国内OTC市場調査 

2018年08月17日

矢野経済研究所は、国内OTC市場を調査し、市場動向、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

<OTC市場とは>
OTCとは、Over The Counterの略で、医師による処方箋を必要とせずに購入できる一般用医薬品を指す。
本調査におけるOTC市場とは、OTC(要指導医薬品、第一類、第二類、第三類の一般用医薬品)の出荷額と、指定医薬部外品(厚生労働大臣の指定により、一般用医薬品から医薬部外品となった品目)の出荷額を合算し、算出している。

<市場に含まれる商品・サービス>
ドリンク剤・ミニドリンク剤、総合感冒薬、ビタミン剤、目薬、胃腸薬、パップ剤・プラスター、解熱鎮痛剤ほか

1.市場概況

2017年の国内OTC市場規模(メーカー出荷額ベース)は、前年比1.0%増の8,280億円と推計した。内訳は、一般用医薬品が同1.5%増の6,800億円、指定医薬部外品が同1.3%減の1,480億円である。2013年以降5年連続で成長したが、全体としては低調である。

​2014年よりOTCが免税対象となったことで、2015年にはインバウンド(訪日外国人客)需要が急拡大した。2016年以降はインバウンド需要も一段落したが、引き続き安定推移しており、新製品発売による国内市場の活性化と併せて目薬、解熱鎮痛剤、パップ剤・プラスター、ビタミン剤が好調に推移した。一方、指定医薬部外品における主要薬効(製品)であるドリンク剤やミニドリンク剤は、特定保健用食品を含む健康飲料や一般飲料などとの競争激化などにより減少が続いている。

2.注目トピック

OTC市場の成長継続に求められる国内市場の本格的な活性化、OTCを活用したセルフメディケーション推進の重要性高まる
2017年のOTC市場は、新製品投入により市場活性化を果たした一部の薬効(製品)の貢献と、一段落した感はあるものの引き続きインバウンド(訪日外国人客)需要の安定推移などを背景に成長した。一方、国内需要に限定すると市場の伸び悩み傾向の継続がみられる状況にある。インバウンド需要が市場に与える影響度合いも低下しており、今後も市場成長を継続していくためには、国内市場の本格的な活性化が不可欠である。

そのためには、①新領域へのスイッチOTC※投入および新たな効能・効果を持つスイッチOTC投入による新市場の創出、②これまでにない切り口を持った製品投入による新規需要の創出、③新たな訴求展開による既存薬効における潜在需要の掘り起こし、④販売店における情報提供と相談体制の整備、⑤異業態小売業など新規参入の増加に伴う販売機会の拡大、などの対応が必要とされる。新製品投入や情報提供の強化などを通じて、国民全体のセルフメディケーションに対する意識向上や行動変革を促す必要があると考える。
​※スイッチOTC とは、本来は処方箋の必要な医療用医薬品の成分を転用したOTC を指す。

3.将来展望

2018年の国内OTC市場規模は、メーカー出荷額ベースで前年比0.6%増の8,330億円に留まるものと予測する。内訳は、一般用医薬品が同1.0%増の6,870億円、指定医薬部外品が同1.4%減の1,460億円である。

2018年の市況について、各薬効(製品)において定期的なリニューアルによる新製品投入が図られているほか、引き続きインバウンド(訪日外国人客)需要の取り込みや国内市場の活性化などにより目薬や解熱鎮痛剤などで成長が期待されるが、全般的にインバウンド需要が落ち着いたこともあり、市場に与える影響は限定的であるとみる。また、ドリンク剤・ミニドリンク剤、胃腸薬、水虫薬などは縮小基調とみられ、OTC市場全体の成長は継続するものの、成長率は鈍化するものと考える。

調査概要


調査期間: 2018年4月~7月
調査対象: OTC関連企業(メーカー・卸売業・小売業)等
調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、郵送アンケート調査、文献調査を併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
 マイページ TOP