日本の営業実態調査2019(民間企業の営業職に従事している人対象) 

2019年04月23日

アタックス・セールス・アソシエイツは、民間企業における営業従事者を対象に「日本の営業実態調査2019」を実施いたしました。「営業のやりがい」「営業活動の課題」「残業時間」「目標・ノルマの達成度合い」など43項目について、3,360名の有効回答を集計いたしました。

調査結果トピック


  • 営業をやりたかった人は4割。一方、今、営業にやりがいを感じる人は8割。仕事を通じて営業に「やりがい」を感じる傾向に。
  • 54.8%の営業が評価制度に不満。評価制度への満足度は「営業として働き続けたい」という意思を醸成する一方、営業成績には直接的な影響を与えない。
  • 営業の2人に1人が前年度の数値目標・ノルマを未達成。未達成の理由は「営業戦略が悪かった」(31.0%)が最多。2位「訪問・商談数が少なかった」(30.9%)。
  • 営業の85.9%が営業活動に何かしらの不安を抱く。不安の内容は「お客様と関係構築できているか」(51.4%)が最多。
  • 営業の月間残業時間は月32.8時間。理想の残業時間は「1日1時間以下」(57.2%)が最多。2位「残業ゼロ」(23.3%)。

調査結果詳細


■営業をやりたかった人は4割。一方、今、営業にやりがいを感じる人は8割。仕事を通じて営業に「やりがい」を感じる傾向に。

「営業職はやりたかった仕事か」は、「はい」が40.5%で、「いいえ」が59.5%。一方「今、営業にやりがいを感じるか」は、「とても感じる」(28.7%)「まあまあ感じる」(54.3%)を合わせると83.0%に達します。このことから最初は消極的な選択であったとしても、仕事を通じて営業にやりがいや喜びを感じる人が多いと言えます。

■営業職に就いた理由NO.1は「やりがいがありそうだから」。

「営業職を選んだ理由」は、「やりがいがありそうだったから」(30.3%)が最も多く、次いで「人と話すのが好きだから」(28.2%)、「成果や結果が目に見えやすいから」(20.6%)となりました。1~3位まで、能動的でポジティブな回答が目立ちます。

一方、「配属先・異動先だったから」(19.8%)や「未経験でもOKだったから」(17.4%)、のような受動的な回答も上位に挙がっています。専門的なスキルや知識が乏しいなどの理由により営業職しか選べなかった人も一定数いることが考えられます。

■54.8%の営業が評価制度に不満。「評価基準の曖昧さ」や「上司の好き嫌い」など、結果に対する公平な評価がされていないことに不満を抱く。

「評価制度に不満はあるか」では、「とても不満がある」(14.5%)と「少し不満がある」(40.3%)の合計が54.8%に達し、半数以上の人が評価制度に不満があることが分かりました。

不満の理由の1位は「評価基準があいまい」(48.7%)で、不満があると答えた人の約半数が評価へのあいまいさを感じています。

2位の「上司の好き嫌いが評価に関わる」(38.4%)も同様の意味合いだと捉えると、目標の達成・未達成が明確な職種であるにも関わらず結果に対する公平な評価がされていないため、不満を感じる人が多いと言えるでしょう。

■評価制度への満足度は「営業として働き続けたい」という意思を醸成する一方、営業成績に直接的な影響を与えない。

評価制度に不満を持つ人が営業を辞めたいと思う時は、上司や会社との関係が原因になっているケースが多いことが分かります。このことから評価に対する不満も、上司との関係性に起因しているのではないかと推測できます。

また、評価制度への満足度は、年収の満足度と直結していることも分かります。それは営業職に対する満足度にも繋がっていると推察でき、営業職として働き続けたいという意思を醸成すると考えられます。

ただ、評価制度への満足度は、営業成績にそれほど直接的に影響を与えないというのは意外な印象があります。目標の達成レベルを引き上げるには、評価制度よりも他のことを見直す必要がありそうです。

■インセンティブ制度の導入で営業にも会社にもプラスの効果。

インセンティブがある方が「営業にやりがい」を感じている割合が多いことが分かります。

また、インセンティブがある方が、「評価制度への不満」が少ないことが分かります。インセンティブがない人は、インセンティブ制度がないこと自体に不満を覚える人も多く、成果に連動した報酬を望む人が多いようです。インセンティブありの方が、評価制度への不満を抱く割合が低いのは、評価の曖昧さが除去されるからだ、とも考えられます。

ところが現在の年収では、インセンティブなしよりもインセンティブありの方が、相対的に年収が低くなる傾向にあります。成果に連動した報酬を望む人が多い半面、インセンティブ制度の導入によって、成果を出せず年収を落とす人が増えるからでしょう。

