2019年度 外国人留学生の就職活動に関する調査 

2018年08月27日

ディスコは、2019年3月卒業予定の外国人留学生(現在、大学4年生・大学院修士課程2年生)を対象に、職業観や就職活動に関する調査を行いました。(調査時期:2018年6月28日~7月18日、回答数:277人)

調査結果


1.現在の日本語力

はじめに、現在の日本語力について尋ねた。「ネイティブレベル」(20.9%)と「ビジネスレベル」(61.0%)を合わせて、ビジネスレベル以上の日本語を話せる外国人留学生は 8 割を超える(計81.9%)。JLPT(日本語能力試験)のレベルについては、最高レベルである「N1」を保有している人は約 8 割(78.0%)。他方、「持っていない」人は 1 割に満たない(6.9%)。企業が求める日本語コミュニケーションレベルやJLPTの入社基準に達している外国人留学生は多い。

2.就職後のキャリアプランと出世希望ランク

就職後のキャリアプランについては、「一つの会社にこだわらず、転職などでキャリア・アップをしたい」が最も多く(49.1%)、「一つの会社に定年まで勤めたい」(35.0%)を上回る。国内学生と比べて、転職でのキャリア・アップや独立・起業を志向する学生の割合が高い傾向にある。

続いて、どこまで出世したいかを尋ねたところ、「社長」「役員」と回答した人が、それぞれ 22.0%。
課長以上の管理職を志望する外国人留学生は約 7 割に上る(68.1%)。国内学生や日本人留学生と比べると、より上位の役職を目指している人が多い。

3.就職したい企業の種類

卒業後にどのような企業に就職したいかを尋ねたところ、「日本にある日系企業」が最も多く、6割近い学生が選んだ(59.2%)。「日本にある外資系企業」(22.7%)と足し合わせると 8 割を超え(計81.9%)、卒業後も日本で働きたいと考える学生が多いことがわかる。

4.日本での就職を希望する理由

「日本で就職したい」と回答した人に、その理由を尋ねた。最も多いのは「生活環境に慣れているから」で、約 7 割(67.4%)。4 位の「治安がよくて安全だから」も 4 割超が選んでおり(43.2%)、日本の住みやすさを理由に挙げる留学生が多い。「外国人として日本語力を活かせるから」は 2 番目に多く過半数が選択(52.0%)。日本での留学経験を活かして活躍したい考えがうかがえる。

5.日本企業のイメージ

日本企業のイメージについて尋ねたところ、「集団主義的な企業文化」(83.0%)、「社員研修が充実している」(81.6%)、「高い日本語力が求められる」(80.1%)、「福利厚生が整っている」(75.8%)、「長時間労働」(72.6%)などが多くのポイントを集めた。数字が割れる項目は少なく、外国人留学生が日本企業に対して持つイメージはある程度共通していることがわかる。

6.就職したい企業の規模と志望業界

就職したい企業規模を尋ねたところ、「業界トップ企業」(23.1%)と「大手企業」(36.5%)を合計すると 6 割近くに上る(計 59.6%)。大手志向と言われる国内学生より 10 ポイント近く高く、外国人留学生の大手志向の強さがうかがえる。一方で、「中堅中小企業」を希望する学生の割合も、国内学生を上回っており、希望の企業規模を明確にして就職活動をする傾向があるようだ。

続いて、志望業界を 40 業界の中から 5 つまで選んでもらった。文系では 1 位が「商社(総合)」(34.4%)で、グローバルに活躍できる業界として毎年人気だ。2 位は「情報処理・ソフトウエア・ゲームソフト」(23.4%)、3 位は「調査・コンサルタント」(22.5%)と続く。4 位に「情報・インターネットサービス」が僅差で続き(22.0%)、IT 業界の人気が高い。
理系では、1 位「電子・電機」(30.4%)、2 位「自動車・輸送用機器」「水産・食品」(ともに25.0%)と続き、研究・開発職など専門性の高い仕事に就ける製造業が人気のようだ。
なお、国内学生と比較すると違いが見られた。特に、文系においては、国内学生では 1 位の「銀行」、2 位の「マスコミ」はそれぞれ 9 位、10 位になるなど、志望業界の違いが顕著に表れている。

