今回のレポートでは、日常生活における生活者の”幸せ度合”に着目。
分析結果から、全年代の中で最も幸せを感じる意識が高いのは60代であることがわかりました。また同じ60代でも、特に女性において、はっきりとした幸せを実感していることが明らかになりました。加えて、幸せを感じる度合によって、日常での活動やよりどころに差異があることも浮き彫りになりました。

【調査結果トピックス】

① どの年代よりも”幸せ”を実感する60代シニア
② 男女間ですれ違う幸せの源泉
③ 幸せを実現する60代女性の貪欲な行動力と向上心

【調査結果】

①どの年代よりも“幸せ”を実感する60代シニア
~60代に次ぐのは10代、最も低いのは20代男性。総じて男性より女性の方が「幸せ」~


個人の「幸せ」の度合を10点満点の「幸福度得点」として採点してもらったところ、60代がつけた得点が他の年齢層を大きく上回る結果となりました。
60代に次いで高いのは男女とも10代、以降50代、40代、30代と続き、一番低い年齢層は20代でした。
性年齢別に詳しくみると、60代の女性が「平均6.89点」と、性・年代別(調査対象の12~69歳)で最も「幸せ」を感じているという結果が出ました。60代女性の次に高いスコアは10代女性(同6.59点)、次いで60代男性(同6.55点)で、最も低いのは、20代男性(同5.39点)でした。

幸福度得点の分布を見ても、60代女性の評点の最頻値(最も多く出た回答)は「8点」で、28%の人が回答しています。またこの層は「7点」から「10点」までの高得点帯の割合の合計が68%と、およそ3人に2人が強く幸せを実感していることがうかがえます。
これに対し、男性ではナンバーワンの60代男性は、高得点帯の割合合計が61%と、同年代の女性に少し水をあけられています。

②男女ですれ違う幸せの源泉
~ 60代男性は「妻頼み」。60代女性は「子ども」「友人」など幅広く ~


「自分にとってのよりどころ」を、60代男女の中で「幸せ」の意識が高い層(前ページの幸福度得点で7点以上を回答/以降「幸福度が高い層」と表記)と低い層(同6点以下を回答)で比べてみました。

幸福度が高い60代男性は、そのよりどころが「配偶者」(=妻)に集中(68%)しているのに対し、幸福度の高い女性は「配偶者」(=夫・58%)のほか、「子ども」(59%)や「孫」(28%)、「趣味や特技」(42%)、「健康や体力」(52%)、そして「友人」(33%)など、よりどころが幅広く挙がっているのが特徴的です。
幸福度の高いシニア男性のよりどころが配偶者に集中している、言わば「妻頼み」の状況は、「“妻が頼り”と言えるシニア男性は幸せ」という意味でもあるようです。
次に、 60代の男女別に、幸福度の高低による「よりどころ」の違いを比べてると以下の傾向がみられます。
男性・・・幸福度の高い人は「配偶者」を筆頭に、「健康や体力」「勤勉さ」「生き方や信念」「家庭」なども高いのに対し、幸福度の低い人は「配偶者」や「子ども」「友人」「生き方や信念」が目立って低くなり、よりどころとして最も高いのは「健康や体力」になっています。
女性・・・幸福度の高い人は前述の通り「配偶者」や「子ども」「友人」「健康や体力」「趣味や特技」が高く挙がっているのに対し、幸福度の低い人は「子ども」への集中度が高く、「配偶者」「趣味や特技」「財産」などは相対的に低くなっています。
上記のように、特に60代のシニア女性は、幸福度の強弱によって、よりどころが分散と集中に分かれています。幸福度の高い人は、よりどころが広範に分散していることから“幸せ”の重層化がみてとれます。またこのことは、幸せを維持するためのリスクヘッジとも捉えることができるのではないでしょうか。