これらの調査結果から、従業員の不満も減り、人件費が抑制できる可能性があるため、インセンティブ制度導入に動く会社が増えると考えられます。

■35.5%が「営業部の人手不足」に問題意識。人・時間のリソース不足が深刻に。

「営業部で問題に感じること」では、3人に1人が「人が足りない」(35.5%)と感じています。7位の「離職率が高い・人が定着しない」(17.3%)からも、慢性的な人手不足が感じられます。また3位「残業が多い」(28.0%)や5位「会議が多い・時間が長い」(18.5%)といった時間のリソース不足も上位にランクインしています。

働き方改革による残業規制や採用難、人材の流動化などの状況からも今後、この問題はさらに加速していくと考えられます。一社当たりの総労働力が限られている中、今のリソース(人・時間)でいかに生産性を上げ、売上をつくるかが営業部の課題と言えるでしょう。

■2人に1人が昨年度の数値目標(ノルマ)を未達成。

「昨年度、数値目標を達成したか」は、 「はい」(47.3%)と「いいえ」(46.1%)という結果となり、数値目標をもつ2人に1人が、目標を達成できていないことが分かります。

■営業活動は新規開拓より既存顧客のフォローが中心。​

「営業活動における新規開拓の割合」は、59.9%が「既存顧客が多い」と回答しています。目標達成できた理由で「新規開拓に注力した」(20.2%)のポイントが高く、目標達成できなかった理由で「新規開拓を怠った」(21.0%)のポイントが高いことも踏まえると、新規開拓が課題のひとつであると言えるでしょう。

そして人・時間のリソース不足が顕著になっている現状、新規開拓のためのリソースをどのように捻出するかが、多くの営業部で問われていると考えます。

■営業の85.9%が営業活動に何かしらの不安を抱く。不安の内容の1位は「お客様と関係構築できているか」(51.4%)。

「営業活動で不安に感じることはあるか」は、「とてもある」(32.4%)と「時々ある」(53.5%)を合わせると85.9%に達し、大半の人が営業活動に何らかの不安を抱えています。不安の内容では、 1位「お客様と関係構築できているか」 (51.4%)、2位「お客様に話が正しく伝わっているか」 (50.3%)、4位「お客様に嫌な印象を与えていないか」(40.9%)と、お客様に関することが上位にランクインしました。

また「提案内容は適切か」(43.5%)、「営業プロセスは合っているか」(38.8%)、「フォローや商談のタイミングは適切か」(27.7%)など、自分の営業のやり方に不安を感じているケースも多いことが分かります。

営業の不安を取り除くためにも、営業のやり方を統一することやマネジャーが部下の営業活動に対し、合っている/いないとフィードバックすることが大切だと言えるでしょう。

■営業の月間残業時間は月32.8時間。理想の残業時間は「ゼロ」(23.3%)と「1日1時間以下」(57.2%)。

「1ヶ月の残業時間」では、実際の残業時間が32.8時間、理想の残業時間が15.7時間となりました。割合で見ると、1日1~2時間程度の残業をしている人(月間21~40時間)が35.6%と一番多く、働き方改革法のひとつのボーダーとなる月間45時間を超える人は、24.1%という結果になりました。

また「理想の残業時間」では、残業ゼロを理想とする人が23.3%いる一方、1日1時間以下の残業をすることが理想(月間1~20時間)とする人が57.2%いることが分かります。

■管理職の83.9%がマネジメントに不安。不安を感じる割合は部長職で最大に。

「マネジメントに不安を感じることはあるか」は、「営業活動で不安に感じることはあるか」と同様、「とてもある」(28.4%)「時々ある」(55.5%)の合計が8割を超える結果となりました。役職別では、部長クラスで不安を感じている割合が高く(88.1%)、次いで課長クラス(86.2%)、主任クラス(81.9%)となりました。

「チームや部下に対して感じている問題」は、「部下が自分で考えない・思考が浅い」(26.6%)を筆頭に、「部下の成長が遅い」(23.6%)「部下のモチベーション・意欲が低い」(21.5%)「できる部下とできない部下の差が大きい」(21.0%)と、部下に関することが上位を独占。

「会社・部門の方針と現場の板挟みになる」(20.0%)「会社・部門の方針がチームに浸透しない」(19.7%)など会社に関する事柄と比較しても、部下について問題意識をもつ管理職が多いことが分かります。

「部下(営業)の教育方法」は、1位「営業同行」(57.3%)、2位「面談」(51.7%)、3位「OJTの実施」(38.4%)という結果となりました。集合型の教育(OFF JT)である、4位「社内の研修を活用」 (24.9%)、6位「外部の研修を活用」(14.9%)と比べて、圧倒的に多い印象です。

一方、「部下と1対1の面談の頻度」では「不定期」(13.2%)と「月に1回未満」(20.9%)を合わせると、34.1%に達します。

「部下への教育方法」として半数以上の管理職が面談を上げているにも関わらず、管理職の3人に1人が面談の頻度は月1回以下・不定期であることから、部下への教育が「気づいたときに、感覚的に」なっていないか注意する必要があります。

調査概要


調査期間:2019年3月1日~3月31日
調査対象:民間企業の営業職に従事している人
調査方法:インターネット回答方式
有効回答数:3,360

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