2018年中小企業の経営施策調査(中小企業の経営者を対象) 

2018年02月02日
産業能率大学は、中小企業(*)の経営者を対象に経営環境認識や経営方針・施策などを尋ねる調査を実施しました。この調査は、2011年から毎年発表しており今回で8回目となります。
調査はインターネット調査会社を通じて実施し、従業員数6人以上300人以下の企業経営者(経営トップ)569人から回答を得ました。

*中小企業基本法では業種によって「中小企業の範囲」が異なりますが、この調査では業種にかかわらず従業員数300人以下の企業を中小企業としました。また、零細企業を除くために従業員数が6人以上の企業の経営者を対象としています。

【全体総括】

今回の調査でも中小企業の「人材不足」が際立ち、深刻度が増している現状が見えてきました。中小企業経営者の52.5%が「人員が不足している」と回答し、過去最高となったほか、2018年の経営活動に影響を与えると想定される要因に「人材の不足」が最も多くあげられ、前回調査と比較すると9.2㌽の大幅な増加となりました。

一方2018年の業績については、好調な日本経済を背景に“良くなる”(「大幅に良くなる(見込み)」+「やや良くなる(見込み)」)とする回答が初めて4割を超えました。明るい見通しを持つ経営者が少なくない中、2018年に経営者として最も取り組みたいこととして、上位には「利益率の向上」「国内の販路拡大」などの積極的な施策が並びました。

中途採用活動を「実施した」とする回答は55.9%で過去最高となり、採用意欲が非常に高いことが分かります。しかし採用活動を実施した企業の半数以上が予定していた人員を確保できていません。

 2018年に経営者として最も取り組みたいこととして、「従業員の新規採用」だけでなく、「従業員の教育・育成」「従業員満足度の向上」などの項目も過去最高となりました。新規に人材を獲得するだけでなく、既存の人材への投資にも取り組んでいきたいと考える中小企業経営者も多いようです。

【結果概要】

2018年の業績見通し 43.5%の経営者“良くなる”と回答 過去最高

2018年の業績見通しについて、“良くなる”(「大幅に良くなる(見込み)」+「やや良くなる(見込み)」)とする回答が過去最高となりました。約4割の中小企業経営者は、今後の業績について明るい見通しを示しています。

業績見通しを業種別に見ていくと、“良くなる”(「大幅に良くなる(見込み)」+「やや良くなる(見込み)」)と回答した割合は、<情報通信業>で61.0%、<建設業>で49.3%、<金融・保険業>で46.6%と他の業種と比べて高い数値となりました。一方、<不動産業>は30.3%、<運輸業>は33.4%にとどまるなど業種によって差が見られました。

2018年に経営者として最も取り組みたいこと

経営者として2018年に最も取り組みたいことは、「利益率の向上」(12.7%)が最多で、「国内の販路拡大」(12.1%)と積極的な施策のほか「従業員の新規採用」(10.7%)、「従業員の満足度向上」(8.4%)、「従業員の教育・育成」(7.9%)が上位5項目となりました。

人材不足を背景に、「従業員」の採用・教育・育成に積極的に取り組む企業が増加しています。過去の調査結果と比較すると、「従業員の新規採用」10.7%(前回調査比1.9㌽増)、「従業員の教育・育成」7.9%(前回調査比0.9㌽増)などの項目で過去最高となっています。

「長時間労働の是正」に対する取り組み状況

「長時間労働の是正」に取り組んでいるかを尋ねた結果、「行っている」は45.5%、「行っていない」は54.5%となりました。「行っていない」と回答した企業について、今後の取り組み予定を尋ねたところ44.2%が「取り組む予定である」と回答しました。「長時間労働の是正」に対する取り組みを行っておらず今後も行う予定はないとする企業は、全体の約3割にとどまっています。

「長時間労働の是正」を行っていると回等した経営者(n=259)に、具体的にどのような施策を行っているか尋ねたところ、「従業員の意識改革」が最多の65.6%、「マネジャー層の意識改革」が40.2%、「職場の風土改革」が33.6%となりました。


【調査概要】
調査対象:従業員数 6 人以上 300 人以下の企業の経営者
調査期間:2017 年 11 月 17 日~27 日
調査方法:インターネット調査
サンプル:569

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[産業能率大学]
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