幼児期の家庭教育国際調査(日本・中国・インドネシア・フィンランドの母親対象) 

2018年03月08日

ベネッセホールディングスの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、2017年に、アジア3か国とフィンランドの都市圏で、幼児期の子どもを持つ母親を対象に「幼児期の家庭教育国際調査」を実施しました。

 本調査は、母親の子育て意識・実態や、小学校入学に向けて幼児期に育みたい力として設定した《学びに向かう力》《文字・数・思考》《生活習慣》の発達状況と保護者のかかわりについて、国による違いや共通点を明らかにすることを目的にしています。今回の調査では、日本と同じアジア圏より、経済的な成長が著しく、日本と同様に幼児教育の中で非認知的なスキルを重要視している中国、多様な民族が融合しているインドネシア、アジア圏との比較のためにヨーロッパ圏からフィンランドを対象にしました。本リリースでは、小学校入学に向けて育みたい力のひとつである《学びに向かう力》について取り上げています。
《学びに向かう力》の解説と調査の主な結果は、以下の通りです。

《学びに向かう力》について:
ベネッセ教育総合研究所では、幼児期に育みたい生涯にわたって必要な力、小学校入学以降の学習や生活につながる力として、「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」の5つの非認知的なスキルを《学びに向かう力》として定義しました。ベネッセ教育総合研究所では、2012年より《学びに向かう力》の縦断研究(「幼児期から小学生の家庭教育調査」)に取り組み、幼児期の《学びに向かう力》が、「言葉」などの認知的なスキルの土台となることを明らかにしています。

調査の主な結果


  • 1.小学校入学に向けて育みたい力のひとつである《学びに向かう力》は、社会文化的な環境が異なるにもかかわらず、4か国で共通の5領域―「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」―で構成されていることがわかりました。
  • 2.《学びに向かう力》の5項目の内、いずれの国でも、「好奇心」の得点がもっとも高い傾向。一方で、「がんばる力」や「自己抑制」は、得点が低い傾向がありました。
  • 3.《学びに向かう力》や、《生活習慣》などの自立にかかわる力の育成を子育てにおいて重視する傾向も各国共通しており、どの国でも8~9割の母親が「力を入れている」と回答。
  • 4.母親の「寄り添い型養育態度」が、いずれの国でも「好奇心」や「がんばる力」の発達に関連しています。「好奇心」や「がんばる力」を育てるうえで、保護者のかかわり方が重要です。

調査の背景と目的
 グローバル化やIT化など、国際的に社会環境の変化が加速する中で、既存の知識を身につけるだけでなく、環境に柔軟に適応し、学び続け、課題を解決しようとする姿勢や力が必要と考えられるようになっています。そして、そのような姿勢や力を幼児期から育むことの重要性が、世界的に注目されています。

 ベネッセ教育総合研究所では、この姿勢や力を《学びに向かう力》として、2012年より、年少期から毎年、国内で縦断調査を行ってきました。そのなかで、《学びに向かう力(非認知的スキル)》の形成のプロセスと、《生活習慣》や、《文字・数・思考(認知的スキル)》との相互影響の様子、保護者のかかわりの影響について明らかにしてきました。

 2017年、研究対象を国外に広げ、社会文化的に異なる環境に暮らす幼児の《学びに向かう力》《生活習慣》《文字・数・思考》の発達と保護者のかかわりを把握することを目的に、日本・中国・インドネシア・フィンランドの都市部で調査を行いました。尺度は、2012年の国内調査(「幼児期から小学生の家庭教育調査」)で設計したものを、各国の文化・習慣に合うように留意しながら翻訳し、使用しました。また、幼児期の家庭での教育・養育の実態や、保護者の教育・育児意識も合わせて調査し、背景となる環境や意識の違いや共通点を把握しました。いずれの国も、各国の子どもたちが小学校に入学する月の1~3か月前に時期を合わせて調査を行いました。

結果のまとめ


 今回の調査結果より、幼児期の《学びに向かう力》の形成については、どの国においても、「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」の5つから構成されていました。そして、いずれの国も、母親の「寄り添い型養育態度」が、「好奇心」「がんばる力」等の非認知的スキルに関連する項目の発達と関連していることがわかりました。また、各国の母親の子育て方針についても、子どもの《学びに向かう力》や《生活習慣》に関連することを重視している傾向が共通してみられました。


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