健康経営関連市場に関する調査(団体・サービス事業者、企業対象) 

2017年04月27日
市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニングは、健康経営関連市場に関する調査を実施。

近年、従業員の健康管理を経営課題として捉え、戦略的に対策を図ることで従業員の健康保持増進と生産性向上を目指す経営手法である“健康経営”が注目されています。

2013 年4月、「日本再興戦略」に基づく健康・医療戦略推進本部」のもとに設置された「次世代ヘルスケア産業協議会」においては、企業・個人等の健康投資を促進するための方策を検討する「健康投資ワーキンググループが中心となり、アクションプランに基づいて、健康経営銘柄の選定や健康経営アドバイザー制度、健康経営優良企業認定制度を創設するなど、中小から大手企業までが幅広く従業員の健康管理に取組む支援や風土づくりがスピード感を持って推進されているところです。

一方、企業においても、従業員のワークスタイルの多様化や労働力人口の減少に伴う人材確保への課題、長時間労働の抑制、働き盛りの人材の育児や介護問題、高齢者の雇用延長など、従業員の生産性の確保は経営上の大きな課題であり、持続的且つ収益性を担保した企業経営において、従業員が健康的に生産性高く業務に従事するための施策が、必要不可欠になりつつあります。

この調査では、従業員の健康管理の根幹である産業保健と、従業員に対する企業の戦略的な健康投資を支援する参入事業者動向を踏まえた健康経営関連市場の動向をとりまとめました。

<本調査での健康経営関連市場の範囲>
本調査では、企業・団体が取組む労働安全衛生法に基づく従業員の健康管理と、保険者(健保組合、協会けんぽ、共済組合)のデータヘルス・保健事業、職場の環境改善や組織の活性化支援、従業員のワークライフバランスに係わるサービスを健康経営関連市場と定義し、以下のように、健康経営関連市場を5つの領域に整理し、合計40分野の市場調査を行った。

対象の5領域は以下の通り。40分野の詳細は後述の「調査対象の40市場」を参照されたい。

① 健康経営を推進する経営理念・方針策定支援領域
② 法令遵守・リスクマネジメント領域
③ 従業員の健康保持増進領域
④ 環境改善・組織活性化領域
⑤ ワークライフバランス領域

【調査結果のポイント】

健康経営関連市場の市場規模
 → 2020年に1兆6,700億円の市場と予測
 → 健康経営のベースとなる法令遵守・リスクマネジメント領域を中心に市場拡大

各領域の動向
1.健康経営を推進する経営理念・方針策定支援領域 
2017年1月現在、企業の健康経営を支援するコンサルティングサービスの市場規模は殆どないが、今後、健康経営銘柄や健康経営優良企業認定制度の取得支援等に向けて、各サービス事業者の取り組みが始まる予定である。
なお、当該領域は、行政や非営利団体等が積極的に普及・啓発活動を行うほか、民間のサービス事業者が、自社商材の販売促進等を目的とした付加価値サービスとしてコンサルティングサービスを行うなど、様々なアプローチが考えられることから、本調査では市場規模の算出は行っていない。

2.法令順守・リスクマネジメント領域 
企業等に実施が義務付けられている法定健診や産業医の選任、ストレスチェック制度など、「従業員の健康管理に係わる施策」は、2020年に136%(2016年比)、勤怠管理やBCP策定支援/感染症予防など、「労務管理に係わる施策」は2020年に117%(2016年比)の成長率となり、健康経営の推進による法制度の適正な履行拡大が市場をけん引する。

3.従業員の健康保持増進領域 
企業等にとって法定外に位置付けられる従業員の健康保持増進領域は、健保組合など保険者がデータヘルス・保健事業として主体的に取組む傾向にある。
特定健診・特定保健指導や、糖尿病等重症化予防など制度外の保健指導、健康ポイント・インセンティブなど、企業等とのコラボヘルスの促進により、2020年に112%(2016年比)の成長率となり、市場拡大に寄与すると考えられる。
一方、企業等の取組みでは、社員食堂を運営するサービス事業者によるヘルシーメニューの開発・ 提供やカロリー表示など、“食”を通じた健康への意識づけを支援するサービスが緩やかに拡大すると考えられる。

4.職場改善・組織活性化領域 
付加価値の高いオフィス家具や、アセスメント等に基づく組織の課題解決を支援するコンサルティングなど、組織に対するアプローチを目的とする職場改善・組織活性化領域は、2020年に151%(2016年比)の成長率となり、金額は他の領域と比較して低いものの、成長率は高い傾向にある。
職場内でのリフレッシュやコミュニケーションを促進するオフィス菓子・飲料は、組織の活性化支援とともに、低コストで手軽に導入可能な福利厚生サービスとしても機能するなど、大手企業から中小企業までサービス利用が拡大傾向にある。

5.ワークライフバランス領域 
従業員の育児・介護など生活支援や余暇の充実、多様な働き方を支援するテレワークを含むワークライフバランス領域は、2020年に133%(2016年比)の成長率となる。
当該領域の市場規模は、テレワークソリューションが急伸し、福利厚生代行が緩やかに拡大する一方、企業や健保組合等が提供する直営・契約保養所が減少するなど、顧客ニーズの変遷が鮮明に反映される傾向にある。
今回は福利厚生代行分野に含めたが、より個々人の実情に即したワークライフバランスに寄与する「育児支援」や「介護支援」、「女性活躍支援」などの付加価値市場の確立が期待される。

健康投資への取り組み方針
 → 産業保健スタッフ等を強化して内製化を推進・・・31%
 → 民間企業等への外部委託を推進・・・28%

今回、従業員規模500 名以上の企業・団体に属し、サービス事業者の選定や決裁に関わっている主任職以上の人事労務部門・経営企画部門担当者300 名を対象に「健康投資への取り組み」に関するアンケートを行った。

従業員の健康投資を実施するうえでの具体的な取組み方針として、「産業保健スタッフ等を強化して内製化を推進」が全体の3 割強で最多となったが、次いで3割弱が「民間企業等への外部委託を推進」すると回答するなど、健康経営への取組みにおける民間企業等サービス事業者への積極的な外部委託が期待される。


【調査概要】
・調査対象:
 団体・サービス事業者 (12 団体)・・・ヒアリング 
 <団体>
 健康経営研究会、コラボヘルス研究会、東京商工会議所
 <サービス事業者>
 イーウェル、伊藤忠テクノソリューションズ、総合体力研究所、大同生命保険、東芝情報システム、日本医療データセンター、日本政策投資銀行、日本予防医学協会、パソナグループ

 企業の人事労務・経営企画部門担当者 (有効回答300 件)・・・Webアンケート 
 従業員規模500 名以上の企業・団体に属し、サービス事業者の選定や決裁に関わっている主任職以上の人事労務部門・経営企画部門担当者300 名。
 ※ 継続調査によって結果の推移を把握する観点から、従業員規模500 名以上で実施。
・調査方法:ヒアリング、Web を活用したアンケート調査、既存情報整理、文献・オープンデータ収集
・調査期間:2016 年8月~2017 年3月

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[シード・プランニング]
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