日経BP社は、2018年の「環境ブランド調査」の結果を発表しました。今年で19回目を迎えるこの調査は、日経ESG経営フォーラムが毎年主要560企業ブランドを対象に、各企業の環境に関する活動が一般の消費者にどう伝わっているかについてインターネットを利用してアンケート調査し、結果を集計・分析しているものです。今回は2018年3月14日~4月22日にアンケート調査を実施し、全国の消費者2万1000人から有効回答を得ました。 調査結果の概要をご紹介します。

 総合ランキングではサントリーが2年連続、通算で7度目の首位になりました。環境ブランド指数はサントリーが99.6、2位のトヨタ自動車が98.7と上位2社が3位以下を引き離しました。3~5位までは環境ブランド指数が80台で3社がダンゴ状態にありますが、その中でイオンが頭一つ抜け出しました。昨年の7位から順位を上げ、昨年3位のパナソニックを抑えました。このほかベスト10ではアサヒ飲料が25位から8位に、コスモ石油が23位から10位へと大きく順位を上げました。

 サントリーの「天然水の森」活動は2003年の開始以来、累計約7000人の社員が業務の一環として水源地の森林を整備する体験研修に参加し、水の大切さを理解するとともに社外にも伝えています。小学生向けに10年以上続けている「水育」では、昨年から工場見学に参加した人たちにも対象を広げています。消費者との接点を広げながら、サントリーがなぜ水を大切にしているかを「面」で伝えていることが調査結果に表れたようです。トップのコミットメントという点でも、水資源保全の国際的なイニシアティブである「The CEO Water Mandate」に新浪剛史社長が署名しています。

 3位のイオンの評価には昨年から今年にかけて相次いでESGに関する大型の発表をした影響があるとみられます。昨年10月に食品廃棄物を2025年までに2015年度比で半減させる目標を打ち出しました。今年3月には、グループの店舗やオフィスから排出するCO2を2050年に実質ゼロにする目標などを盛り込んだ「イオン脱炭素ビジョン2050」を発表しています。アサヒ飲料は今年1月に従来比約7~10%軽くした炭酸飲料のペットボトルキャップを発表し、4月には商品名やブランド名を印字したラベルを付けない同社初のミネラルウオーターを発表するなど、ペットボトルの環境配慮を加速させています。コスモ石油は「地球温暖化防止に努めている」の項目で3位となり、3年ぶりにトップ10に復帰しました。

 企業の持続可能性を測る指標として、ESG(環境・社会・ガバナンス)の3つを使う指標が増えてきました。今回の調査では回答者に企業の「社会・ガバナンス」分野のイメージを尋ね、そのスコアを集計した「SGイメージスコアランキング」を昨年に続き算出しました。スコアが高い企業ほど、社会・ガバナンス分野の取り組みが評価されている企業といえます。

 結果は、1位がトヨタ自動車、2位がパナソニック、3位がサントリー。環境ブランド調査で常連の3つの企業が今年も名前を連ねました。スコアを見ると、トヨタが112.6、パナソニックが92.2、サントリーが91.0で、1位のトヨタが2位のパナソニックを20ポイント以上の差をつけ、突出した強さを見せました。僅差でパナソニックがサントリーを抑え、前年の3位から2位に浮上しました。

 SGイメージスコアランキングの注目は10位に入った日本マクドナルドです。昨年の27位から躍進しました。けん引役と考えられるのが、女性から高齢者まで誰もが働きやすい職場作りに力を入れている点です。同社が運営するハンバーガー店は、アルバイトやパートの店員が勤務時間や曜日を自由に選べるようにしました。週ごとに自分の予定に合わせてシフトを提出し、週2時間でも働けるようにしています。マクドナルドは今後も成長を続けるために事業の基盤となる店員の採用を増やす方針で、主婦をはじめとする潜在的な労働力を引き出すことを重視しています。

 今年新設した働きたい会社ランキングでは、「自分が働きたい会社か、家族に働くことを勧めたい会社かどうか」を尋ねました。1位のサントリー、2位のパナソニックに続いて、3位にライオンが入りました。ライオンは今年春、工場で働く有期雇用者のうち希望者を無期雇用に切り替えるなどの対応をしたことや、初任給を新卒大卒の場合で9年ぶりに6%程度上げたことが報じられています。2014年から続ける企業広告のテレビCMには共感の声が寄せられています。

「環境ブランド調査2018」総合ランキング(上位20位)

順位 企業ブランド名 スコア
1 サントリー 99.6
2 トヨタ自動車 98.7
3 イオン 85.8
4 パナソニック 83.7
5 日産自動車 82.7
6 キリン 76.6
7 アサヒビール 75
8 アサヒ飲料 74.2
8 ホンダ 74.2
10 コスモ石油 73.7
11 マツダ 73.4
12 日本コカ・コーラ 72.9
13 花王 72.2
14 日立製作所 71.7
15 日本マクドナルド 70.5
16 ライオン 70.3
17 サッポロビール 69.6
18 日清食品 69.5
19 カゴメ 69.3
20 セブン-イレブン・ジャパン 69
20 TOTO 69

企業ブランドの形成に強く影響する4つの指標を総合した「環境ブランド指数」を主要指標とする。環境ブランド指数を構成する4つの指標とは、回答者が当該企業の環境情報に触れた度合いである「環境情報接触度」、環境報告書や各種メディアなど環境情報の入手先を集計した「環境コミュニケーション指標」、環境面で当てはまると思うイメージについて集計した「環境イメージ指標」、環境活動への評価度合いを集計した「環境評価指標」。偏差値(平均50)で表記し、全企業ブランド中の位置が分かるようにした

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