2013 年版 「M&A 経験企業にみる M&A 実態調査」 

2013年10月08日
デロイト トーマツ コンサルティングは、日本企業における M&A に関する実態調査を行い、その調査結果をまとめた。この調査では、過去 5 年間に買収・売却を実施した日本企業 1,500 社を対象にアンケートを配布し、224 社の企業から回答を得た。
今年で 5 回目となる本調査は、M&A の戦略化 を中心に様々な角度から調査を行った。多くの企業が M&A を経営・事業戦略に織り込んでいるものの、具体的に実行段階の施策内容まで落とし込めていないことや、インフラの未整備が課題として見て取れた。

【M&A の成功率】
M&A の成功率は上昇


今回の調査では、M&A の成功率は 36%という結果になった。
過去 4 回の実施調査では 30%未満であったが、前回実施の 2010年から 8%上昇した。歴史的円高に起因する日本企業全体の M&A経験値が増えたことにより、国内・クロスボーダーM&A ともに成功率が上がったと考えられる。
 
*本調査では「M&A を実行する際に設定していた目標を何割達成できたか」を質問、8 割超達成した企業を「成功企業」、5 割未満の企業を「非成功企業」と定義。

【戦略の実行手段としての M&A 活用】
戦略の実行手段として M&A は定着
経営・事業戦略に M&A の活用を織り込む企業は 67%


今回の全対象企業へ M&A の戦略化について調査したところ、67%の企業が M&A の活用を経営・事業戦略に織り込んでいることが分かった。経営・事業戦略を達成するために多くの企業が M&A を取り入れている。

【M&A 戦略の具体化】
中期経営計画の施策に明示されているものの、具体的な施策内容まで踏み込んで検討できていない


経営・事業戦略に M&A を織り込んでいると回答した企業のうち、中期経営計画に施策として明示していると回答した企業は 60%に上った。一方、M&A による効果を売上・利益など経営目標数値に織り込んでいる企業や、投資枠の予算化まで実施出来ている企業は約 20%に留まり、多くの企業が定量目標に落とし込む事が出来ていない。同様に、シナジー施策の特定・効果の定量化や、買収候補先の具体化まで踏み込んだ検討を実施している企業も約 20%に留まった。これは、M&A の活用を経営方針に掲げながらも、M&A を活用した成長戦略を具現化出来ていないという企業の実態を示している。M&A 巧者であるグローバルトッププレイヤーのように、戦略に合致した買収候補企業をリスト化し、能動的に買収提案を行うまでには至っていないことがうかがえる。

【M&A の仕組化】
実行体制の強化が戦略実現の第一歩


M&A を経営・事業戦略の実現方法として検討・活用する際の課題として、「M&A 実行体制(リソース)・ノウハウの欠如」が最も多かった。また、「適切な買収候補先の選定」を課題として挙げる企業も 2 番目に多かった。
M&A を経営・事業戦略に織り込むものの、実行体制が整備できていないために、自社の戦略を実現するための適切な買収候補先の選定ができておらず、M&Aに踏み切れない企業が多いことがうかがえる。

M&A成功への仕組みづくりはまだまだ進んでいない

M&A成功への仕組みづくりについて調査を行ったところ、仕組みづくりの初期フェーズである「投資枠の設定」や「専門組織の保有」に取組んでいる企業は約20%に留まった。更に「マニュアル化」や「競合M&Aの影響調査・分析」まで踏込むと、ほとんどの企業が取組んでいないことが明らかになった。M&Aを戦略実現手段として、前向きに考えている企業(94%)や既に戦略に織り込んでいる企業(67%)が多い中、M&Aを日常的に取り扱うための仕組みづくりが出来ていない状況が見て取れる。


「2013年 M&A企業にみるM&A実態調査」の概要
1.実施日: 2013年4月~5月
2.実施対象: 過去5年間に買収・売却を実施した日本企業1,500社*1
3.有効回答数: 224社

*1:
買収・売却、両方を過去3年間で1回以上経験している企業 (261社)
買収か売却、のどちらか一方のみを過去5年間で1回以上経験している企業 (1,239社)

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
リンク先リサーチPDF
[デロイト トーマツ コンサルティング]
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