ブランド価値による日本ブランドのランキング(Best Japan Brands 2017) 

2017年02月16日
インターブランドジャパンは,ブランドの持つ価値を金額換算する独自のブランド価値評価(Brand Valuation™)手法を用い,日本発のブランドを対象としたブランド価値ランキング「Best Japan Brands 2017」を発表いたしました。

2009年より発表し,今年で第9回目となるBest Japan Brands 2017は,日本のグローバルブランド(海外売上高比率30%以上)を対象とした「Japanʼs Best Global Brands(JBGB)」と,国内ブランド(海外売上高比率30%未満)を対象とした「Japanʼs Best Domestic Brands(JBDB)」の2部門で,各TOP40ブランドを発表しています。
Best Japan Brandsは,インターブランドが2000年より毎年発表するグローバルTOP100のブランド価値ランキング「Best Global Brands」と共通の評価方法を用いており,グローバルのリーディングブランドと日本企業のブランド価値が比較可能となる世界基準の指標として活用されています。

Best Japan Brands 2017 概況

円高の進行や米国大統領選挙,英国のEU離脱国民投票など様々な政治・経済の環境変化があったものの,各ランキングのブランド価値の合計金額は,昨年比でJBGBが6.3%成長,JBDBが0.5%成長となりました。昨年10月に発表したBest Global Brands 2016全体の成長率は前年比4.8%であり,JBGB全体の成長率はそれを上回ることから,日本のグローバルブランドの好調さを表す結果となりました。

業界別では,自動車関連ブランド(11 ブランド)および金融関連ブランド(11 ブランド)が多く名を連ねています。
Toyota(JBGB 1 位,前年比+9%)を筆頭に自動車関連ブランドはブランド価値を伸長させ,昨年に続き日本ブランド全体を牽引しています。金融ブランドでは,昨年上場したKampo Seimei(JBDB 17 位)と Sompo Holdings(JBDB 35 位)の保険ブランドが初のランクインとなりました。
ビジネス成長を明確に意識してブランドを強化しているブランドは,ブランド価値の成長率が継続して高いことが伺えます。Subaru(JBGB 10位,前年比+28%)及びShimano(JBGB 22位,前年比+20%)は,差別化要因を明確にすることでプレミアム価格を実現し,利益率の向上を実現しています。MUJI(JBGB 19位,前年比+20%)は,シンプルなライフスタイル提案によりグローバルでの顧客を増やし,売上高成長につなげることに成功しています。

Japanʼs Best Global Brands 2017

JBGB2017では,Toyotaが9年連続の第1位となり, Honda(2位, 前年比-4%),Nissan(4位, 前年比+22%),Lexus(9位, 前年比+10%),Subaru(10位, 前年比+28%)とTOP10のうち5つが自動車ブランドとなりました。Subaruは4年連続でブランド価値成長率第1位となり,初のTOP10入りを果たしています。ランキング全体では,TOP40のうち11ブランドが自動車関連ブランドで占められています。

また,昨年のMUFG(6位, 前年比+7%)に続き,海外売上高比率30%以上の「グローバル基準」を満たしたことで,Tokio Marine(15位,前年比+19%)及びMUJI(19位,前年比+20%)がJBDBから移動しランクイン。両ブランドはTOP 5 Growing Brandsにも名を連ねる著しい成長を遂げており,グローバル市場でビジネス成長を加速する日本ブランドの増加傾向が継続しています。

TOP 5 Growing Brands(前年比ブランド価値成長率トップ5)

Subaru(10位,前年比+28%)
2012年のランクイン以来ブランド価値は二桁成長を続けており,2014年から4年連続でブランド価値成長率で1位となっています。「安心と愉しさ」を価値の中心に据え,他社に先駆けて注力してきた北米市場でポジションの確立に成功し,「スバリスト」と呼ばれる熱狂的なファンを多く抱え,高い顧客ロイヤリティを獲得しています。

Nissan(4位,前年比+22%)
競合優位を実現するために,自動運転をブランドの大きな柱として,戦略的事業提携,戦略商品の発売,顧客接点体験の改善などブランド価値を高める一貫性のある活動を展開しており,長年にわたる継続的なブランドへの取り組みが確実に成果に繋がっています。

MUJI(19位,前年比+20%)
海外売上高比率が30%を超え,今年からJBGBにランクインしました。シンプルなライフスタイル提案により中国や欧米の顧客の潜在ニーズを捉え,グローバルでの顧客を増加させ,売上高の成長につなげています。さらに海外での認知度向上が国内でのインバウンド消費にもつながっています。

Shimano(22位,前年比+20%)
部品によってはShimanoの規格が世界のデファクトスタンダードになるほどの差別性を有し,自転車製品の世界シェアNo.1ブランドとしてのポジションを堅守しています。差別化要因を明確にすることでプレミアム価格を実現し,利益率を向上させることで,高いブランド価値を実現しています。

Tokio Marine(15位,前年比+19%)
損保業界では他社に先駆けて積極的に海外展開を進めてきた結果,「Tokio Marineブランド」を冠する事業の海外売上高が30%を超え,今年からJBGBにランクインとなりました。M&Aの際には積極的にワン・ブランド化を進め,グローバルで存在感を高めています。

