ものづくり産業における労働生産性向上に向けた人材確保、定着、育成等に関する調査 

2016年05月19日
労働政策研究・研修機構(JILPT)は、「ものづくり産業における労働生産性向上に向けた人材確保、定着、育成等に関する調査」を実施。

労働力人口が減少する中、我が国が持続的に成長していくためには、人材の質的側面の向上とともに、量的側面の拡大が重要となる。このためには、一人ひとりの労働者が生み出す付加価値を高めるため、労働生産性の向上が不可欠であるとともに、潜在的な労働供給力の大きい女性の活躍をものづくり産業においても促進させる取り組みが求められる。こうした観点から、ものづくり産業において労働生産性を上げるための人材育成等の取り組みの実態、また女性の就業促進に向けた取り組みの実態等を把握するため、ものづくり企業に対してアンケートを実施した。なお、本調査は厚生労働省職業能力開発局からの要請により実施したものである。

【調査結果のポイント】

労働生産性の向上に向けた人材育成等の取り組み
<半数以上の企業が、労働生産性を向上させる取り組みのために人材確保・育成を実施>

・ものづくり企業に対して、労働生産性を向上させるために行っている取り組みを尋ねたところ(複数回答)、トップにあがったのは「改善の積み重ねによるコスト削減」(55.0%)。「従来の製品や技術への付加価値の付与」(31.6%)、「他社にはできない加工技術の確立」(30.0%)といった製品・技術の高付加価値化に取り組む企業も 3 割に及ぶ。
・労働生産性を向上させるために行っている取り組みを進めるため、過去 3 年間で<人材確保や人材育成・能力開発>に関する何らかの施策を実施した企業は 54.1%で、実施を検討中の企業も含めれば 7 割に及ぶ。効果があった施策としてトップにあがったのは(複数回答)、「正社員の採用の強化」(50.2%)。

<ICT 化を進める上での課題のトップは「人材の不足」>
・ICT 化を進めるうえでの課題を尋ねたところ(複数回答)、「人材の不足」が 34.1%でトップにあがり、次いで「予算の不足」(28.5%)など。

<労働生産性向上分の配分先では、処遇改善や人材確保・育成も高い割合>
・自社の労働生産性を 3 年前と比べると、向上した(「向上した」+「やや向上した」)と回答した企業が 64.6%と 6 割以上に及ぶ。
・労働生産性が低下した企業より、向上した企業の方が、【高付加価値化】タイプの労働生産性を向上させる取り組みを実施した割合が 10 ポイント以上高い(向上した:61.9%、低下した:50.3%)。
・労働生産性が「向上した」とする企業にその配分先を尋ねると(複数回答)、「設備への投資」(65.1%)に次いで、「賃金など処遇の改善」(51.6%)、「人材の確保・育成」(46.7%)が続く。

ものづくり現場における女性の活躍に向けた取り組み
<6 割の企業が女性ものづくり人材の活用に積極的>

・ものづくり人材における女性の活用を、今後どのように進めていく考えか尋ねると、61.4%の企業が、すでに進めているか、もしくは今後進めたいと回答。進める理由として(複数回答)、「優秀な人材を確保するため」(58.4%)がトップにあがる。


【調査概要】
・調査名:「ものづくり産業における労働生産性向上に向けた人材確保、定着、育成等に関する調査」
・調査対象:全国の日本標準産業分類(平成 25(2013)年 10 月改訂)による項目「E 製造業」に分類される企業のうち、プラスチック製品製造業、鉄鋼業、非鉄金属製造業、金属製品製造業、はん用機械器具製造業、生産用機械機具製造業、業務用機械器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業、輸送用機械器具製造業に属する従業員数 10 人以上の企業 20,000 社。
平成 26(2014)年経済センサス基礎調査(速報)での企業分布に従い、民間信用調査機関(帝国データバンク)所有の企業データベースから業種・規模別に層化無作為抽出した。
・調査方法:郵送による調査票の配布・回収。
・調査実施期間:平成 27(2015)年 11 月 30 日~12 月 18 日(調査時点は 11 月 1 日現在)。
・有効回収数: 有効回収数 5,785 件/有効回答率 28.9%。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
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[労働政策研究・研修機構]
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