東京都保育ニーズ実態調査の都民調査 速報版(就学前児童(0~5歳の児童)がいる世帯対象) 

2018年01月26日

東京都は、「東京都保育ニーズ実態調査」の都民調査(平成29年8月~9月実施)の速報版をまとめました。
この調査は、子育て世代の都民の保育・子育て支援サービスの利用意向等の最新の調査結果を都や区市町村の施策展開に活用するため実施しました。

調査結果


子育て世帯の属性の傾向

現住所での居住年数を見ると、最も多いのが「4~10 年未満」で 35.9%、次いで 2~4 年未満が 29.4%であった(図表 2.2-1)。
また 50%超は妊娠・出産の前から現住所に居住しており(図表 2.2-2)、妊娠・出産の後から現住所に居住した回答者のうちの 44.0%は同区市内での引っ越しとなっている(図表2.2-3)。同区市以外から引っ越してきた理由として提示した具体的理由の中で多数を占めるものはなかった(図表 2.2-4)。

子供の父親と母親の就業状況を見ると、父親の有職率は 23 区と 17 市で差は見られないが、母親の有職率は 23 区では 65.2%、17 市では 60.1%と差が見られた。母方の祖父母の有職率は 23 区の方がやや高い(図表 2.2-5, 2.2-6)。

勤務地が自宅以外の回答者の状況を見ると、23 区、17 市とも母親は父親に比べて居住区市内での勤務が多くなっており、特に 17 市でこの傾向が顕著である(図表 2.2-8)。平均的な家を出る時間を 23 区と 17 市で比較すると、父母ともに 17 市が 23 区よりも 6 時台が多く、8 時台が少ない。平均的な家に帰る時間は、23 区と 17 市で大きな違いは見られない。

教育・保育サービスの利用実態

教育・保育サービスの利用状況を見ると、何らかの教育・保育サービスを利用している人は全体で 75.5%である。23 区、17 市の間で利用するサービスに大きな差は見られない。
最も利用が多いのは「幼稚園」となっており全体で 23.3%、次いで「認可保育所(私立)」が 21.4%、「認可保育所(公立)」が 17.0%となっている。幼稚園は、17 市での利用が多い。
全体での利用者は少ないが、「小規模保育事業」と「ベビーシッター」は、23 区での利用割合が高い(図表 2.3-1)。

なお、利用を希望していた教育・保育サービスの上位は「認可保育所(公立)」が 51.9%、次いで「認可保育所(私立)」が 39.3%、「幼稚園」が 30.0%である。23 区と 17 市で、希望していた教育・保育サービスの傾向に大きな差は見られない(図表 2.3-2)。

希望していたサービスと利用しているサービスのギャップは、「認可保育所(公立)(+34.9pt)」、「認可保育園(私立)(+17.9pt)」、「認定こども園(+10.9pt)」の順となっている(図表 2.3-3)。

現在、利用しているサービスは何番目に希望していたかを聞いたところ、第 1 希望と回答した割合は、認可保育所(公立、私立)では、60%を超えている(図表 2.3-4)。

現在、利用している教育・保育サービスの月額保育料・月謝等は平均で 31,365.4 円(図表 2.3-5)であった。各サービスを利用している人別の保育料等を見ると、認可保育所は公立 27,284.1 円、私立 29,438.9 円だが、東京都認証保育所は 54,113.6 円となっている(図表 2.3-6)。

教育・保育サービスを利用していない人は、本調査では全体の 24.5%である。利用していない理由のうち、「現状では利用する必要がない(39.1%)」、「子供がまだ小さいため(32.8%)」、「利用したいが、教育・保育のサービスに空きがない(30.7%)」の順となっている。(図表 2.3-7)。
なお、サービスを利用していない人に、待機児童にならずに子供を預けることができる場合の教育・保育サービスの利用希望を聞いたところ、「利用したい」が全体の 86.9%であった(図表 2.3-8)。
これらの結果から、教育・保育サービスの利用状況は現在でも 75.5%と高い状況にあるが、利用したいサービスを利用できない状況が改善されれば、さらに利用が増える可能性がある。

育児休業の取得状況

育児休業の取得状況を見ると、父親で育児休業を取得したことがあると回答した人は全体で約 6%、母親は約 50 %となっている(図表 2.4-1)。

育児休業を取得した人に、取得期間について、休業前に希望していた期間と実際に休業した期間を聞いたところ、1 年以上を希望していた割合が 68.1%である一方で実際に 1 年以上取得した人の割合は 51.3%であった(図表 2.4-2)。
休業取得期間が、希望していた期間よりも短い理由は、「育休を希望期間分取得すると、取得後に保育所に入れなくなると思ったため」が 64.9%と最も高く、「育休を取得すると収入が減るため(25.9%)」、「周囲の迷惑になると思った(21.9%)」と続いている(図表 2.4-3)。

