中高生の自転車事故実態調査 

2016年01月06日
自転車の安全利用促進委員会では、自転車通学や自転車の活用実態について、様々な方法で調査してまいりました。今回は、当委員会メンバーでもある三井住友トラスト基礎研究所 研究理事 古倉 宗治氏と、公益財団法人交通事故総合分析センターITARDA協力の元、中高生の自転車事故実態について調査いたしました。

【調査トピックス】

(1)自転車事故の割合が高いのは"シニア"ではなく"中高生"!!ルールマナー違反での事故が約7割
● 中学生及び高校生の事故頻度はシニア層と比べ約4~5倍
● 法令違反による事故は中学生で72.0%、高校生で68.9%と全体に比べても高い傾向

(2) 高校生の事故率は全体の3.3倍!中高生の自転車事故率は大都市圏よりも地方都市で多い傾向に
● 中学生の部ワースト1位 群馬、2位 佐賀、3位 香川
● 高校生の部ワースト1位 群馬、2位 静岡、3位 宮崎

【参考資料】
自転車の義務・推奨項目は「自転車保険加入」(35.0%)などのソフト面が優勢。「BAAマーク」(7.3%)など、自転車自体の安全性への意識はまだまだ低め!
● 優先義務・推奨項目は「自転車保険加入」(35.0%)「ヘルメット着用」(27.7%)「ハンドルの形状」(26.3%)
● 「両立型スタンド」(16.0%)「リアキャリア」(15.0%)「大きなかご」(8.3%)など中高生ならでは項目も!

【調査結果】

自転車事故の割合が高いのは“シニア”ではなく“中高生”!!
ルールマナー違反での事故が約7 割

● 中学生及び高校生の事故頻度はシニア層と比べ約4~5 倍
● 法令違反による事故は中学生で 72.0%、高校生で 68.9%と全体に比べても高い傾向

各年代別の自転車事故割合について交通事故総合分析センターの資料によると、次のようになっています。
中学生及び高校生の事故頻度がシニア層(55 歳以上)に比べ、約4~5 倍と高いことがわかりました。また、そのうちの約 7割が自転車側の法令違反によるものだというデータも明らかとなっています。

年齢層別千人当たりの事故頻度は、最も高頻度だった年齢層が 5.6%の 16~18 歳(高校生の年代)、続いて 4.1%の 13~15 歳(中学生の年代)、2.4%の 7~12 歳(小学生高学年の年代)と、比較的若年層の事故割合が高い傾向が明らかとなりました。一方、高齢運転者が関与する交通事故の割合が高まっているものの(警視庁交通総務課統計調べ)55 歳以上の事故率については、55~64 歳(1.2%)、65~74 歳(1.4%)と中高生に比べると低い値となっています。

また、調査の結果、これらの事故のうち、約 7 割が法令違反を原因とした事故だということも明らかとなりました。
今年 6 月の道路交通法が改正以降、「信号無視」「路側帯通行時の歩行者通行妨害」「歩行者用道路徐行違反」「通行区分違反」など 14 項目の違反者に対して、安全運転を行わせるため講習の受講が義務づけられました。しかし、この中高生の年代は免許取得などでの交通ルール知識を理解する機会が少ないため、学校等で行われている講習の充実等が必要かもしれません。

高校生の事故率は全体の 3.3 倍!
中高生の自転車事故率は大都市圏よりも地方都市で多い傾向に

● 中学生の部ワースト 1 位 群馬、2 位 佐賀、3 位 香川
● 高校生の部ワースト 1 位 群馬、2 位 静岡、3 位 宮崎

全国の中高生の事故状況を調べるため、都道府県別の中高生の事故件数・生徒数をもとに、一万人当たりの事故率を算出しました。
その結果、中学生と高校生の両方で、群馬県が事故割合の高いことが明らかとなしました。一方大都市圏では交通事故件数が多いものの、通学に自転車を利用することが少ないこともあり、中高生の一万人当たりの事故数を考えると、比較的割合の低い結果となっています。
今回の調査では中学生と高校生の両方で、群馬県が最も高く、中学生で一万人あたり 41.1 人、高校生で 97.7 人という結果となりました。これは全国平均 9.7 人(中学生)及び 28.0 人(高校生)に比較すると、各 4.2 倍及び 3.5 倍となります。


【自転車事故実態調査】
調査元 :公益財団法人交通事故総合分析センターITARDA※
調査時期:2015年11月

※ 交通事故と人間、道路交通環境及び車両に関する総合的な調査・分析・研究並びにその成果の提供等を通じて、交通事故の防止と交通事故による被害の軽減を図ることにより、安全、円滑かつ秩序ある交通社会の実現に寄与することを目的とする団体。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[自転車の安全利用促進委員会]
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