企業理念浸透に関するアンケート調査 

2013年10月28日
HR総合調査研究所は、「企業理念浸透に関するアンケート調査」を実施。調査は、上場および未上場企業の人事担当者を対象に2013年8月26日~27日にかけて実施。

【調査結果】

ほとんどの企業が認識する理念浸透の必要性

企業理念とは、社会に対する企業の存在意義であり、企業活動の拠り所になるものである。昨今、「Wayマネジメント」としてこれまで以上に企業理念の浸透が注目されている。
社員に企業理念を浸透させることの必要性を問うたところ、98%(「やや思う」を含む)の企業が重要だとの認識を持っている。残り2%も「わからない」であり、否定的な企業は皆無である。

さて、理念浸透の主な目的はなんであろうか。トップの「企業経営の方向性の明確化」(74%)は当然として、「社員の行動規範」(55%)、「企業文化・社風の良質化」(51%)がそれに続く。ただし、過半数を超えたのはここまで。以下、「企業の社会的責任意識の向上」(37%)、「社員の一体感の醸成」(37%)、「経営戦略・方針の指標」(35%)、「現場の仕事の質の向上」(24%)、「社員のモチベーション維持・向上」(21%)、「日常の経営管理の指標」(10%)と続く。
数値目標だけを追いかけがちになるマネジメントに疲弊する社員のモチベーション維持・向上としての側面が2割というのは、やや少ない感がある。

具体的な施策を講じている企業は3社に2社

社員への理念浸透のために具体的に何か施策を講じているかとなると、やや状況が異なってくる。「講じている」(「やや講じている」を含む)とする企業は66%にとどまり、3分の1の企業は施策を講じていない。また、「講じている」企業の中でも「やや講じている」程度の認識の企業が過半数となっている。

施策の内容を見てみると、「(理念を解説した)パンフレット・カードの配布」(57%)、「分かりやすい表現での明文化」(52%)が多い。次いで「管理職・一般職を対象にした企業理念教育」(38%)、「企業理念に基づいた企業文化・組織体制・社内制度」(32%)、「企業理念の唱和活動」(30%)と続く。

思うように進まぬ理念浸透

取り組みの成果として、企業理念が社員に浸透していると認識する企業はわずか6%しかない。「やや浸透している」の36%を合わせても4割強に過ぎない。「(浸透しているとは)あまり思わない」(40%)、「思わない」(13%)を合わせると50%を超える。施策が形式的なものにとどまる例も多く、浸透への本気度には企業によりかなり差があるようだ。

浸透の阻害要因トップは「経営層が旗振り役になれていない」

理念の浸透が進んでいないとする企業に阻害要因(課題)を聞いてみた。最も多かったのは、「経営層が旗振り役になれていない」(54%)で過半数を超えた。経営理念は策定したものの「お飾り」になっている企業が多いようである。次いで「社員の帰属意識の希薄化」(38%)、「企業理念に基づいた体制・制度になっていない」(30%)が続く。
「理念に沿った行動」よりも「売上至上主義」の評価制度などにならないよう、調整をしていくことが求められる。

今後の施策では「企業理念(ナレッジ)共有化の推進」がトップ

今後新しく取り組みたい施策を聞いたところ、最も多い回答は「企業理念(ナレッジ)の共有化を推進するイベント、仕組みづくり」の31%、次いで「企業理念に基づいた企業文化・組織体制・社内制度」「管理職・一般職を対象にした企業理念教育」(ともに29%)、「分かりやすい表現での明文化」(27%)と続く。

すでに実施されている施策との合計で見てみると、トップは「分かりやすい表現での明文化」で79%と8割近い企業で重視されている。「企業理念の唱和活動」を新しくはじめようとする企業は2%しかない。形式的になりがちな唱和活動よりも、教育やナレッジの共有が大切だと考える企業が多い。


【調査概要】
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2013年8月26日~27日
有効回答:117社

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[HR総合調査研究所]
 マイページ TOP