New Entrants(ランキング入り)
MUJI(19位,前年比+20%),Tokio Marine(15位,前年比+19%)
※両ブランドはJBDBからJBGBへ移動

Japanʼs Best Domestic Brands 2017

JBDB2017では,NTT DOCOMOが7年連続の1位(前年比+4%)となり,以下Softbank(2位,前年比+5%),au(3位,前年比+5%)と大手通信3社が安定成長を続ける中,昨年上場し本評価の対象となったKampo Seimei(17位)とLINE(23位)に加え,Sompo Holdings(35位), Gusto(37位)の4つのブランドが初のランクインを果たしました。

TOP 5 Growing Brands(前年比ブランド価値成長率トップ5)

Matsumotokiyoshi(38位,前年比+28%)
インバウンド需要の取り込みや CRMの活用により売上高・利益とも高い伸びを実現しています。さらに,新PB「matsukiyo」の投入,リアルとネットを融合した買い物サービスの提供,顧客の美容と健康に対するソリューションを提供する次世代型ヘルスケアショップ「matsukiyo LAB」の展開など,積極的に消費者ニーズを先取りする施策を展開しており,さらなる成長が期待できます。

KOSÉ(24位,前年比+27%)
長年の研究開発を経て発売されたコスメデコルテの美容液は「ブースター」という新たなカテゴリーを創出し,その商品にフォーカスすることで新規顧客を多数獲得,囲い込みに成功しています。さらにチャネルやターゲット層を上位に絞ることで,高価格帯市場での成功につなげるとともに,KOSÉブランドに価値を蓄積しています。

Calbee(19位,前年比+17%)
トップの強力なリーダーシップのもと高収益体質に生まれ変わり,増収増益を続けています。「フルグラを国民食にする」のミッションのもと,その食べ方の啓蒙にはじまる体験を通したブランド展開で,シリアル市場だけでなく広く朝食市場における新しいポジションを確立,大きく売り上げを伸ばしています。また,ファンづくりを意識したウェブ展開やお客様相談室の対応,コンセプトショップ「カルビープラス」の展開など顧客との共感共創の実現を行っています。

Kao(8位,前年比+11%)
消費者起点の「よきモノづくり」をマーケティングの基本に掲げ,消費者のニーズに革新的な技術で丹念に応えていく姿勢を貫いており,顧客の声を製品の性能やデザインの改善に活用しています。これらにより売上高は微増ながらも「利益ある成長」を果たし,高いブランド価値の伸長を実現しています。

Meiji(21位,前年比+9%)
各カテゴリーを代表する強い商品ブランドを,独自の価値創造によってその長所を伸ばし,プレミアム化にシフトすることで増収増益を実現しています。チョコレートではカカオポリフェノールによるチョコレートの健康機能価値の訴求により市場の拡大と自社商品の拡販に成功。プロバイオティクスヨーグルトでは乳酸菌の機能性研究を基盤とし,その効能を訴求することで消費者ニーズを捉え,「LG21」や「R-1」を中心に機能性ヨーグルト市場におけるポジションを確立しています。

New Entrants(ランキング入り)

Kampo Seimei(17位)
日本全国各地でアクセスできる「かんぽ」は認知度が高く,収益も安定しています。新規上場により評価対象となり,今回高順位でランクインとなりました。

LINE(23位)
「Closing the distance」というミッションのもと,身近な人と気軽に繋がっていたい,一つのプラットフォームで何でも手軽に済ませたいという消費者のニーズを捉え,主要ターゲット層の10代~20代において高い好感度を獲得。プラットフォームのオープン化戦略によりユーザーと企業を結びつけ,広告や通販を通じて増収増益を実現しています。

Sompo Holdings(35位)
2016年より「SOMPO ホールディングス」という新ブランドを発足させ,「安心・安全・健康」を基軸に損保,生保,介護・ヘルスケアの3事業でワン・ブランド化を進めています。SOMPOブランドへの統合のレベルの違いはあるものの,事業を束ねるブランドが明確になったことで価値が増大し,今回の初ランクインとなりました。

Gusto(37位)
誰もが居心地よく好きなものが食べられる場所という提供価値を高める施策が奏功し,今回初のランクインとなりました。2013年以降のリモデルにより内装・空間環境を改善し,2016年にはデータ分析に基づきメニューを大幅に改定するなど,より幅広い顧客層のより多様な利用シーンに応えることで「価格以上の価値」を提供し,ビジネスとブランド双方の成長を実現しています。

Nitori(39位)
「低価格でインテリアをトータルコーディネートする」という価値を提案し,顧客の支持を得てきました。優れた研究開発力と商品開発力に加え,顧客ニーズへの高い対応力により,「スキレット鍋」に代表されるヒット商品も次々に生まれています。近年は,これまでよりやや高価格帯の商品戦略をとることで客単価が上昇,売上高・営業利益の伸びにつながり,2015年以来2年ぶりのJBDBランクインとなりました。

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