育児休業 2 歳まで延長の認知と取得意向

育児休業の取得可能期間について、次の文章を提示後、認知を確認したところ、「知っていた」と回答した人は全体の 31.5%であった。また、文章を提示した上で、子供が 2 歳になるまで育児休業が取得できる場合、いつまで取得したいか聞いたところ、「1 年 7 ヶ月以上」と回答した人の割合は 35.1%であった。前述の育児休業取得者が希望していた期間(図表 2.4-2)と比較すると長くなる傾向にあり、育児休業の 2 歳までの延長は教育・保育サービスの利用ニーズにも影響する可能性がある(図表 2.5-1)。

<提示文>
今年(2017 年)の 10 月から、保育所などに入所できず、退職を余儀なくされる事態を防ぐため、育児・介護休業法が変わります。具体的には、「1 歳 6 ヶ月以降も、保育園等に入れないなどの場合には、会社に申し出ることにより、育児休業を最長 2 歳まで再延長できる」ことになりました。(育児休業給付金の給付期間も 2 歳までとなります。)

育児休業の取得希望期間を「2 年未満」と回答した人に 2 年以上の取得を希望しない理由を聞いたところ、回答が多いのは「収入が減る期間が伸びるから(55.3%)」、「仕事のスキルが低下しそうだから(44.0%)」、「周囲の迷惑になりそうだから(40.5%)」となっている。
前述の、実際に育児休業を取得した期間が希望期間より短かった理由では「育休を希望期間分取得すると、取得後に保育所に入れなくなると思ったため」は、64.9%(図表 2.4-3)であったが、2 年以上の育児休業取得を希望しない人の理由のうち、「子供が2歳になった時に保育所に入所できるか不安だから」は 38.7%であった。(図表 2.5-3)。

図表 2.5-3 で回答した「取得しない理由」が解消された場合、育児休業をどの程度の期間利用したいか聞いたところ、現状では希望している取得期間が 2 年未満の回答者でも、解消後は「2 年以上(利用したい)」割合が 31.9%となり、希望する期間が長くなっている(図表 2.5-4)。育児休業取得後の保育所への入所が確実になるとともに、職場環境の改善等が実現した場合、希望通りの期間の育児休業を取得する人が増える可能性がある。

価格別の認可保育所の利用意向

本調査では、以下の文章を提示し、以下のような認可保育所をどのくらいの保育料で利用したいかを各価格において単一回答方式で聴取した(聴取方法は付録 1 を参照)。

<提示文>
仮の話ですが、あなたの家の近くに認可保育所(定員が 100 人から 200 人程度で、園庭があり、スタッフのほぼ全員が保育士資格を持っている通常の認可保育所)があり、定員の空きが十分にあるとします(待機にはならないとします)。このとき、下記の条件でお子さまをこの認可保育所に入れるかどうか、お答えください。既に認可保育所を利用されている場合には、「引き続き利用しつづけるかどうか」についてお答えください)

各価格の利用意向(支払っても良いと思う最大限の金額)を見ると、4 万円の場合が最も多く、6 万円、8 万円と費用が上がるにつれて利用意向が減少している。なお、「どんなに安くても利用しない」と回答した人の割合は、調査対象自治体全体で 11.7%、23 区で 11.5%、17 市で 12.2%となっている(図表 2.6-1)。

価格別の利用意向の平均値、中央値を図表 2.6-2 で算出した。
全体の利用意向の中央値は 3 万 9200 円となっている。年齢別にみると、0 歳児の子供を持つ世帯の中央値は 5 万 300 円であるのに対し、1 歳児、2 歳児、3 歳児と年齢が上がるにつれて減少している。

保育所を利用しなくても良い環境

現在、幼稚園や保育所などの教育・保育施設でのサービスを利用している人に、どのような環境があれば保育所を利用しなくてもよいと考えるか聞いたところ、「幼稚園での預かり保育時間が延長されれば(50.1%)」、「働く必要がなくなれば(46.1%)」、「収入が増加したら(40.8%)」の順となっている。教育・保育サービスの多様化などが、保育の利用ニーズ
に影響する可能性がある(図表 2.7-1)。

今後新たに子供をもつために必要なこと

今後、新たに子供をもちたいか、また、そのために必要な支援等について聞いたところ、今後新たに子供をもちたいと回答した人の割合は 50.3%であった(図表 2.8-1)。今後新たに子供をもつために必要な条件を聞いたところ、回答が多かったのは「収入が増加したら(60.1%)」、「保育サービスが利用しやすくなれば(52.3%)」の順となっている。「収入が増加したら」の回答は 17 市が 23 区よりも約 4pt 高く、「保育サービスが利用しやすくなれば」の回答は 23 区が 17 市よりも 3.6pt 高くなっている(図表 2.8-2)。

調査概要


・調査対象・期間:
 就学前児童(0~5歳の児童)がいる世帯 約38,000世帯
 ※23区+待機児童数が50人以上の17市=計40区市
 第1弾(約26,000世帯)平成29年8月25日~9月8日
 第2弾(約12,000世帯)平成29年9月11日~9月25日
・調査方法:郵送による通知、インターネットによる回答
・回収数・率:回収数:13,114 回収率:34.36%
・主な調査項目:
 対象者の属性
 教育・保育サービスの利用実態
 育児休業の利用状況等の実態
 保育料に対する意識


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