20卒学生のインターンシップに関する調査 

2019年04月22日

ディスコは、2020年3月卒業予定の大学生(理系は大学院修士課程含む)を対象に、インターンシップについての考えを尋ねました。インターンシップへの参加した学生の意識や満足度はどうだったのか。また、就職意向への影響など参加したインターンシップの内容や感想、参加企業への就職志望度などを調査し、インターンシップの影響について分析・考察しました。(調査期間:2019年3月15日~22日、回答数726人)

調査結果


1.参加したインターンシップの内容

最初に、学生モニターが実際に参加したインターンシップの概要を確認したい。
まず、参加した時期を見ると、3 年生(修士 1 年生)の「8 月」が最も多い(23.8%)。前年調査では「2 月」が最多だったので、早い時期の参加が増えたことがわかる。
参加日数は「1 日」が最も多く、前年よりさらに割合が増している(35.1%→37.7%)。「半日」(24.0%)を合わせると 61.7%になり、1 日以内の短期プログラムへの参加が 6 割強を占める。短期化が一層進んだ様子が読み取れる。
プログラム内容を見ると、「グループワーク」「講義・座学」が 8 割近くに上り(それぞれ 78.5%、77.7%)、大半のインターンシップで行われていることがわかる。「仕事体験」(27.5%)や「実務」(5.2%)を伴うものはかなり限られる。

次に「参加時期」と「参加日数」の関係を調べてみた。9 月までは 2 日以上の複数日程のプログラムへの参加が過半数を占めるが、10 月以降は「半日」や「1 日」の割合が急増。1 日以内の短期プログラムが 7 割以上を占める。先に見たように、短期プログラムへの参加は全体の 6 割強に上るが、時期が遅いほど参加日数が短くなる傾向が見て取れる。

「参加目的」についても参加時期別に見てみる。6 月以前は「自身の成長のため」が 3 割を超えていたが(34.9%)、7 月以降は 1 割台に減少。代わりに「業界研究のため」や「その企業をより深く知るため」の割合が増える。特に 7 月~9 月は「業界研究のため」が半数を超え(53.1%)、夏のインターンシップは業界研究の場として捉える学生が多いことが読み取れる。
また、「その企業をより深く知るため」の割合が増していくことから、業界から企業(個社)へと徐々に重心が移っていく様子が見て取れる。ただ、いずれの時期も最も多いのは「業界研究のため」の参加であり、インターンシップが業界研究の場として捉えられていることがうかがえる。

2.インターンシップの情報を探し始めた時期

インターンシップに関する情報(募集企業)を探し始めた時期は「6 月」が最も多い。全体の 4 割を超え、前年よりも集中度が増している(35.3%→40.5%)。また、参加したインターンシップを知ったきっかけは「就職情報サイト」が最多で、過半数を占める(56.4%)。
就職情報サイトは 6 月からインターンシップ情報を公開するケースが多かったが、2 ページで見たように、インターンシップへの参加は 8~9 月を合わせた夏休み時期が最初のピークだったことから(合計 37.5%)、6 月に入ったら就職情報サイトで募集企業を探し始め、夏休みの参加を目指すという流れができていたと想像される。

3.インターンシップ先を探す際に重視した点

インターンシップ先を探す際の条件として十数項目を示し、それぞれ重視した度合いを尋ねた。
「重視した」と回答した人(「とても重視した」「やや重視した」の合計)が最も多かったのは「就職を希望する業界であること」で、9 割超に上った(計 90.1%)。「とても重視した」に限って見ても 6 割を超える(63.5%)。3 番目に多い「就職先として本命であること」も「重視した」の合計が7割を超えており(計 74.2%)、志望業界や企業をある程度定めた上で、インターンシップに参加する学生が多いことがわかる。また、「プログラム内容の詳細が記載されていること」がほぼ同率で 4 位に来ており(計73.9%)、内容が曖昧なインターンシップを敬遠する学生が少なくないことがわかる。

4.インターンシップの満足状況

インターンシップに参加した満足度を尋ねたところ、「大変満足」が 42.0%と 4 割強。「やや満足」(41.5%)とあわせると 8 割を超え(計 83.5%)、総じて満足度は高い。ただし、実施内容や時期により、満足度に違いが見られる。「参加日数別」「プログラム別」「社員との接点の有無別」「参加後のフィードバック別」の 4 つの指標でデータを紹介したい。
まず、参加日数別に見ると、「大変満足」「やや満足」を合わせた満足度が最も高いのは、「1 週間程度」で 9 割を超える(計 92.7%)。一方、「半日」では約 7 割(計 71.2%)にとどまる。「大変満足」に限ると、「1 週間程度」では約 6 割に上るのに対し(59.8%)、「半日」では 25.9%。短期プログラムの開催は年々増加しているが、参加学生の満足度は、長期のものほど高い傾向が顕著に表れている。

次に、参加したプログラム別に見てみたい。「講義・座学」「グループワーク」の組み合わせで実施されるインターンシップが主流だが(2 ページ)、「講義・グループワークのみ(いずれか、または両方)」の場合と、それ以外の内容を含む場合に分けて、満足度を比較した。「講義・グループワークのみ」では「大変満足」が 24.7%なのに対し、「社内見学・社員との座談会・仕事体験・実務を含む」ものでは約 5 割(48.1%)と 2 倍近い。実際に職場の雰囲気を体感したり、実態に近い情報を得したりすることで、企業理解も進み、満足度が上がるのだろう。