60代男性で幸福度の高い人は「よりどころ」が「配偶者」に集中しているという傾向を前述しましたが、それを詳しくみたのが【図2】です。
幸福度が高い人と低い人との間で差が最も大きいのは「配偶者」(=妻)となっており、その差は実に35ポイントに達しています。次いで「子ども」「生き方や信念」の差が大きくなっています。それに比べると、「よりどころ」として上位に挙がる「健康や体力」「趣味や特技」「勤勉/まじめ」は、幸福度の高低による差との関連性は低いと思われます。

上記の背景を探るために、実際に配偶者がいるかどうかをみてみました。
【図3】をみると、60代女性で幸福度の高い人と低い人では配偶者の有無に大きな差は見られませんが、60代男性では、幸福度の高い男性は配偶者(=妻)のいる人が88%なのに対し、幸福度の低い人は63%と差があります。この点でも、60代男性における幸福度の高低は妻の存在が大きいと言えそうです。

③幸せを実現する60代女性の貪欲な行動力と向上心
~今や「女房元気で留守がいい」?~


「幸せ」の感じ方に影響を与えるものとして、趣味やスポーツなどの活動状況をみてみました。その結果、幸福度の高い60代女性は、60代男女の中でも趣味活動の活発さが際立っていました。
60代女性で幸福度が高い人とそうでない人を比べた差が大きいのは、「旅行(国内・海外)」を筆頭に「食べ歩き」、「料理・お菓子づくり・パンづくり」、「映画館での映画鑑賞」、「園芸・ガーデニング」、「美術館・博物館めぐり」、「温泉めぐり」、「音楽鑑賞(クラシック)」など、領域が幅広いのがわかります。
またそれらの多くが、10代を含む全層と比べても圧倒的に高いことが注目されます。
以前のシニアレポートでも、元気で活発なシニア層の姿を紹介してきましたが、今回「自分は幸せ」だと感じる人はそれに輪をかけて活動的であることが確認され、その積極性が際立っています。
一方、幸福度が高い男性と、幸福度が高い女性の「幸せ実感者」同士を比べてみると、行っている趣味・スポーツの中身に差が見られます。
女性特性が強いと考えられる「料理」や「手芸」を別にすると、幸福度が高い女性が、幸福度が高い男性を大きく上回るものとして、「旅行(国内・海外)」や「園芸・ガーデニング」「食べ歩き」、「ライブ・コンサートの鑑賞」、「美術館・博物館めぐり」、「映画館での映画鑑賞」、「温泉めぐり」など、外出を伴うものが多く挙がりました。その昔「亭主元気で留守がいい」という言葉がありましたが、現代は「女房元気で留守がいい」とも言えそうな現象です。

前ページで見た「幸福度の高い女性が活動的である」ということを、他の側面から見てみました。
【図4】は自分の性格がどちらに近いか、という問いの中で「外向的である/内向的である」のいずれかを選んでもらった結果です。
60代の男女とも、幸福度が高い人ほど、「自分は外向的だ」と感じる割合が高いことがわかります。
その中でも特に、幸福度が高い60代女性は「外向的である」と答えた割合が4割を超え、60代男性とも、さらには他の年代と比べても高くなっています。10代を含めて調査対象全体が、どちらかといえば「内向的」と答える割合が多い(36%)ことを考えると、幸せを強く感じる女性の性格はその対極にあると言うこともできます。
このことは、趣味・スポーツでより外と接している(4ページ)ことや「よりどころ」の幅広さ(3ページ)にも通じていると言えそうです。


【調査概要】
・調査目的:一般生活者の意識・価値観や、消費行動、生活行動、メディア接触行動などを総合的に把握する
・調査方法:インターネット調査
・調査地域:一都三県~東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県
・調査対象と回収サンプル数:12歳(中学生以上)~69歳男女 11,968人 うち、60歳~69歳男女 985人
・対象者抽出方法:調査会社が保有するWEBリサーチモニターから抽出
・調査期間:2013年5月23日(木)~6月14日(金)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
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