アクセンチュアの最新調査「Dynamic Digital Consumers」(世界26カ国の消費者対象) 

2017年02月09日
アクセンチュアの最新調査によると、2016年に過去3年間で最低水準にまで落ち込んだスマートフォンに対する消費者需要が、セキュリティの強化や新機能の追加、パフォーマンスの向上、買い替えサイクルなどの要因に支えられ、2017年は回復に転じる見込みであることが明らかになりました。

世界26カ国2万6,000人の消費者を対象としたアクセンチュアの最新調査レポート「Dynamic Digital Consumers」によると、スマートウォッチやフィットネストラッカー(活動量計)といった特定のコネクテッド・デバイスに対する消費者需要は今年も低迷する見込みです。その理由としては、高額であることに加え、個人データのセキュリティやプライバシー保護への懸念が挙げられます。また同調査では、消費者の間でデジタル音声アシスタントなどのAI機能への関心が高まりつつあることも報告されています。

スマートフォンの消費市場に回復傾向

スマートフォンの購買意欲に関しては、調査対象となった消費者の過半数の54%が「今後12カ月間以内にスマートフォンの購入を検討している」と回答しており、昨年の調査における48%から6ポイント上昇しました。最大のけん引役は中国の消費者で、中国では消費者の約4分の3に当たる74%がスマートフォンの購入に意欲を示しており、その比率は昨年の61%から13ポイント上昇しています。また、インドでは昨年の68%から79%に、米国でも昨年の38%から52%にそれぞれ上昇し、いずれも前年比2ケタの伸びを示しました。

消費者のスマートフォン需要を促進している主な要因としては、「革新的な新機能の搭載」(昨年の41%から51%に上昇)や「現在使用中のスマートフォンのパフォーマンス不足」(昨年の33%から45%に上昇)などが挙げられています。

AIを活用したデバイスとサービスへの高い関心

本調査では今回初めて、Amazon EchoやGoogle Homeに代表される音声アシスタント端末の購買意欲についても調べました。人工知能を利用した製品は、「灯りをつけて」や「音楽をかけて」などの人間の音声による指示を認識して作動するほか、「今、何時?」や「外の気温は?」といった質問にも答えてくれます。現在このような端末を所有している回答者はわずか4%であったものの、所有者の65%がデバイスを頻繁に利用していると答えており、この新技術の受け入れが進んでいることがうかがえます。

AI技術の劇的な進歩を背景に、スマートフォンの音声アシスタント・サービスの人気は高まりつつあります。このサービスの普及をけん引しているのは若い世代の消費者であり、14~17歳の回答者の約5人に4人以上に当たる84%が「現在音声アシスタントを利用している、もしくは利用してみたい」と答えています。

消費者はAIを利用した各種のパーソナライズド・サービスの受け入れにも前向きであり、回答者の大多数がパーソナル健康支援(60%)、旅行支援(59%)、エンターテイメント向けアドバイザー(51%)などのサービスに関心があると答えています。

個人データ保護への懸念の広がり

また、スマートフォンやクラウド上に保管されることの多い個人データの保護について、多くの消費者が不安を感じていることも明らかになりました。回答者の87%が、オンライン・ショッピングなどに伴う金銭取引におけるセキュリティに不安を覚えると回答しています。同様に、特定の企業や組織が許可なく自分の金融情報にアクセスすることに対しては、89%の回答者が懸念を示しています。

一方、個人情報の取り扱いに関し、消費者が通信事業者、銀行、検索エンジン事業者よりも端末メーカーをより信頼しているとの結果が出たことは、スマートフォン・メーカーにとって朗報と言えるでしょう。回答者の3分の1以上(37%)が端末メーカーを信頼していると回答しており、これは昨年の31%から6ポイント上昇しています。これに対し、通信事業者を信頼しているという回答は36%(昨年42%)、検索エンジン事業者は13%(昨年23%)と、いずれも昨年より低下しました。

コネクテッド・デバイスの需要の低迷と市場急拡大の可能性

スマートフォンの購入を検討している消費者の数は今年、増加基調にあるものの、すべてのコネクテッド・デバイスに該当するわけではありません。例えば、ウェアラブルなフィットネストラッカーやスマートウォッチを購入すると答えた消費者はわずか14%と、昨年の13%からほぼ横ばいで推移しています。

前述のソービーはまた、「“モノの不安(insecurity of things)”は、業界の大きな課題となっています。個人データの盗用や侵害に対する消費者の不安は広がりをみせています。また、これらのコネクテッド・デバイスの価格が、提供される価値に対し、かなり割高である状況も相変わらずです。これらの障壁が存在する限り、コネクテッド・デバイスの市場は停滞することになるでしょう。しかし、障害が取り除かれれば、市場の需要はすぐに加速に転じると考えられます」

本調査は、こうした動きが各種のコネクテッド・デバイスの間で起きる可能性があることを示唆しています。来年中にインターネット接続型の防犯カメラを購入するという回答は10%にとどまっているのに対し、5年以内に購入するとの回答は半数近くの46%を占めています。また、来年中にウェアラブルなフィットネストラッカーを購入するという回答は12%であったのに対し、5年以内に購入を検討しているとの回答は44%に上りました。家庭用のスマート・サーモスタット(自動温度調節器)に関しても、「来年中の購入」はわずか8%であったのに対し、「5年以内の購入」は42%にも達しました。


【調査方法】
アクセンチュアは2016年10月から11月にかけて、世界26カ国2万6,000人の消費者を対象にオンラインで本調査を実施しました。対象国は日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、チェコ、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、アイルランド、イタリア、メキシコ、オランダ、ポーランド、ルーマニア、サウジアラビア、シンガポール、スロバキア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、トルコ、アラブ首長国連邦、英国、米国です。各国におけるサンプル数は各国のインターネット利用者数に基づくものであり、回答者の年齢分布は14歳から55歳超となっています。調査では関連データのモデリングにより、デジタル端末、コンテンツとサービス、購入パターン、サービス事業者に対する好みや信頼度、コネクテッドなライフスタイルの未来に関する消費者の意識を定量化しました。

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[アクセンチュア]
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