インターンシップ期間中に、参加企業の社員との接点が「十分にあった」ものは約半数(48.6%)。「それなりにあった」が 38.5%で、多くのインターンシップで社員と接する機会を設けていることがわかる。これを、プログラムへの満足度と掛け合わせると、社員との接点が「十分にあった」ものにおいては「大変満足」が 7 割近くに上り(67.0%)、「やや満足」(27.9%)と合わせて 9 割を超える(計94.9%)。「それなりにあった」ものでも、「満足」の合計は約 8 割(計 81.1%)と高いものの、「大変満足」に限ると約 2 割(21.0%)。「十分にあった」ものと比べると 3 分の 1 程度にとどまる。さらに、社員との接点が「ほとんどなかった」ものにおいて、「大変満足」はわずか 1 割(10.3%)。インターンシップ中に、どの程度社員と接点をもつことができたかが、満足度に大きく影響していることがわかる。

同様に、「参加後のフィードバック別」に満足度を見てみる。「個人にフィードバックがあった」ものの満足度が最も高く、「大変満足」が約 6 割(60.1%)、「やや満足」と合わせると 9 割を超える(計91.9%)。次いで「チームやグループにあった」もので、「大変満足」は約 4 割(41.8%)。フィードバックが「なかった」ものでは「大変満足」は約 3 割にとどまった(30.7%)。フィードバック(評価やアドバイス)を受けたことで、自身の成長につながったことに加え、企業側が参加学生と真剣に向き合ってくれたこと、また、指摘内容から社員の考え方を理解できたことなどが、満足度の上昇につながったようだ。

5.インターンシップ参加前後の就職志望度の変化

インターンシップの参加前後で、その企業への就職志望度がどう変化したかを調べてみた。インターンシップ参加前は「この企業に就職したい」は 4 分の 1 程度だったが(25.2%)、参加後は 44.2%へと、20 ポイント近く増えている。実際に接点を持つことで、就職先として意識したり、志望する度合いが高まったりしたと考えられる。

さらに、インターンシップ参加前の就職志望度ごとに、参加後の志望度を見てみる。参加前に「この企業に就職したい」と回答したものでは、参加後も「この企業に就職したい」と回答する割合が 82.5%と極めて高い。「この企業(業界、職種)には就職したくない」に転じた割合はわずか 8.7%だった。
一方、「就職は意識しなかった」と回答したもののうち、参加後に「この企業に就職したい」に変化したのは約 3 割(29.0%)。「この業界に就職したい」は 16.7%。インターンシップに参加することで志望企業や志望業界となった割合は 45.7%に上った。

インターンシップ後にその企業に就職したいと感じた理由を尋ねたところ、最も多かったのは「事業内容に興味が湧いた」(68.2%)で、続く「職場の雰囲気がよかった」(62.7%)も 6 割台で、多くの学生が選んだ。「仕事内容が自分に合っていると感じた」は半数程度にとどまり(47.6%)、仕事内容よりも事業内容や雰囲気重視という結果は、就業体験を伴う実践的なプログラムを経験する学生が少ないことに起因していると思われる。
一方で、その企業に就職したくない理由を見ると、「仕事内容が自分に向いていないと思った」が最も多く、半数近い(49.3%)。「事業内容に興味が持てなかった」(38.2%)、「職場の雰囲気が合わないと思った」(30.5%)も比較的高く、様々な角度から、自分に合う企業であるかを見極めていることがうかがえる。企業側は、より実務に即したプログラムを提供することで、ミスマッチの少ない、質の高い採用母集団形成につなげることが期待できるだろう。

6.インターンシップ参加企業への就職

参加したインターンシップの「満足度」と「就職エントリーの有無」との関係性を調べた。満足度が高いインターンシップほど、就職活動が始まってからその企業に「エントリーした」という割合が高く、「大変満足」では「エントリーした」が 7 割を超える(73.0%)。逆に満足度の低いもの(やや不満足/大変不満足)では「エントリーするつもりはない」が半数を超えている(56.3%)。インターンシップの満足度の高さは、志望度だけでなく、実際の就職エントリーにもつながっている。

また、「就職エントリーの有無」を「インターンシップ参加後のアプローチ・優遇の有無」別にも見てみた。参加企業から何らかの「アプローチがあった」場合、その企業に「エントリーした」は 7 割近くに上り(66.6%)、「特になかった」場合(48.8%)を大きく上回った(17.8 ポイント差)。インターンシップそのものの満足度だけでなく、参加後のフォローやアプローチの有無も、エントリーに大きく影響を与えていることがわかる。

7.低学年時のインターンシップ参加

最後に、低学年(大学 1~2 年次)のインターンシップ参加についても調査したところ、「参加経験がある」と回答したのは全体の 1 割程度だった(12.8%)。参加経験者に、そのインターンシップが役に立ったかどうかを尋ねると、「とても役に立った」が 4 割を超え(46.2%)、「やや役に立った」(38.7%)を合わせると 8 割以上(計 84.9%)が「役に立った」と振り返る。
また、参加経験の有無にかかわらず全員に、低学年時のインターンシップ参加について意見を尋ねてみた。「ぜひ参加すべき」(23.4%)、「できれば参加したほうがよい」(48.3%)を合わせて 7 割超(計71.7%)が参加に対して肯定的な考えをもつことがわかった。実際に低学年時に参加経験をもつ層に限ると半数近く(48.4%)が「ぜひ参加すべき」と回答した。

調査概要


■調査対象:2020年3月卒業予定の全国の大学3年生(理系は大学院修士課程1年生含む)のうち、1社以上のインターンシップ参加経験者 ※学年は調査当時
■回答者数:726人(文系男子225人、文系女子209人、理系男子198人、理系女子94人)
■調査方法:インターネット調査法
■調査期間:2019年3月15日~22日
■サンプリング:キャリタス就活2020学生モニター(2016年卒以前は「日経就職ナビ・就職活動モニター」)

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