入浴とヒートショック~シニアの入浴環境の実態と意識~ 

2015年10月30日
東京ガス都市生活研究所は、都市生活レポート「入浴とヒートショック~シニアの入浴環境の実態と意識~」を発行しました。

気温が低い冬場には、入浴中の死亡者数が急増します。死亡者の多くは高齢者であり、ヒートショックが主な原因であると考えられています。東京都健康長寿医療センターが行った調査では、2011年の1年間で、全国で約17,000人もの人がヒートショックに関連した入浴中の急死に至ったと推計されました。この死亡者数は、交通事故による死亡者数の3倍を超え、そのうち高齢者は14,000人と大多数を占めています。

本レポートでは、高齢化に伴い、今後関心が高まることが予想される「入浴とヒートショック」について、アンケート調査と入浴環境の温度測定調査の結果からシニアの意識と実態をまとめました。
アンケート調査では、ヒートショックの認知度は低く、自分の事ととらえている人は少ないことがわかりました。また、シニアは築20年以上の戸建住宅に住んでいる割合が高く、浴室は在来工法が多く暖房設備が少ないといったヒートショックの危険性が高い環境にあることが明らかになりました。さらに、温度測定調査からは、暖房設備がない浴室では、湯温と浴室温度の差が大きくなっており、ヒートショックによる入浴事故が起きやすい環境で入浴しているなどの実態が明らかになりました。
ヒートショックによる入浴事故を防ぐために、これまでヒートショックを気にしたことがなかった人も、意識をしていた人も、改めてヒートショック対策を確認し、ご家庭で実践していただきたいと考えています。

【本調査結果のポイント】

1. ヒートショックに関する生活者の意識
■半数以上が、「ヒートショック」を知らない。
・ヒートショックの認知度は44.2%。過半数は知らない。
・自分がヒートショックにより意識を失ったりする危険性を感じる人は約2割。リスクの高いシニアでも3割弱にとどまる。

2. 浴室・脱衣室暖房の現状
■シニアの多くが住む、築20年以上の戸建住宅の浴室は、約8割がヒートショックリスクの高まる「暖房のない浴室」。
・築20年以上の戸建住宅は、在来工法の浴室が多い。築年数が浅いほど、浴室に暖房のある住宅が多い。
・脱衣室に暖房がある住宅は築年数に関わらず、戸建住宅で約3割、集合住宅で約2割。

3. 冬季入浴環境の実態
■浴室暖房設備がない住宅は、浴室温度と入浴中の湯温の差が大きく、ヒートショックによる事故が起きやすい環境である。
・冬季入浴環境の温度測定の結果、浴室暖房設備のある人は、浴室暖房設備のない人に比べて浴室温度が高く、湯温が低くなっており、浴室暖房はヒートショック対策として有効である。
・浴室が十分に温まっていなくても「寒さを感じていない」と回答した人がいることから、感覚に頼る方法では、ヒートショックが起きやすい環境で入浴する可能性がある。

4. ヒートショック対策のポイント
■温度のバリアフリー化 ~浴室や脱衣室を暖かくし、お風呂の湯温はぬるめにする~
Point(1) 脱衣室や浴室をあらかじめ暖める。
Point(2) 湯温は41℃以下にする。


【調査概要】
(1)定量調査
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2015年1月31日~2月2日
・調査対象:一都三県在住 20~79歳男女2060名(一般1236名、浴室暖房乾燥機保有者824名)
(2)実測調査 ~冬季入浴環境の温度測定~
・調査方法:事前スクリーニング調査により温度測定調査先を選別し、温度ロガーによる浴室環境温度測定、および、測定後に記入シートによる意識調査を実施。
・温度測定調査方法:調査先の「脱衣室」、「浴室」、「浴槽内」に温度ロガーを設置し、計測を行う。期間中は本人および家族の入浴記録をつける。
・温度測定実施期間:2015年1月24日~1月29日
・温度測定実施先:一都三県在住 55歳~69歳男女97名

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[東京ガス]
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