中国における自動運転の消費者ニーズ調査 

2018年12月12日

矢野経済研究所は、中国における自動運転の消費者ニーズについてアンケート調査を実施し、中国主要5地域(北京市/上海市/広東省/江蘇省/浙江省)のユーザー動向を把握し、その傾向を比較分析した。

<中国における自動運転の消費者ニーズ調査とは>
本調査では世界の自動車メーカーで研究・開発が加速している自動運転について、中国の主要5地域(北京市/上海市/広東省/江蘇省/浙江省)に居住する自動車運転免許を保有する20歳以上の男女2,500名(1都市・地域あたり500名)にアンケート調査を実施し、各地域別のニーズの違いを分析した。なお、本リリースでは、自動運転に対する期待と購入意欲、高速道路走行を前提とした自動運転システムへの支払い可能金額について取り上げる。一部の設問については2017年に実施した日米欧(なかでもドイツ、フランス、イギリス)における自動運転の消費者ニーズアンケート結果※を踏まえ、4か国における自動運転についての自動車ユーザーニーズの違いについて比較分析している。

※日米欧における自動運転の消費者ニーズ調査
2017年9月~10月に、日本、米国、欧州(ドイツ/イギリス/フランス)の自動車免許を保有して1年以上経過し、週2回以上運転する20歳以上の男女2,000名(日本500名、米国500名、欧州;ドイツ400名、イギリス300名、フランス300名)に実施した自動運転に関するインターネットアンケート調査である。

<市場に含まれる商品・サービス>
自家用車・商用車に搭載される自動運転システム

1.調査結果概要

中国主要5地域における自動運転に対する期待と購入意欲について(単数回答)、「大いに期待しており購入したい(45.0%)」「期待しており購入を検討したい(43.0%)」の回答比率の合計は全体では88.0%になる。2017年に実施した日米欧の消費者ニーズアンケート調査結果では、「大いに期待しており購入したい」「期待しており購入を検討したい」と回答した比率の合計は、日本41.0%、米国50.0%、欧州53.3%であり、アンケート調査時期の違いを考慮に入れても、中国主要5地域の自動車ユーザーの方が自動運転に対して非常に高い関心があることが窺える。

地域別にみると、北京市は「購入したい」が半数以上となる53.0%を占めており、「購入を検討したい」を合わせると90.6%に達する。上海市も「購入したい」が50.2%であり、「購入を検討したい」と合わせると89.6%である。広東省、江蘇省、浙江省についても「購入したい」「購入を検討したい」の回答比率の合計は80%を超えているが、「購入したい」が広東省46.8%、江蘇省36.6%、浙江省38.6%となり、北京市や上海市よりもやや低い結果となっている。本調査結果から、渋滞が常態化している北京市や上海市のような大規模都市の方がより自動運転システムへの期待感が高まっていることが示唆される。

2.注目トピック

高価であっても高速道路走行における自動運転機能を搭載したいニーズも
自動運転システムの開発は現在、主に高速道路、市街地、駐車場を想定して進められている。こうしたなか、高速道路走行を前提とした自動運転システムへの支払い可能金額(単数回答)について、中国主要5地域全体では10~30万円未満の回答比率が最も高く、40%を超える。次いで5~10万円未満が33.1%、30~50万円未満11.7%、5万円未満10.8%、50万円以上2.9%と続く。
​高速道路走行における自動運転システムが現実味を帯びるなか、本調査結果からは、高価であっても高速道路走行を前提とした自動運転システムを搭載したいというニーズが窺える。

中国主要5地域における車両価格帯については、400万円以上の乗用車を所有している回答者が全体の36.3%を占める。2017年に実施した日米欧の消費者ニーズアンケート調査結果では、400万円以上の所有割合は日本6.5%、米国26.8%、欧州19.1%であり、日米欧よりも中国主要5地域においてはミドルクラス以上の所有者の割合が高く、自動運転システムへの支払い可能金額についても許容範囲が高いことが推測できる。中国では自動車がステータスの象徴とされ、関税の高い輸入車が好まれる傾向にあることも所有する乗用車の価格帯を押し上げる一因となっているものと考える。

調査概要


■調査期間: 2018年5月~6月
■調査対象: 中国の主要5地域(北京市/上海市/広東省/江蘇省/浙江省)に居住する自動車運転免許を保有する20歳以上の男女2,500名(一都市・地域あたり500名)
■調査方法: インターネットアンケート調査

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[矢野経済研究所]
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