新入社員の働き方とキャリアの意識調査 

2019年04月26日

ラーニングエージェンシーは、2019年度入社の新入社員を対象にキャリアに対する意識調査を行い、その傾向と新入社員を育てるうえでのポイントをまとめました。調査はアンケート形式で、東京・横浜・名古屋・大阪で当社が開催した新入社員研修の受講者5,673名を対象に、2019年4月2日~4月11日に実施しました。

就社意識の希薄化止まらず 「今の会社で働き続けたい」新入社員は4年連続減少
当社は、2014年度から新入社員を対象とした調査を毎年実施しています。今年度の調査では、新入社員の就社意識がさらに希薄化していること、仕事に「楽しさ」「やりがい」「自己成長」を求めていること、専門家を志望する人が引き続き多い中、キャリアの方向性を定めていない新入社員が増加していること、自分のキャリア形成に対して「優しく指導してくれる」上司を求めていること、「定時に帰りたい」など自分の時間を大切にしているといった特徴が明らかになりました。

調査結果のサマリ


  • 1.「今の会社で働き続けたい」新入社員は4年連続で減少
  • 2. 今後取り組みたい仕事は「楽しくてやりがいのある仕事」と「自身の成長につながる仕事」
  • 3. 仕事を通じて成し遂げたいことは「自己成長」。調査開始以来はじめてトップに
  • 4. 今後のキャリアは「専門家」志望がトップを継続
  • 5. 自分のキャリアアップにつながると思う上司は「優しく指導してくれる上司」
  • 6.「定時に帰りたい」は5年連続、「休日出勤はすべきではない」は4年連続で増加

調査結果


■「今の会社で働き続けたい」新入社員は4年連続で減少

今の会社での勤続意向について聞いたところ、「できれば今の会社で働き続けたい」(50.4%)が4年連続で減少し、ついに全体の半数ほどの人数となりました(図1)。これに付随して「そのうち転職したい」が前年度より1.7%増加の18.4%、「フリーランスとして独立したい」が1.3%増加の4.2%となりました。

フリーランスの台頭といった働き方の多様化や、就活生に優位な売り手市場の継続とそれに伴う第二新卒採用増加などの影響で、新入社員の就社意識が数年で大きく低下しています。今の新入社員はキャリアの選択肢が豊富にあるため、勤めている会社で働くメリットを提示することが早期離職防止に必要だといえるでしょう。

■今後取り組みたい仕事は「楽しくてやりがいのある仕事」と「自身の成長につながる仕事」

では、このようなキャリアの選択肢を多く持つ新入社員は、仕事に対してどんな理想を描いているのでしょうか。今後どのような仕事をしていきたいかについて聞いたところ、「楽しくてやりがいのある仕事」(67.0%)と「自身の成長につながる仕事」(49.8%)が、突出して多い結果となりました(図2)。

今年度の新入社員は、これから仕事をしていく中で「楽しさ」や「自己成長」を重視する傾向があることが明らかになりました。しかし、すべての仕事は新入社員が期待するような楽しくてやりがいのあるものとは限りません。日々の何気ない業務にも目的やゴールがあり、業務に取り組んでいく中で成長できるということを管理職が丁寧に説明することがより重要になります。

■仕事を通じて成し遂げたいことは「自己成長」。調査開始以来はじめてトップに

仕事を通じて何を成し遂げたいかについて質問したところ、「自分を成長させたい」(58.3%)がトップとなりました(図3)。調査開始以来「安定した生活を送りたい」が1位、「自分を成長させたい」が2位でしたが、今年度は逆転しました。

■今後のキャリアは「専門家」志望がトップを継続も、「キャリア志向なし、楽しく働きたい」「今後決めていきたい」がさらに増加

将来会社でどのような役割を担いたいかという質問をしたところ、前年度に引き続き「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」(31.7%)を志望する新入社員が、「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」(24.0%)を上回る結果となりました(図4)。

また、ここ数年間で、「キャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」(22.3%)や「まだ(キャリアについて)はっきりしていない」(21.3%)が増加傾向にあります。前項では、新入社員の約25%が仕事を通じて「自分の成長」を成し遂げたいと考えていることが明かになりましたが、その一方で、会社員として将来どのようなキャリアを目指すかを具体的に定めていない人も増加しているという興味深い結果となりました。

■自分のキャリアアップにつながると思う上司は「優しく指導してくれる上司」。
 「プライベートのことも相談に乗ってくれる上司」も過去最多

自分のキャリアアップにつながるのはどんな上司かという質問をしたところ、「優しく指導をする上司」(42.1%)が一番多いという結果になりました(図5)。そして「優しく指導をする上司」と「プライベートのことも相談に乗ってくれる上司」(40.5%)が共に調査開始以来最多となりました。


このような結果となった要因の1つとして、前項でも説明した「将来のキャリアを具体的に描いていない新入社員」が増加していることが考えられます。売り手市場での就職活動によって、自己分析や業界研究を十分にしないまま入社を迎えた人がいることが影響しているかもしれません。

■「定時に帰りたい」は5年連続、「休日出勤はすべきではない」は4年連続で増加
 「プライベートのことも相談に乗ってくれる上司」も過去最多

今後3年間の働き方について聞いたところ、「定時に帰りたい」(42.3%)と回答した人が調査開始以来5年連続で増加し、2年連続で回答者の4割以上がその意向を示しました(図6)。世の中の「働き方改革」の機運が高まっていることから、 このような傾向は今後さらに強くなる可能性があります。

また、必要であれば休日でも出社すべきかどうかという質問をしたところ、「あまり前向きではないが、必要ならば出社すべきだと思う」(52.9%)が例年と変わらず一番多い結果となりました(図7)。一方で、2番目に多かった「休日に出社すべきではないと思う(22.9%)が、唯一増加傾向にあります。仕事とプライベートのオンとオフの切り替えを重視する人が増えていることから、企業はこのような新入社員の意識変化をしっかりと理解する必要がありそうです。

調査概要


2019年度新入社員のキャリアに対する意識調査(速報値)
■調査対象者:当社が提供する新入社員研修の受講者(研修は東京・横浜・名古屋・大阪で開催)
■調査時期:2019年4月2日~2019年4月11日
■調査方法:自記式のアンケート調査
■サンプル数:5,673名

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[ラーニングエージェンシー]
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