7.就職先企業を選ぶ際に重視する点

外国人留学生が就職先を選ぶ際に重視する点は、「将来性がある」が最も多く、約 6 割に上る(57.4%)。国内学生でも 1 位だが、外国人留学生の方が 10 ポイント高い。2 位は「給与・待遇が良い」(43.7%)で、国内学生と同水準(44.2%)。国内学生では、全体的に分散傾向が見られるのに対し、外国人留学生では、上位 2 項目にポイントが集中しているのが特徴的。
「福利厚生が充実している」「休日・休暇が多い」などの働きやすさに関する項目は、国内学生では、それぞれ 3 割前後と高いのに対し(31.5%、27.7%)、外国人留学生ではその半分程度にとどまっており(16.6%、15.9%)、国内学生ほど関心は高くないようだ。

8.インターンシップ

日本国内でのインターンシップ参加経験を尋ねたところ、「参加した」と回答した外国人留学生は約 4 割(43.0%)。国内学生のインターン参加率(84.4%)の半分程度にとどまり、参加状況に大きな差が見られる。
インターン参加企業に「就職したいと思った」外国人留学生は約半数(47.9%)に上り、就職先企業選びに一定の影響を与えていることがうかがえる。

9.就職活動開始時期

外国人留学生が就職活動を開始した時期は、「4 年生の 4 月」が約 3 割(25.3%)で最多で、次いで「3 年生の 3 月」(16.2%)が多い。採用広報解禁(3 月)以降の合計は半数を超える(56.3%)。
一方、国内学生では「3 年生の 6 月」が最も多く(23.2%)、3 月より前の合計が 9 割を超えている(95.7%)。夏のインターンシップを「就活スタート」と捉え、早くから準備に入る国内学生が多いことと比較すると、外国人留学生の動き出しはかなり遅いことがわかる。

10.就職活動量と内定状況

調査時点(7 月)での企業へのエントリー社数は、平均 27.6 社。同時期の国内学生(30.7 社)の約 9 割。例年、国内学生を大きく下回っていたが、国内学生の活動量が減少したことで、その差は縮まった。セミナー参加社数についても、国内学生と大きな差は見られない。
エントリーシートの提出社数は、19.2 社と、国内学生よりも 5 社多い。その後の筆記、グループディスカッション、面接においても国内学生の受験社数を上回り、精力的に活動している様子がうかがえる。
ただし、内定率は、国内学生が 8 割超(81.1%)であるのに対し、外国人留学生は 4 割台(42.6%)にとどまる。内定取得者も含め 71.8%が調査時点で就活中だった。国内学生に比べて、就職活動の動き出しが遅いことなどが影響していると考えられる。

11.就職活動の難易度

就職活動の難易度を尋ねたところ、「とても厳しい」(42.8%)、「やや厳しい」(37.9%)を合わせて 8 割以上が「厳しい」と回答(計 80.7%)。「やややさしい」「やさしい」は、合計でわずか3.2%。一方、国内学生では「厳しい」は 4 割(計 39.8%)と外国人留学生の約半分。「やさしい」が計 28.9%と 3 割近くに上り、外国人留学生とは顕著な差が見られる。大半の外国人留学生にとって、厳しい就職戦線であることが、ここでも表れている。

12.企業に評価してもらいたいこと

企業に評価してもらいたいことを尋ねたところ、外国人留学生の 1 位は、「コミュニケーション能力」(56.3%)。次いで、2 位「語学力」(35.4%)、3 位「異文化対応力」(31.8%)と続く。日本での留学経験を通じて向上させた能力や資質を評価してもらいたいと考える留学生が多いことがうかがえる。
一方、国内学生が評価してもらいたいこととしては、「協調性」「コミュニケーション能力」「熱意」「信頼性」などが上位に来ており、組織のなかで円滑に業務を遂行できる能力をアピールしたいようだ。

調査概要


調査対象:2019年3月卒業予定の外国人留学生(現在、大学4年生・大学院修士課程2年生)
調査方法:インターネット調査法
調査期間:2018年6月28日~7月18日
サンプリング:キャリタス就活2019に登録している外国人留学生2,769人

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